月の海で溺れてる、わたしの傍には女神さまがいて・・・。/中編
「女神さまとの暮らし」
いつの間にか月が小さく離れていた。濃紺の海は少しずつ存在を隠していき、まっさらな砂浜が顔を出した。初めて見た干潮だ。岩場から飛び降り、幼い女神さまを抱きかかえた。
軽い。昔、従姉の子を抱かせてもらったのよりも軽い。米十キロよりも、軽かった。
元の、わたしが打ち上げられた浜で脱ぎ捨てたスーツを着込む。きめ細かく速乾性に富んだ砂のおかげで湿気はなかった。露出狂スタイルからはさよならだけど、着替えの間中、女神さまの視線は変わらない。スーツの上着を引