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仙台市に本社を置く日刊新聞「河北新報」の公式アカウントです。仙台、宮城、東北の話題や東日本大震災、福島第1原発事故、新型コロナウイルス感染症の最新ニュース、東北楽天、ベガルタ仙台などの情報を取り扱っています。URL:https://kahoku.news/

最近の記事

記者が挑んだ あばら家リフォーム【13】完 野生の王国

あばら家がある宮城県川崎町で、新型コロナウイルスの感染拡大を背景に、移住希望者らが増えています。別荘地に移住したシステムエンジニアの方の生活と現実の課題について、連載記事(空き家で始める田舎暮らし)を3回にわたって河北新報紙面で書きました。 <空き家で始める田舎暮らし>(上)楽園/通勤と無縁 自宅で温泉 <空き家で始める田舎暮らし>(中)修繕/DIYで費用抑え再生 <空き家で始める田舎暮らし>(下)課題/買い物不便 大けが不安   連載で紹介した人は、別荘地にある空き家を月

    • 「梅干し=赤」じゃない?! 「白い梅干し」を作ってみる

      梅雨の便りと共に、スーパーでは梅を見かけるようになりました。 わが家が、手作りみそにのめり込んで3年目、梅干し作りは2年目を迎えました。入梅は梅仕事の時季を知らせる合図でもあります。 (河北新報社整理部・髙橋唯之) 梅干しは「赤」。思い込みだったある時スーパーで見かけた白い梅干し。 口をすぼめて「すっぱーい」と言いながら食べていた今までの梅干しが嘘のよう。とても食べやすかったのです。 原材料を見ると、100gあたりの塩分が16g。ふむふむ、つまり塩分濃度は16%。イ

      • 記者が挑んだ あばら家リフォーム【12】きこりと化した1カ月

        50年もたてば苗木だって高さ10メートル級の大木に育ちます。2020年4月のDIYスタート当時、あばら家はまさに、そうした巨木に囲まれていました。 いいことばかりではない樹木群仙台平野では屋敷林の「居久根(いぐね)」が有名ですが、家の周りに大きな樹木が立っているのはいいことばかりではありません。事実、あばら家の場合、長年にわたって屋根に降り積もった落ち葉が腐葉土となり、雑木まで生えていました(第6話参照)。枯れ枝もたくさん落ちてきて、その重さで屋根瓦が破損。雨漏りの原因とな

        • 記者が挑んだ あばら家リフォーム【11】 襲い来るカビ

          今にも抜け落ちそうな天井を覆い尽くす白カビ。20センチ大の白カビや黒カビの斑点が浮き出た聚楽壁。カビで腐食が進み、はがれ落ちたふすま紙。2020年3月にあばら家の再生を始める時、一番心配していたのがこれらのカビでした。 カビにとっては天国…どれだけ手を入れたとしても、カビだらけでは安心して使うことができません。あばら家がある地域は蔵王の麓。山あいだけあって雨が多いですし、すぐそばを小川が流れているため非常に湿気が多い土地柄です。普段は人がいない建物なのでカーテンを閉めきって

        記者が挑んだ あばら家リフォーム【13】完 野生の王国

          記者が挑んだ あばら家リフォーム【10】ヒートショック対策

          風呂場はタイル張り「バチン」という大きな音がしたと思ったら、2歳の娘が大声で泣きだしました。 2020年8月、その日のリフォーム作業を終え、あばら家で風呂に入っていた時のこと。髪を洗うために目を離した瞬間でした。泡まみれで目を開けると、娘は洗い場の床で滑って転び、お尻か背中を打ち付けたようでした。 1973年完成のあばら家の風呂は、昔ながらのタイル張りです。塗れるとつるつると滑る、今では危険極まりない造り。それでも使えないほどではないので、外壁(第3話参照)や屋根(第6話

