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記者が挑んだ あばら家リフォーム【5】「ピザ釜作るべ!!!」

荒れ地に群がる虫に悩まされながらの草刈り。ぐらぐらと揺れるはしごの上での塗装作業。粉まみれになりながらのしっくい塗り…。

あばら家のセルフリノベーションを始めて2カ月半ほどたった2020年7月ごろ、ちょっとした燃え尽き症候群に陥っていました。気持ちは若いつもりでも肉体は40代。これまでの人生で無縁だった建築関係の重労働がこたえたのだと思います。
(生活文化部・桜田賢一)

「楽しみがほしい!」

とはいえ、手を入れなければならない箇所はまだたくさん残っています。「これは何か楽しみがないと続かないなあ」。そう思ってYou Tubeを眺めていたら、いいものを見つけました。ピザ。釜から手作りし、出来たてを食べようという内容です。「これだ!」。思い立ったが吉日と、すぐさまホームセンターに向かいました。

もちろん、ピザ釜どころか、ピザそのものだって作ったことがありません。ただ、今は新型コロナウイルスの感染拡大を受けた空前のアウトドアブーム。インターネット上には星の数ほど作成方法がアップされています。ウェブ上の達人たちに倣い、耐火レンガ約100個にコンクリートブロック24個、耐火モルタル5袋を買い込みました。

まずは焼き床から

最初は「焼き床」の製作です。ピザストーンを載せる厚さ2センチほどの一枚板のことで、専用品は高価なので自作することに。しっくいを塗る時に使った電動ミキサーで耐火モルタルと水を混ぜ、事前にこしらえておいた型枠に流し込みました。まきをくべる「火床」から炎が吹き上がるよう、一部に穴を開けるのがこつだそうです。

焼き床の型枠に耐火モルタルを流し込みます

続いてレンガ積みです。まずは、ただ積むだけでOKという最もシンプルな方法にトライ。ブロックを8個ずつ3段重ねにした後、その上に1段ずつレンガを載せていきます。3段積んだところで焼き床を置き、さらに2段。最後に耐火モルタルで作ったふたをかぶせれば完成で、積むだけなので30分もせずに出来上がりました。

休日リフォーム業者魂に火

「ちょっと簡単すぎるなあ」。ここで2カ月半に及ぶ「休日リフォーム業者」の職人魂に火が付きます。もっといい物にしたい。そんな気持ちが抑えられなくなって書店へ直行。「ピザ釜の作り方」なる専門書を買い込み、ドーム型の本格的な釜に作り替えることにしました。

ピザかま

耐火モルタルでレンガ同士を接着する以外、工程は焼き床を載せるまで同じです。そこからレンガを2段積んだら、内側に土砂を入れて山を成型。水をしめらせた新聞でくるみ、その上から耐火モルタルを厚さ5センチになるよう塗っていきます。

固まったことを確かめてから、中から土砂をかき出せばドームの完成。火床から炎が立ち上がり、ドームの内側をなめるように吹き上がる仕組みになりました。ネット情報も便利ですが、やはり専門書はすごいですね。

土山の上に耐火モルタルを塗ってドーム釜に

早速、ピザ作りを開始。まきをやぐら状に並べて火を付け、徐々に炎を大きくしていきます。焼き床を越えるくらいになったら、生地がこびり付かないようにピザストーンをあらかじめ釜に入れて加熱。炎がドームの内側をなめるようになった段階で生地を載せ、焼いていきます。

数分もすると、まるで上等なオムレツを前にした時のように、チーズの焦げる匂いが辺り一面に漂いだします。チーズが生地の上でぐつぐつと踊りだし、きつね色に焼き色が付いてきたら食べ頃。出来たてのピザはチーズが伸びる、伸びる。「あふっ、あふっ」と言いながら頰張ると、リフォーム疲れなんて一気に吹き飛びました。

頭の中でそろばんをはじく

ピザの食材費は1枚当たり300円前後。ピザ釜の材料費も4万円ほどです。「ピザってチェーン店で買うと1枚2000~4000円するよね」。家人のそんな感想を聞くと、頭の中でそろばんをはじいてしまうもの。「もうデリバリーは頼めないね」と即答していました。

ちなみに、ピザ生地には小麦ふすまなどが入った糖質90%オフの粉を使用。自家製ピザは、おなか回りが気になる40代にも優しいのでした。

ピザ作りの様子、動画で!

最後に、ピザ作りの過程を動画でご紹介します。見ていたら、また食べたくなりました。







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