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日本文学史を年表でまとめ!作家・代表作で一気に振り返る【奈良時代から平成まで】

文学というでっかいカルチャー領域を理解するために、いったん日本の文学の歴史を年表でデータベース化したらわかりやすいかも! と気づいたので、時代ごとに代表作家と代表作品をざっくり書いていきます。ちなみに今後、いろんな記事を更新するなかで、このざっくり文学史年表をアップデートしていく予定です。

では!いざ歴史が長くてややこしい日本文学史奈良時代から平成まで、代表作品と代表作家を見ていきましょう。

奈良時代の日本文学

奈良時代の代表的な作家・ディレクター

・太安万侶
・額田王
・柿本人麻呂
・山部赤人
・山上憶良
・大伴旅人
万葉集関連の歌詠みは多すぎるので、撰者をピックアップしてます。

奈良時代の代表的な文学作品

・懐風藻
・万葉集
(今回は古事記や風土記、日本書紀などのまとめ本は抜きます)

奈良時代は漢字から派生した「仮名文字」が発達して「古事記」「日本書紀」「万葉集」なんかがバーッと出てきた時代ですね。ここでは創作物しか取り上げないので、古事記・日本書紀あたりは省きます。あれは今でいう「まとめサイト」ですから。

この時の文学はもうほぼ和歌です。和歌のもとは「テンション上がると叫んじゃう(諸説あり)」という女子高生的奇声。例えばうまい飯を食べたときに「うんめぇわー!」と声を発したのが、だんだん「うんめぇわ ごはんをひとつ おかわりで のりと味噌汁 それがしあわせ」みたいに5と7の節がついていったといわれている。もともとはかなり動物的な背景があるのだ。

平安時代の日本文学

平安時代の作家・エッセイスト

・紀貫之
・藤原道綱母
・清少納言
・紫式部
・藤原公任
・菅原孝標女
・後白河法王
・藤原俊成
・西行

平安時代の日本文学作品

・竹取物語
・伊勢物語
・古今和歌集
・土佐日記
・枕草子
・源氏物語
・宇津保物語
・蜻蛉日記
・落窪物語
・更級日記

平安時代になると、日本初の物語「竹取物語(作者不詳)」が刊行されたのをきっかけに「源氏物語」やら「宇津保物語」やらが出てくる。ただ識字率はかなり低かったため、こうした物語や和歌集などはあくまで貴族の内輪ノリだった。

また日本初のネカマこと紀貫之の「土佐日記」からエッセイが流行りだす。ただし厳密に言うと土佐日記は創作であり、随筆ではないのです。ほぼフィクションなのです。

鎌倉時代の日本文学

鎌倉時代の作家・エッセイスト・ディレクター

・鴨長明
・藤原定家
・源実朝
・吉田兼好

鎌倉時代の日本文学作品

・新古今和歌集
・方丈記
・金槐和歌集
・宇治拾遺物語
・保元物語
・平治物語
・平家物語
・源平盛衰記
・十六夜日記
・徒然草

鎌倉時代に入ると、貴族から武家社会に突入する。すると「保元物語」「平家物語」「平治物語」などの武士系の創作が出てきて人気を博す。一方でエッセイもまだまだ元気。

室町時代・安土桃山時代の文学

室町・安土桃山時代の作家・エッセイスト・ディレクター

・二条良基
・世阿弥
・山崎宗鑑
・小島法師
・夢窓疎石

室町・安土桃山時代の作品

・菟玖波集
・太平記
・風姿花伝
・新撰犬筑波集
・一寸法師
・ものくさ太郎

室町時代の文学の特徴は「お伽草子」ですね。今でいう絵本です。テーマは武士社会の話や、当時の流行りであった下剋上文化などが主でした。また世阿弥の能の教科書とかもこの時代に生まれ、純粋な文学作品以外のエンタメ作品が生まれ始めます。