          記者が挑んだ あばら家リフォーム【10】ヒートショック対策

          記者が挑んだ あばら家リフォーム【9】氷点下18度の猛威

          「玄関から外に水があふれ出ていますよ!」2021年1月、あばら家のある地域一帯を管理している会社から連絡がありました。え? 水? 玄関ドアの下から庭の方に水が漏れ出していて、従業員の方が通り掛かった際に見つけて電話してくれたそうです。 管理会社は町役場にも連絡してくれ、とりあえず外部の元栓を閉めて水道を止めてもらいました。あばら家は温泉地にあるので、温泉水も引かれています。こちらも水道同様、大量に漏れ出していたそうです。 配管凍結、破裂が悲劇招くあばら家がある山あいはこの

          記者が挑んだ あばら家リフォーム【9】氷点下18度の猛威

          貝塚から出土した刀を追い掛けたら、謎の団体の存在を知った件

          「貝塚から刀が出てきました」。そんな話を耳にしたら、「は?」と疑問に思う人が多いのではないでしょうか。一般的に貝塚は縄文遺跡ですし、日本刀が製造されるようになるのは平安後期からと、まるで時代が違うからです。ところが、たまたま目にした約100年前の河北新報には、多賀城市の大代貝塚(橋本囲貝塚)から刀が発掘されたと記されていました。「歴史探偵」を気取って1世紀前の先輩記者の代わりに追加取材を試みると、自分にもゆかりのある謎の団体の存在が別途、浮かび上がってきました。 (生活文化部

          貝塚から出土した刀を追い掛けたら、謎の団体の存在を知った件

          記者が挑んだ あばら家リフォーム【8】流れ出す庭土!

          庭に突然、小川が出現しました。 時は2020年7月。外壁塗装(第3話参照)や、しっくい塗り(第4話参照)、屋根の応急補修(第6話参照)が終わり、ちょうどピザ釜作り(第5話参照)に取りかかろうとしていた頃、この小川を巡る問題が立ちはだかりました。(生活文化部・桜田賢一) 屋根から雨水一気原因は屋根。応急補修の時、雨どいに降り積もった落ち葉が腐葉土になっていたので取り除いたことが裏目に出ました。雨水を吸い上げていた大量の腐葉土がなくなったため、雨どいの幅が20センチ以上と広い

          記者が挑んだ あばら家リフォーム【8】流れ出す庭土!

          記者が挑んだ あばら家リフォーム【7】なたが出土した!

          あばら家のリフォーム中、「遺跡発掘かよ」と突っ込みたくなることがありました。(生活文化部・桜田賢一) 「さてはお宝か?」2020年秋のある日のことです。ピザを焼く時、ピザ釜(第5話参照)の前にいすを置きたいなあと思って、地面を固めるためにあばら家の前の荒れ地を掘り下げていたところ、くわの刃が何かを掘り当てました。「ガチン」。荒れ地には岩石が大量に散乱していますが、どうも金属のような感触です。 「さてはお宝か? ナイス、じいちゃん(建築主)」 淡い夢を見て少しどきどきしま

          記者が挑んだ あばら家リフォーム【7】なたが出土した!

          記者が挑んだ あばら家リフォーム【6】「屋根との格闘」

          「これは雨漏りじゃなくて、ハクビシンのおしっこの跡ですね」 あばら家の屋根の上で、とあるリフォーム業者さんのそんな迷言を思い出していました。2020年4月のある日。春らしい突風が時折吹く地上4メートルは、なかなかスリリングです。 (生活文化部・桜田賢一) 実はこの2日前、リフォーム中の施工業者さんから電話がありました。 「やっぱり屋根、漏ってるね」。床に穴が開いてしまった押し入れの撤去が終わり、ちょうど大雨の日だったので見てみると、屋根からぽたり、ぽたりと滴が落ちていた

          記者が挑んだ あばら家リフォーム【6】「屋根との格闘」

          記者が挑んだ あばら家リフォーム【5】「ピザ釜作るべ!!!」

          荒れ地に群がる虫に悩まされながらの草刈り。ぐらぐらと揺れるはしごの上での塗装作業。粉まみれになりながらのしっくい塗り…。 あばら家のセルフリノベーションを始めて2カ月半ほどたった2020年7月ごろ、ちょっとした燃え尽き症候群に陥っていました。気持ちは若いつもりでも肉体は40代。これまでの人生で無縁だった建築関係の重労働がこたえたのだと思います。 (生活文化部・桜田賢一) 「楽しみがほしい!」とはいえ、手を入れなければならない箇所はまだたくさん残っています。「これは何か楽し

