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#04 これから「音楽史」をじっくり書いていきます。

はじめに


音楽が好きなひと、音楽のことを知りたいひと。
たくさんいると思います。
その中で、音楽の歴史に興味があるひともいるでしょう。

便利な世の中なので、ネット検索すればいくらでも出てきますし、入門書から専門書まで、本もたくさん出版されています。

しかし、読んでみても「音楽史」に書いてあるのは、クラシックのことばかり。覚悟を決めて読み進めても、現在の音楽にどうつながるのか一切わからないまま、何となくベートーベンがすごいってことだけわかったような気になって、終了してしまいます。

そうなんです。困ったことに、学問的には音楽史といえば西洋芸術音楽史のことに限定されているのです。

そこで、今度はポピュラー音楽史を調べてみます。
すると、一番多く出てくるのはロックを中心とした歴史。ジャズやブルースをマエフリとして、様々なロックのことが書いてあります。

なるほど現代の音楽はロックが下敷きになっているから、そういう書き口なのか、と無理やり納得して読み進めていくけど、あまりに「商業主義に反抗するカッコイイ生き様」みたいな、視点の限定された書き口に疲れて、ふと気が付きます。ポピュラー音楽って別に、ロックだけじゃないよね?そして、2020年代を生きる自分たちにとっての「今の音楽」にどうつながるのか、まだわからないまま。

「ジャズの歴史」「ブラックミュージックの歴史」「クラブミュージックの歴史」「ミュージカルの歴史」などと、個別に調べれば、それぞれ別々に詳しく出てくるけど、どうもすべてが繋がらない。

ちなみに、wikipedia「ポピュラー音楽」や、詳しい専門書には、あらゆるジャンルのことが全部詳しく書いてあるんですが、それでも各ジャンルごとにバラバラに書いてありすぎて、一連の流れや繋がりが分かりづらすぎるんです。しかも逆に専門的な分析や批評も多く、玄人向けの研究といった感じ。

ちょっと音楽が好きで、ふとした興味でその歴史を知ってみたかっただけなのに、その疑問を晴らす音楽史が1つも無い!!

ということで、純粋に「クラシックからポップスまでの両方の歴史を並列でわかりやすく書けないものか」という興味から、それぞれの歴史を繋げて書く試みをやっていきたいと思います。


このチャレンジの詳しい意義は、
今までの記事で延々と書いてるので
興味があれば、こちらもどうぞ。


問題意識と書き口


僕の問題意識として、上記に書いた

「各ジャンルごとに物語がバラバラなのを解消してみたい。」

というのと、今までの記事に書いた

「ジャンル間の価値観の違い、文化の差とは何なのか?」

というテーマが一番にあります。

そのため、書き口として
「ジャンル別」ではなく、
「同時代ごと」に記述することに
なるべくこだわります。

そして、クラシックとポピュラーが分かれていく過程だったり、そういう部分を一番丁寧に調べていきたいと思っています。

ジャンルごとなら、僕が書かなくても既に大量に情報はあるのでそれで十分だと思います。

そして僕は、別に歴史研究者ではなく、各国へ行って一次資料を発掘するようなことはしてません。ただ、今まで各分野ごとにしか書かれて無かったものを、同じ年表に並べて比較することによって、まったく見えてなかったものが見えてくるだろう、ということは積極的に狙っていきます。

たとえば、その当時は今で言うクラシックも「当時の現代音楽」だったはずなのにいつから「クラシック扱い」になってしまったのか?

という疑問から、クラシック史の常識であるドイツ中心の歴史だけではなくフランスやイタリアの様子も平等に見ることで、ある種、新事実のような書き方もするはずです。(その視点での信頼できる本もたくさん読みましたので)

知識ゼロから読む人は一番わかりやすいと思います。逆に、どれか1つの分野の音楽史を知っている人からすると、違和感が多い内容になるかもしれません。(今までも、クラシックを専攻する知り合いにこういうアイデアを話しても、あまり共感してくれなかったし・・・笑)

ですが、繰り返すように、これは既にある情報達を並べなおしてみる試みですから。もし今読んでるあなたが何か1つ詳しいジャンルがあるとしても、その中からではなく、外から見てみる視点を楽しんでもらえれば一番嬉しいです。

