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雑記

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その他、他愛もないことを書きます。
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#多様性を考える

初めて自動車を望んだ人は誰か?

この、うんざりするほど聞かされるマーケティング界隈の俗説に対して、僕はずっと疑問を抱いていた。

フォードの言う顧客とは、20世紀初頭の大衆に他ならないわけだが、彼らは本当に早い馬を求めていたのだろうか?

僕にはそうは思えない。

19世紀までの大衆は、郊外の一軒家に自家用馬車を所有してもいないし、週末には家族連れでイオンモールや水族館に出かけていたわけでもない。そもそも、大衆は馬や車に乗って遠

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書店の中の多様性

プロレタリア革命を心の底から願っているマルクス主義者も、資本主義の仕組みにフリーライドしてFIREを狙うビジネスマンも、街宣車を乗り回す極右も、暇つぶしに小説を読みにきたホームレスも、丁寧な暮らしを目指してヨガと発酵食品作りに夢中になる専業主婦も、呪術廻戦の最新刊を買いに来た高校生も、誰もが集う場所。

それが書店。

これだけの多様性が実現している場所を、僕は知らない。ある瞬間に1つの書店にいる

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「自由には責任が伴う」とは「俺の気に食わない奴はブチのめす」という意味

そもそもおかしな風潮だと思う。まるで、「不自由なら責任は取らなくていい」かのようではないか?

当然、自由だろうが不自由だろうが、自分の行動に責任を取るのは自分だ。親に強制的に塾に通わされた結果、友達ができなかったとして、「友達ができなかった」という結果を受け取るのは自分のだから、責任をとっているのは自分なわけだ。

自由を差し出す代償として責任をとってくれる人なんていない。親は子どもに飯を食わせ

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シリアル・バックレイヤーになりたい

うっかり僕は社会に適合してしまった。本当は「ここではないどこか」に旅立ちたいというのに。

ドロップアウトには勇気がいる。現状を維持し続ける方が、大半の人にとっては楽なのだ。ドロップアウトできるというのは、一種の才能だと思う。

阿部公房『砂の女』で、砂の中に閉じ込められた主人公は、逃亡を夢見るという姿勢を維持したまま、逃亡のチャンスを意図的に見逃す(そして、そのまま少なくとも7年の時が経過してい

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公園マナーは暴走する

2歳の息子が滑り台で遊ぶのを見守っていると、必ずと言っていいほど見かける現象がある。

例えば、他の子どもが滑り台のスタート地点でいつまでも立ち止まっていて、後ろで僕の息子が待たされる状況だ。すると、たちまちその子の親が現れて「コラ! おともだちが待ってるから、早く滑りなさい!」と子どもを注意する。そんな現象だ。

この行為は、自分の子どもを教育するために行うのでもないし、周りの子どもに迷惑をかけ

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運転そのものが危険なのだから、安全運転など存在しない

きのう、車を運転させられた。死にたくなかった。

僕は右折タイミングを逃したり、駐車場であてもなく右往左往したり、制限速度を守り続けたり、「煽られ運転」の名手だが、きのうは煽られなかった。

飛び出してくる子どもにも、賠償金狙いの当たられ屋にも、居眠り運転の老人にも、自殺志願者のイカれたドライバーにも遭遇しなかった。

結果、無事に済んだ。

しかし、僕はこれは運良く得た僥倖に過ぎないことを知って

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「経済のため」に使ってやるから、僕に金配れよ大阪府よ。

「大阪の経済の発展のため」に舞洲にカジノができるらしい。近所のおばちゃんたちは、せっせと拡声器で声を上げて署名運動をしながら、若者に白い目で見られている。

実際のところ、大阪府民の多額の税金がどこに流れるのかは知らないが、ゼネコンやら、海外のよくわからないカジノ業者やら、そういったところだろう。トリクルダウンの恵が僕の番が来る頃には出涸らしになっているどころか、むしろ逆効果で、僕から税金を搾り上

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『アバター』は環境保護のメッセージになり得ない

今更ながらアバターの続編が公開されるらしいね。僕はエンタメとしてあの映画が好きなんだけれども、道徳的には擁護しづらい映画だなぁとひしひし感じている。

なぜなら現実の僕たちの暮らしは侵略者側の立場に依存するものでありながら、映画では侵略される側に感情移入させられるからだ。

この映画を観た人は「金儲けのために原住民の暮らす森を破壊するなんてかわいそう」という感想を抱かざるを得ない。そして同時に「こ

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私は老害になりたい

安楽死が合法化された世界を描いた小説『平成くん、さようなら』では、周囲の空気に流されて、あれよあれよといううちに安楽死を余儀なくされた老人が描かれている。

若者に迷惑をかけないように振る舞い、若者にチャンスを譲り、さっと身を引く老人は、確かに美しい。しかし、それが道徳律になり、人々を拘束し始めるくらいなら、そんな価値観はない方がマシだ。

別に「ワシは誰にどれだけ迷惑をかけようが、1分1秒でも長

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意識低い系ヴィーガン

意識低い系ヴィーガン

「ヴィーガン」という言葉からは、意識高い系の匂いがぷんぷんする。毎朝ランニングをして、スターバックスで豆乳ラテを飲み、週末にはホットヨガと英会話を嗜むような人がハリウッドセレブに憧れて、ヴィーガン暮らしを始める…僕が「ヴィーガンをやっている」と話すと、そういう印象を持たれてしまう。

残念ながら僕の意識は低い。かつては二郎系ラーメンを毎日のように嗜み、パジャマのまま買い物に行き、日がな一日モンスタ

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noteとは、ションベンみたいなもの

かつてユーミンが「作曲は生理みたいなもの」と言っていた。天下のユーミンと自分を重ね合わせるのは気がひけるし、僕は男なので生理は来ないけれども、すごく同意できる。

作曲に限らずあらゆる表現活動は、自分の中にたまった老廃物を吐き出す行為に似ている。noteに雑文を書き殴ることだって同じだ。僕は生理という比喩が使えないので、ションベンみたいなもの‥とでも言っておこうか。

日常の中で気づいたこと。なん

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レアメタル採掘場の労働者を鞭打つように、子どもの歯を磨く

レアメタル採掘場の労働者を鞭打つように、子どもの歯を磨く

僕は、2歳になる息子の歯を磨きたい。一方で、息子は磨かれたくない。自分で磨くのも嫌らしい。

息子は、夕食後にアイスクリームをたっぷり食べた。炭水化物もたくさん摂取した。虫歯菌たちにとっては酒池肉林のユートピアだ。虫歯の脅威を知る僕は、その脅威から息子を守りたいという義務感を持っている。

しかし、そのことをどれだけ懇切丁寧に説明しようが、息子は聞く耳を持たない。理解できないのか、理解しても尚、歯

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