ベトナムを知る⑥〜南西部Phú Quốcフーコック島の歴史と背景

はじめに

フーコック島（Phú Quốc）はベトナム最大の島であり、ベトナムの南端、タイランド湾にキエンザン省の一部として位置、カンボジアとの国境近くにあり、カンボジアの沿岸から約15km離れています。

近隣の都市は、
〇ハティエン（Hà Tiên）ベトナム本土の最も近い都市であり、フーコック島の北西約45kmに位置しています。

〇ラッチャギア（Rạch Giá）
キエンザン省の首都で、フーコック島から南東に約120km離れています。

　フーコック国際空港があり、ホーチミン市（サイゴン）、ハノイなどベトナム本土からの直行便が運航されています。また、ラッチャギアやハティエンからのフェリーも利用可能です。

　フーコック島の位置を示すために、Googleマップなどの地図アプリで「Phú Quốc」と検索すると、具体的な位置と周辺の地理情報を確認することができます。

　フーコック島は、観光地としても非常に人気があり、美しいビーチやリゾート施設、有名なロープウェイなど、多く存在します。

　

また、島内には多くの自然保護区や観光名所があります。

　フーコック島の歴史的背景とその影響について紹介します。古代から現代までの重要な出来事を取り上げ、島の成り立ちや文化、産業の発展、観光地としての魅力を伝えます。

2.人口、言語、少数民族、文化、伝統料理

(1)人口

　フーコック島は2020年の時点で約179,480人の人口を有しています。
　観光業の発展に伴い、人口は急速に増加傾向にあります。

(2)言語

　主に話されている言語はベトナム語です。観光業の発展により、英語やその他の外国語も広く使われるようになっています。

(3)少数民族

　フーコック島には主にキン族（ベトナムの主要民族）が暮らしていますが、他にも少数の少数民族が存在します。少数民族の具体的な情報は限られていますが、彼らは独自の文化や伝統を持っており、島の多様性を豊かにしています。

①フーコック島の民族構成

　フーコック島は主にキン族が住んでいますが、他にも華人（中国系ベトナム人）、チャム族、クメール族などの少数民族が存在します。これらの民族は、それぞれの独自の文化や伝統を持ち込み、島の多文化共生を促進しています。

②少数民族の文化や伝統

　少数民族の文化や伝統は、フーコック島の観光資源の一つです。華人の中秋節の祭りや、チャム族の伝統的な織物などがその例です。クメール族は、カンボジアからの移住者が多く、彼らの仏教文化や祭りも島に根付いています。

3.フーコック島の歴史－島の成り立ちと歴史的事件

　フーコック島の歴史は古代に遡ります。最古のカンボジアの文献では、1615年に「Koh Tral」として言及されています。

　この時期の歴史的な証拠は限られていますが、島は地政学的に重要な位置にあるため、多くの歴史的事件の舞台となりました。

　1680年頃、フーコック島は中国の商人で探検家であるマック・クーによって設立された海洋国家ハティエン公国の一部となりました。

　マック・クーは後にベトナムの阮氏（Nguyễn氏）に忠誠を誓い、ベトナムの主権を認めました。

4.その地政学的な位置と役割

　フーコック島は、カンボジアとの国境近くに位置し、その地政学的な位置から歴史的に重要な役割を果たしてきました。

　ベトナム戦争中には重要な軍事基地として利用され、現在でもその戦略的な位置は経済や観光業において重要です。

5.産業の成り立ち、主要産業の動向

(1)歴史的な産業

　フーコック島の主要産業は漁業と農業でした。

　特に魚醤（ヌクマム）の生産が有名で、これらの産業は島の経済を支えてきました。その独特の風味と高品質で知られています。

　伝統的な製法で作られ、国内外で高い評価を受けています。日本でも値段が高くなりますが、購入することが出来ます。

　また、フーコック島の黒胡椒も特産品の一つで、香りと風味が豊かです。

(2)現代の主要産業

　近年では観光業が急速に発展し、フーコック島はベトナムの主要な観光地の一つとなっています。多くのインフラプロジェクトが実施され、複数の五つ星ホテルやリゾートが建設されています。

(3)フーコック島の歴史的建築物とその歴史的背景

①歴史的建築物

　フーコック島には、多くの歴史的建築物があります。特に、フーコック刑務所（Coconut Prison）はベトナム戦争中に使用された重要な歴史的遺産です。この刑務所は、現在では観光名所として一般公開されています。

②市場

　フーコック島には、地元の市場も多くあり、地元の文化や生活を垣間見ることができます。特に、ドンドゥオン市場は観光客に人気があります。

6.フーコック島の発展－観光地としての発展と経済的影響

(1)観光地としての発展

　近年、フーコック島は急速に観光地として発展しています。豪華リゾートホテルや観光施設が増え、観光客が増加しています。

(2)経済的影響

　観光業の発展は、島の経済に大きな影響を与えています。多くの雇用が生まれ、地元経済の活性化に寄与しています。

　フーコック島は、その豊かな歴史と文化、自然の美しさ、急速に発展する観光業により、訪れる価値のある場所です。

　特産品である魚醤や黒胡椒、歴史的建築物や市場の魅力を楽しむことができるだけでなく、地政学的な位置と役割から見た島の歴史的な重要性も学ぶことができます。

ベトナムを身近に感じていただけると嬉しいです。

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