見出し画像

【推薦図書に出会う】詩人になるのは、小説家になるより難しい!?

アイルランド系イギリス人の
ジェームズ・ジョイスに
『若き日の芸術家の肖像』という
作品があります。
ジョイスの自伝的作品と
言われています。

また、日本の戦後作家、 
堀田善衞には、
それを模したのか?
『若き日の詩人たちの肖像』
という自伝的作品があります。

それはどちらも有名で、
なんとなくは知っていました。
堀田さんのは読もうとして買い、
今は部屋でツンドクに
なっていますが(汗)。

ところで、最近、本屋さんで
ある習慣ができました。

それは、これから本棚に
補充する本を満載した台車を
チェックする習慣です。
おそらくは、ここ数日前か、
1週間前に売れてしまい、
今は棚にはない本たちです。

台車には、最近売れた本が
並んでいる訳ですね。 

テレビや新聞や取次が
発表するランキングとは
またちがった意味での、
最近の売筋がよくわかります。
とはいえ、あくまでその本屋さんの
売れた結果です。
ぐうぜん普段は売れない本も
入っているかもしれない。

いや、だからこそ、
より信頼ができる気がします。
本当に最近売れて、棚から消え、
今から補充するところなのですから。
 
で、きのうも、
文庫売り場の台車に載ってる
本をチェックしていました。
最近は、時代小説が本当に 
よく売れてるみたいですね。
台車の上には時代小説が
いっぱい並んでいます。
どうもまだ私は時代小説が
読みたいと思ったことはないです。
まだ現代小説で読み残したものが 
いっぱいあると思うからです。

そんな中、
決して売れ筋ではないであろう
珍しい本が目に入り、
自然と手にしてました。

タイトルは
『若き詩人たちの青春』
作者は三木卓さん。

三木?卓?
知らないなあ。

プロフィールを見たら、
詩人でかつ小説家だとある。
しかも、芥川賞、谷崎潤一郎賞、
芸術選奨、毎日芸術賞、紫綬褒賞、
これはすごい作家らしい。

でも、まだ、
それで買うかというと、
そうでもありませんでした。

では、中身を見ましょう。
さあ、目次を見てみました。

戦後詩人たちのことを書いた本
らしいことがわかりました。

ですが、それでも、まだ
買うかどうか、
決め手にはなりません。

でも、ある序章のタイトルを見たら
ああ、これは読まなきゃ!
と、電気が走りました。
その序章のタイトルは
「詩人になりたい」。

詩人になるのは難しい。
詩人になるのは、小説家になるより
はるかにずっと難しい、とは
ずっとずっと言われてきました。

ところで、なぜ詩人になるのは、
そんなに大変なのでしょう?

それは読む人が圧倒的に少ないから、
でしょうね?
哀しいですが、確かに詩集が
何万部も売れたという話は
あまり聞きません。

詩だけで食べていけるのは、
谷川俊太郎だけだなんて、
都市伝説的に言われている。

だから、小説家になるよりも
倍率的に、詩人になる方が
何倍も何十倍も何百倍も、
大変で難しいんです。

それでも、詩人になると、
覚悟を持って言える人は
カッコいいんですよね。

だから「詩人になりたい」と
きっぱり宣言して、
その通りになった、
この三木卓さんに
私はすっかり
感動してしまったのです。

さて、もうこれで決定打に
なりそうでしたが、
最初に刷る部数が
あまり多くなかったのでしょう、
そんなに分厚くもないのに、
定価は税別で、1350円です。
うゎ〜ん、どうしよう?
今はかなり「買う」に
傾いていますが、
もうひとつダメ出しが欲しい。

それで、目次を
詳しく見ていきました。

そうしたら、
戦後詩、現代詩に活躍した
詩人たちの名前が次々と並んでる。
大岡信、
鮎川信夫、
谷川雁、
寺山修司、
田村隆一、
清岡卓行、
吉野弘、
草野心平、
木山捷平、
金子光晴、
などなど、とにかく、
大詩人たちとの出会いや
付き合いの様々なエピソードが
語られている、らしい。

これはノンフィクションなんだあ?
それに、このメンツの揃いぶり。

これはやっぱり買うしか
ないでしょう。

三木卓という詩人・作家は
本当はすごい力の作者だった、
と知るのは、その夜でしたが、 
その本を買ったのは、
詩集に力をいれている
神田神保町の東京堂書店だから
並んでいたのでしょうね。

良い本に出会えました。
これから棚に補充する台車を
チェックしてみて良かったあ。

みなさんにもオススメです、
補充用の台車チェックは。

ああ、それにしても
詩人になりたい!と
叫んでたことが、
こんな私にもありました(笑)。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?