江戸時代の文学

江戸時代の作家

・井原西鶴
・十返舎一九
・滝澤馬琴
・近松門左衛門
・式亭三馬
・為永春水
・鶴屋南北
・松尾芭蕉
・小林一茶
・上田秋成

江戸時代の作品

・好色一代男
・日本永代蔵
・南総里見八犬伝
・東海道中膝栗毛
・浮世風呂
・春色梅児誉美
・文武二道万石通
・江戸生艶気樺焼
・雨月物語
・曽根崎心中

江戸時代はエンタメの文化が一気に花開くタイミングでした。というのも武家文化ではあったが、士農工商といわれるように町人文化も農民文化も花が開き、滑稽本や人情本、怪談本、俳諧、読本などが生まれたわけである。書籍としてのジャンルで言うと浮世絵や春画、実用書などもこの時代に生まれました。それで江戸時代は貸本屋がとにかく大ブームで今でいうYouTube見たいな感じで流行ったわけです。

明治時代の文学

明治以降の文学史は以下の記事でもーっと詳しく紹介しています。

明治時代の代表的な作家

・二葉亭四迷
・森鴎外
・幸田露伴
・樋口一葉
・島崎藤村
・尾崎紅葉
・正岡子規
・国木田独歩
・泉鏡花
・与謝野晶子
・夏目漱石
・田山花袋
・石川啄木

明治時代の代表的文学作品

・浮雲
・五重塔
・たけくらべ
・にごりえ
・若菜集
・武蔵野
・高野聖
・みだれ髪
・我が輩は猫である
・破戒
・坊っちゃん
・草枕
・蒲団
・田舎教師
・一握の砂

明治になるとなんか一気に作家との距離が縮まるよね。明治時代の革命的作品と言えば「浮雲」。口語体で文章を書くという「言文一致」が本格的に生まれました。

それに加えて江戸の鎖国が解かれて、一気に西洋の思想が流れ込むんです。その考えを伝えるのが、ある種日本人作家の仕事でもあり、江戸の戯作に加えて政治小説も出てくる。

そこに坪内逍遥が「小説神髄」という評論を出してからは「写実主義」という小説の形が生まれた。日本の小説に派閥とかキャラクターみたいな文化が出てくるのはここから。写実主義からロマン主義、ロマン主義に反発する自然主義、自然主義に反発する余裕派という流れでどんどん作家が出てくるのだ。

大正~昭和(戦前)時代の文学

大正~昭和(戦前)時代の代表的な作家

・斎藤茂吉
・高村光太郎
・芥川龍之介
・武者小路実篤
・志賀直哉
・井伏鱒二
・川端康成
・横光利一
・吉川英治
・江戸川乱歩
・横溝正史
・室生犀星
・佐藤春夫
・山村暮鳥
・永井荷風
・谷崎潤一郎

大正~昭和(戦前)時代の代表的な作品

・阿部一族
・赤光
・こころ
・道程
・羅生門
・友情
・暗夜行路
・山椒魚
・伊豆の踊子
・蠅
・ふらんす物語
・刺青

大正時代はさらに明治より文学が多様化した時代だ。同人誌や雑誌などのサークルが次々に起こり、文豪たちがとても小さなコミュニティに集まって表現を模索していく。個人的にはかなり面白い時代である。なんか少年スポーツマンガみたいな……。「あの雑誌グループのあいつやばいらしいぞ!!」「・・・ふん、俺の筆致に比べたら全然さ」みたいな感じで見ていて楽しい。

昭和(戦中・戦後)時代の文学

昭和(戦中・戦後)時代の作家

・中野重治
・高見順
・野上弥生子
・徳田秋声
・林芙美子
・丹羽文雄
・石川淳
・織田作之助
・石川達三
・岡本かの子
・太宰治
・堀辰雄
・中島敦
・中原中也
・金子光晴
・三好達治
・草野心平
・中村草田男
・火野葦平
・徳富蘇峰
・菊池寛
・宮本百合子
・壺井栄
・坂口安吾
・伊藤整
・獅子文六
・大岡昇平
・三島由紀夫
・原民喜
・安部公房
・安岡章太郎
・吉行淳之介
・遠藤周作
・遠藤周作
・石原慎太郎
・開高健
・北杜夫
・有吉佐和子
・瀬戸内晴美
・大江健三郎
・井上靖
・石牟礼道子
・丸谷才一
・司馬遼太郎
・池波正太郎
・野坂昭如
・五木寛之
・星新一
・筒井康隆
・小松左京
・村上春樹
・村上龍
・宮本輝
・古井由吉
・水上勉
・森茉莉
・金井美恵子
・つかこうへい
・唐十郎
・井上ひさし
・島田雅彦
・吉本ばなな
・山田詠美
・鷺沢萠
・中上健次
・石垣りん
・茨木のり子
・俵万智
・寺山修二