          記者が挑んだ あばら家リフォーム【5】「ピザ釜作るべ!!!」

          記者が挑んだ あばら家リフォーム【4】「しっくい練ってみた」

          大学を卒業して記者生活をスタートさせた岩手県で、ヒツジの毛刈りを取材した経験があります。雫石町にある小岩井農場で毎年行われる風物詩で、当時は駆け出し記者が必ず担当する話題でした。獣の臭いが鼻を突くヒツジ小屋に羊毛があふれています。そんな光景を見て、「これは掃除をするだけでも大変だなあ」と感じたものです。まさか四半世紀近くたってから、似たような経験をする羽目になるとは思いませんでした。 (生活文化部・桜田賢一) 手で触れただけで崩れるその訳は、ウチのあばら家の内部の聚楽壁。

          記者が挑んだ あばら家リフォーム【4】「しっくい練ってみた」

          応援団長は神になる。初の女性団長が誕生したバンカラ応援団の気風

           仙台市若林区にある元男子校の仙台一高と言えば、弊衣破帽のバンカラ応援団で知られる。その応援団に初の女性団長が誕生したと聞き、鎌形真咲さん本人に会いに行ってきた。なぜ、応援団長になったのか。いきさつは、4月10日の河北新報で紹介した。応援団の取材は初めて。彼女の話を聞くと、「へえー」と感心することばかり。旧制の学校の流れを組む伝統校に多いバンカラ応援団。そこでは、団長は神となり、生徒の前から姿を消すという「伝統」が受け継がれていた。 (生活文化部・越中谷郁子) 関連記事:

          応援団長は神になる。初の女性団長が誕生したバンカラ応援団の気風

          記者が挑んだ あばら家リフォーム【3】「廃屋からの脱皮」

          キツツキが開けた穴、見たことがありますか? 都市部に暮らしていると、めったにお目に掛かれませんよね。それが、山あいにあるとはいえ、ウチのあばら家の軒下や外壁にはキツツキの穴が無数にありました。東日本大震災後、それだけ長い間、人が寄りつかなかった証しなのかもしれません。(生活文化部・桜田賢一) 業者さんの力で天井や床、トイレがきれいに生まれ変わったウチのあばら家。ただ、これらはいずれも屋内のことです。屋外に目を向ければ、キツツキの穴はもちろん、塗装がはげた外壁が目に付き、青

          記者が挑んだ あばら家リフォーム【3】「廃屋からの脱皮」

          記者が挑んだ あばら家リフォーム【2】「トイレで悪戦苦闘」

          テレビのリフォーム番組を見ていると、解体してみたら基礎や柱が予想以上にボロボロだったというお決まりのパターンがあります。2020年3月に始まったウチのあばら家のリフォームでも同じことが発生しました。 (生活文化部・桜田賢一) 天井は白くよみがえる最も心配だった天井は見た目ほどひどい状態ではなかったらしく、古い天井板をはがした上で下地材を設置しました。 その上に白いクロスを貼れば、もう完成。湿気で崩落寸前だった天井は白く、美しくよみがえりました。 湿気、恐るべし想定を上

          記者が挑んだ あばら家リフォーム【2】「トイレで悪戦苦闘」

          記者が挑んだ あばら家リフォーム【1】「崩落寸前の天井」

          宮城県川崎町の蔵王山麓に一軒のあばら家があります。まだ国内の景気が良かった1973年、多賀城市の建設会社が保養目的で建てたのですが、バブル崩壊後は大して手も入れられず、だいぶ老朽化していました。そんな折、この建設会社が東日本大震災の津波で被災。経営不振が深刻化し、利用する人がいなくなりました。建築当時の社長は記者の祖父。2017年に亡くなり、母が相続することになったので久しぶりに見に行くと、建物はささやぶに覆われ、荒れ果てた姿をさらしていました。「これが唯一残った形見だから」

          記者が挑んだ あばら家リフォーム【1】「崩落寸前の天井」