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記者が挑んだ あばら家リフォーム【6】「屋根との格闘」

「これは雨漏りじゃなくて、ハクビシンのおしっこの跡ですね」

あばら家の屋根の上で、とあるリフォーム業者さんのそんな迷言を思い出していました。2020年4月のある日。春らしい突風が時折吹く地上4メートルは、なかなかスリリングです。
(生活文化部・桜田賢一)

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実はこの2日前、リフォーム中の施工業者さんから電話がありました。

「やっぱり屋根、漏ってるね」。床に穴が開いてしまった押し入れの撤去が終わり、ちょうど大雨の日だったので見てみると、屋根からぽたり、ぽたりと滴が落ちていたそうです。

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「ハクビシン、いなかったかあ…」

雨漏りの修理は膨大な手間とお金が掛かります。火災保険に入っていれば修繕費が出るケースもあるのですが、東日本大震災で利用者さえいなくなったウチのあばら家は当然、保険など入っていません。正直、気がめいりました。

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まずは敵を知ろうと、冒頭のように屋根に上りました。すると、あばら家を取り囲むように立つ樹木の枯れ枝が散乱。長年にわたって降り積もった落ち葉は雨どいにたまって腐葉土となり、雑木まで芽吹いている始末でした。

屋根から木が生えている建物って何なのさ…

「この腐葉土に雨水が染み込み、屋根瓦と雨どいの隙間から漏っているのかもね」。業者さんの見立てを信じ、熊手を買ってきて腐葉土をかき出します。さすが50年モノだけあって雑木は根がびっしりと張って重いですし、はさみ虫やらダンゴムシやら、うじゃうじゃとはい出してきます。「ブーン」と羽音がして何か黒い虫が飛び出してきた時は、驚いて転げ落ちそうになりました。

雨漏り修繕はなかなか難しい

一応はきれいになったので、雨どいと瓦屋根の間に目張りをすることにし、今回も「インターネット先生」にお知恵を拝借。屋根用のばんそうこうのような資材が売られていると知り、早速購入しました。高所恐怖症に耐えながら貼ったのですが、次の大雨の日、またしても業者さんから電話が。効果はありませんでした…。

このように、雨漏りの修繕は、どれだけやっても効果がない場合が多いのだそうです。だから葺き替えが一番、となるのですが、そんなお金はありません。どうしようかと考えていたら、大工さんが「よくやる手をやっておくよ」と言ってくれました。

大工さんの知恵生きる

大工さんが取り出したのは何の変哲もない発泡スチロールの箱。その脇に穴を開け、ホースを差し込んだ物を、新しく作った押し入れの上に置いていきます。仕組みは極めて簡単ですが、雨水は箱の中にたまるので押し入れを濡らさないし、水かさが増えたらホースから床下に排出されるそうです。屋根裏って普段は見えないけれど、大工さんの知恵が詰まっているのですね。

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「あとは屋根をシートみたいな物で広く覆うしかないね」。大きな地震の後によく見る、屋根の上のブルーシートのことだそうです。青いと廃屋感が漂うので銀色の物を使うことにし、またまた屋根に上って縦3・6メートル、横5・4メートルのシートを敷くことにしました。

筋肉痛、数日間残る

よくある方法は土のう袋でシートを押さえる方法です。でも、屋根瓦と同じ物がたくさん残っていたので、これを土のう袋に入れて使いました。瓦を重しにすれば、凹凸がかみ合ってずれにくくなるのだとか。そうは言っても、シートが風をはらむのでなかなかうまくいきませんし、3度目になっても屋根の上は恐怖しかありません。変に体をこわばらせて数日間、筋肉痛が残りました。

「とりあえずは安心かな」。一部が銀色になった屋根を見て一息つきましたが、この時の屋根掃除が原因で、後に大問題が発生することになります。あばら家の再生で最もきつい作業をする羽目になるのですが、それはまた別の機会に

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