昭和(戦中・戦後)時代の作品

・生活の探求
・迷路
・雪国
・舞鶴
・夜明け前
・暗夜行路
・春琴抄
・細雪
・放浪記
・生きている兵隊
・富嶽百景
・風立ちぬ
・津軽
・山月記
・測量船
・山羊の唄
・智恵子抄
・二十四の瞳
・堕落論
・暗い絵
・斜陽
・野火
・俘虜記
・夏の花
・壁
・砂の女
・個人的な経験
・レイテ戦記
・天平の甍
・羊をめぐる冒険
・限りなく透明に近いブルー
・箱男
・蒲田行進曲
・吉里吉里人
・虚人たち
・ソウル・ミュージック・ラバーズ・オンリー
・キッチン
・TUGUMI
・川べりの道
・ノルウェイの森
・優駿
・サラダ記念日

1910年以降は日本人の生活が一変した時期だ。太平洋戦争が勃発し、敗戦し、アメリカ文化が浸透するとともに右翼左翼的な概念が濃くなった。その後は近代化が進んで高度経済成長期に入り、グワーッと経済成長が起きたかと思えば、バブル期に入って日本全体がお金持ちになり、トレンディな世界観や格差社会、荒れる若者などの問題などが増えていく。これほどの変化がたった40年余りの間に詰まっており、作家や作品もすごい数が発生した。

平成時代の文学

平成時代の代表的な作家

・池澤夏樹
・多和田葉子
・江國香織
・辻仁成
・浅田次郎
・山崎豊子
・阿部和重
・町田康
・星野智幸
・吉田修一
・堀江敏幸
・小川洋子
・中村文則
・川上弘美
・長嶋有
・絲山秋子
・枡野浩一
・穂村弘
・谷川俊太郎
・辻井喬
・赤川次郎
・新井素子
・夢枕獏
・乙一
・冲方丁
・唯川恵
・川上未映子
・山本文緒
・角田光代
・有川浩
・桜庭一樹
・宮藤官九郎
・東野圭吾
・万城目学
・池井戸潤
・湊かなえ
・百田尚樹
・あさのあつこ
・林真理子・恩田陸
・重松清
・伊坂幸太郎
・宮部みゆき
・伊集院静
・三浦しをん
・西尾維新
・奈須きのこ
・鎌池和馬
・米澤穂信
・日日日
・谷川流

平成時代の代表的な作品

・スティル・ライフ
・葉桜の日
・きらきらひかる
・海峡の光
・家族シネマ
・火車
・鉄道員
・機関車先生
・ねじまき鳥クロニクル
・深い河
・告白
・博士の愛した数式
・乳と卵

平成になるともう知ってる人ばっかりですね。平成に入って面白いのはだんだんと文学がハイカルチャーからサブカルチャーに変化したということ。どんどん若い作家が出てきて、昭和のキレッキレで攻めっ攻めの文学性たっぷり文芸というよりはエンタメ性に富んだ「分かりやすい小説」が増えていきました。そんななかライトノベルなどが出てきた感じです。

文学の流れを知ると、作家も作品も急におもしろくなる

作家にも作品にも「背景」ってあります。それはいつの時代も変わんなくて例えば鎌倉時代には武家文化が発達したからこそ、源平の話を書きたくなったんだろうし、昭和にはやっぱり戦争にまつわる作品を泣きながら書いていたんでしょう。

令和になって、文学はさらに多様化していています。さらに動画が強くなって、相対的に文学の力が見直しを迫られている。やっぱり「日本語の美しさ」って日本人の心だと思うのです。漢字ひらがなカタカナ和製英語オノマトペなどなど、日本語の繊細さって世界でもトップレベル。だから日本ではこんなに長く文学カルチャーが人気なんでしょう。日本人ってもう1000年以上、文学とともに生きているんだな、と思うとジーンきたり……。

今回はざっくりしたデータベースとして年表を書きましたが、先述した通り、随時記事を更新しつつ、この記事をアップデートしていくつもりです。のちのち見返していただければ、より文学カルチャーへの理解が深まると思いますのでぜひ!

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