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vol.10 谷崎潤一郎「春琴抄」を読んで

佐助のドMさにのけぞりながら読み進めるうち、二人だけの愛の世界がそこにあった。

それこそが谷崎文学の真骨頂か。

「痴人の愛」のナオミの無茶ぶりに快感を受けた河合譲治のように、春琴の「お師匠様」ぶりに不気味なほどに寄り添う佐助。

自らの失明は、「心頭を滅却すれば火もまた涼し」なのか、いやちょっと違う。やっぱり佐助は、心身ともにシバかれることでしか愛を感じないドMなのだ。

谷崎文学、いとおかし。

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