マガジンのカバー画像

CDジャケットの美学

8
運営しているクリエイター

記事一覧

CDジャケットの美学#7:pillows『GOOD DREAMS』

CDジャケットの美学#7:pillows『GOOD DREAMS』

音楽に人生を救われた、と大げさじゃなく言える経験がありますか?

自分には、あります。

まあ、自分は基本的に感動を6割増くらい大げさに語る悪癖があるので、あまりあてにできないかもしれませんが……。

それでも、個人的感覚では間違いなく、音楽に救われてきた経験がわんさかあります。

バイトの面接に落ちたとき。

よせばいいのに元カノに振られたときの衝撃が突然ぶり返して、死にたくなったとき。

ゲー

もっとみる
CDジャケットの美学#6:go go penguin『V2.0』

CDジャケットの美学#6:go go penguin『V2.0』

大好きなアーティストが出したCDは、漏れなくジャケットデザインも好きになることが多いです。

アーティスト自体が好きだから関係するすべての作品が良く思えてくるんでしょう(美しいもダセーも、すべてが愛おしくなる)。

そもそも美的感覚が自分と似通ったアーティストの作る曲を好きになるのかもしれません。

いずれにせよ好きになれるのなら理由なんてどうでもいいこと。

今回取り上げるCDジャケットも、そん

もっとみる
CDジャケットの美学#5:KOHH『worst』

CDジャケットの美学#5:KOHH『worst』

今日は前置きなしにいきなりジャケットから(たいして面白くもない前置きなんて要らねえ)。

今年惜しまれつつも引退した、東京王子出身のラッパーKOHHのラストアルバム『worst』です。

なんかこう、いいですよね笑(この世で一番無思考な言葉)。

見た瞬間、ゾクッとしました。

冷たいほど白く塗られた、むき出しの機械たち。

これ以上ないほどに無機質で、冷酷さすら感じるのに、どこか底知れないエネル

もっとみる
CDジャケットの美学#4:yonige『健全な社会』

CDジャケットの美学#4:yonige『健全な社会』

最近日中時間があれば図書館に行ってる。

家にいるとまず確実に、様々な誘惑に勝てずベッド・インからの動画鑑賞タイムになってしまうので。

大学時代からそうだったけど、大量の本と同じ空間にいるってこと自体が異様なまでの安心感と勉強への意欲を生み出してくれる。

ああ、聖域。ここは自分にとっての聖域なんや……。しかもタダの。徒歩15分かかるけど。それもいい運動とすら思える。ビバ図書館。

さて、という

もっとみる
CDジャケットの美学#3:GreeeN『第九』

CDジャケットの美学#3:GreeeN『第九』

久しぶりの投稿。

最近本格的にグラフィックデザインを学び始め、その界隈の勉強に熱が入ってきたので、以前から細々と続けていたCDジャケット研究を再開しようと思った所存。

限りなく自分のためだけに書いてる記録用記事なので、あんまり読んでても楽しくないかも。あしからず。

今回取り上げるのはこれ。

GreeeeNの「第九」。

GreeeeNて今までの人生で一回もちゃんと聴いたことなかったんですが

もっとみる
CDジャケットの美学#2-小田和正『自己ベスト』から学べること

CDジャケットの美学#2-小田和正『自己ベスト』から学べること

小さい頃、小田和正が好きだった。

CMで流れる楽曲を聴いて、子供心に「この人の歌声は唯一無二だな。」みたいなことを思っていた。

人生の喜びと悲哀を率直に歌い上げる、歌手としての真髄がそこにあった。



だが、思春期に入ってからはほとんど聴くことはなかった。

まあ、思春期男子にはよくある「日常の素朴な幸福をストレートに歌うことがなんだか気恥ずかしい」みたいな感情をこじらせたのが原因だと思う

もっとみる
アルバムアートは、共有と私有の渦の中でさらなる変革を遂げる。

アルバムアートは、共有と私有の渦の中でさらなる変革を遂げる。

こんな記事を読んだ。

レコード時代から連綿と続くアルバムアートワークの歴史の奥深さに、思わずため息が出た。

アンディウォーホルがデザインした、ヴェルヴェットアンダーグラウンド&ニコのバナナのジャケットイラストとか、クリエイター集団ヒプノシスが手掛けたピンクフロイドのアルバムカバーの数々とか、現代の音楽シーンに出てきても何ら遜色ないほどの魅力と革新性を保っていると思う。

このバナナ、めくれるん

もっとみる
CDジャケットの美学#1-toe/The Book About My Idle Plot on a Vague Anxiety

CDジャケットの美学#1-toe/The Book About My Idle Plot on a Vague Anxiety

ジャケ買い、なんて言葉がある。

サブスクが当たり前になって、CDを「所有する」ということがもはや昔のことになりつつある現在、この言葉がどれだけ生活に根付いたものなのかはわからないけれど、やっぱり良いジャケットに惹かれて音楽を聴き始めるということがあるのは変わらないと思う。

CDジャケットはアーティストの曲と世界とをつなげるチャンネルであり、そのアーティストの感性を視覚的に表現している作品そのも

もっとみる