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『生理前のトラブル』〜イライラや落ち込み…肝の気の流れを整えて!〜


性格や感情は体質や体調、内臓の働きと切り離して考えることはできません。特に女性は、生理の2週間前になると情緒の変動を感じている方も多いのではないでしょうか。
無性にイライラして怒りっぽくなったり、憂鬱になったり、わけもなく悲しくなったり…
しかし、「自分は性格が変わってしまったのではないだろうか」と心配する必要はありませんし、女性の定めなのだと我慢する必要もありません。
女性の場合、多くはホルモンバランスの乱れや、内臓機能が弱っていることが情緒不安定の原因だと捉えることも大事なことです。また、逆に体の弱点をしっかりと整えてあげることで、その不安定な状態も改善しやすくなります。

《ヒステリーの語源はギリシャ語で〝 子宮 〞》
ヒステリーの原因は19世紀初頭まで女性特有のものと捉えられ、女性の骨盤内のうっ血によるものだと精神科医たちの間で定説だったそうです。
何千年前の中医学でも同じように考えていました。では、なぜ生理前に精神が不安定になるのでしょうか。
中医学では〝肝〞が弱いと考えます。
「肝」といっても現代医学でいう肝臓の疾患などではなく、検査数値に表れないことがほとんどです。中医学ではもっと広義に解釈します。
「肝」の働きには、気の巡り(ストレスコントロール)の調整作用、血液の流れをスムーズにコントロールする疏泄(そせつ)作用、血液を一定量貯蔵し、体内の血流量を調節する作用があります。また、情緒とも深い関係を持つ臓器として捉えられているため、

・肝っ玉が小さい
・肝が冷える
・肝が据わる

などと、人の感情を表現する際にも「肝」の言葉が使用されてきたのも中医学と深い関係があるからだと言われています。
女性は生理前になると血液の排泄の準備に入ります。そうなると、血を貯蔵する役割の「肝」は機能が低下します。それに伴い、気の巡りと血液の流れを管理する疏泄作用も低下し、子宮や卵巣のうっ血も生じ、ホルモンバランスも崩れやすくなります。また、西洋医学的にも肝臓は体の修復や疲れの回復を司っているため、生理前の血液不足は日頃の疲れを増幅してしまい、イライラや気分の落ち込みを助長してしまいます。
中医学には「激しい怒りは肝を傷つける(暴怒傷肝)」という言葉がありますが、生理前などの「肝」が弱っている状態が、逆に怒りを強くさせてしまうと考えられます。

気分の変動があまりない方でも、
・生理前になると胸が張る、痛む
・生理前になると眠れない、眠りが浅い
・疲れ目、かすみ目などの目にトラブル
・こむら返り、まぶたがピクピクするなどの筋肉のひきつり
・爪が割れやすくなる
なども肝の低下のサインと捉えますので、ご注意くださいね。

《肝の血を増やし、気の巡りを整えることがPOINT!》
漢方薬では、この「肝」の働きを正常にし、イライラ、または憂鬱感、眠れないといった症状を改善する処方はいくつもあります。
処方の主な原材料としては「当帰(とうき)」や「柴胡(さいこ)」があります。当帰は増血作用が高い生薬で、柴胡は気の巡りを高めてくれる生薬です。代表的な処方としては「逍遥散(しょうようさん)」「芎帰調血飲第一加減(きゅうきちょうけついんだいいちかげん)」があります。いずれも婦人科によく使用される処方でもあります。

また日常的にも、
・レバー、牡蠣、卵、ほうれん草、小松菜、人参、トマト、なつめ、枸杞の実、などの血液を補う食べ物
・セロリ、パセリ、大葉、みょうが、三つ葉などの気の巡りを良くする香味野菜
・みかん、オレンジ、グレープフルーツなどの香りの良い柑橘類、酸味のあるもの
などの食材も肝の機能を高めるのにお勧めです!!

また、冬が終わりに近づき、春の陽気な天気を迎えるのとは裏腹に、この時期は「肝」の機能が低下しやすく、情緒が不安定になりやすい季節でもあります。漢方や食事で肝を整えることも大切ですが、積極的に運動をして血液循環を高めることや、趣味に存分に興じることで気を発散することも、「肝」を整え、新しい年度を気持ちよく迎えるためには大事なことです。
現代人は時間に追われ、ストレス過多になりがちですが、今置かれている環境の中で、できることから少しずつ身近な養生を実践できるといいですね!

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