いわばメタ音楽史。です。


前提知識

ポピュラー音楽内での、ジャズ、ロック、ポップ、ヒップホップ・・・といった違いも後々問題にしていくつもりですが、まず一番初めに立ちはだかる問題は「クラシック」と「それ以外(=ポピュラー音楽)」の区別です。
それほど、クラシックは特殊性を帯びています。旧来の学問では音楽といえばクラシックのことで、それ以外はポピュラー音楽として問題にされてきませんでした。

そもそも、数あるジャンルの中で「まずそこで分かれるんだ!?」という感覚のひともいるでしょう。

ということで、はじめに、フィリップ・タグの定義を引用して人類誕生から現在までの全音楽をざっくり大分類します。

フィリップ・タグは全音楽を3つに分類しました。

民俗音楽芸術音楽ポピュラー音楽です。

その定義は色んな項目があるんですが
僕的にわかりやすいと思った2項目をあげます。

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※民音楽は民音楽ではありません。民族音楽は、その民族に伝わる音楽という意味になり、ここでは民俗音楽と違う意味になります。

※芸術音楽とはクラシックのことです。いかにジャズやロックなど他のジャンルで芸術的な作品もある、と感じても、ここでは上記のクラシックの特殊性ということで汲み取ってください。

※例外もあると思いますがこの記事はnoteであり学術論文ではないので、「主にこうです」ということで許してください


ここで、民俗音楽というのは口承(口伝え)での文化なので、太古のものなど資料が残っているはずもなく、扱うと化石研究みたいになってしまい、「現在のジャンルの比較」という僕の目的から離れすぎてしまうのでマエフリとして軽く済ませます。

ということで、従来の音楽史同様、はじめはクラシックに関するお話からスタートです。。。


あ、やっぱり世界史の知識もいるよね

これも、知ってる人にとっては当たり前の前提知識かもしれませんが、歴史というからには、世界史の知識がある程度要ります。

僕が大学在学中に音楽のジャンル論に興味を持ち始めたとき、お恥ずかしながら一番障壁となったのがここです。。。笑

高校で全然マジメに世界史の授業を聞いてなかったので、どうやって大学の社会学部に受かったのか!?というくらい、知識が皆無でした。なので、世界史を勉強するところからスタートしました。笑

神聖ローマ帝国 = ドイツ のことだ、

とか、

オーストリアもドイツ語圏で
そこらへん一帯ぜんぶ同じ、

とか全部、20歳過ぎてから知りましたもん。苦笑

なので、必要な世界史のこともわかるように今後の記事でもその都度書きますが、

まず今回はざっくりと、
19世紀までは世界はヨーロッパの覇権でした。
20世紀からは世界はアメリカの覇権になりました。

ということだけ。

ところで、冒頭で書いた通り、
音楽史とは西洋芸術音楽史のことであり、
それは19世紀のヨーロッパが舞台です。

ポピュラー音楽史とは、
20世紀のアメリカが舞台です。

クラシックとポピュラーで
何故、バラバラに分離しているのか、
原因がもうなんとなくわかりましたか??笑


もう1つ。ここでいうヨーロッパの中心は、
ドイツ、フランス、イタリアです。
この3地域が主人公です。
そして、この中で16~19世紀ごろそのまま国としてまとまっていたのはフランスだけで、ドイツやイタリアは複数の諸侯が乱立する地域名のことです。

イタリアはキリスト教のトップ「ローマ教皇領」がある場所。

そして、ドイツというのは「ドイツ語圏」または「神聖ローマ帝国」という意味で、現在のドイツ国より広く、オーストリアとかも含みます。なので音楽の都、ウィーンも、ドイツということになります。

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地図引用:https://sekainorekisi.com/glossary/%E3%83%8F%E3%83%97%E3%82%B9%E3%83%96%E3%83%AB%E3%82%AF%E5%AE%B6/


この点に注意しておけばだいたい大丈夫だと思います。笑

博識な人は「何をいまさら言うとんねん」って話だと思いますが。あとから世界史を勉強した男の戯言でした。

それでは次回もお楽しみに。
お読みいただきありがとうございました。

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