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【本要約】言語の起源


2022/5/5

言語の歴史

言語こそが、人間と動物を分ける境界線になる。

言語を理解しようとすれば、言語の起源や進化を考慮しなければならない。

  1. 言語は、文化から徐々に出現した。

  2. 文化は、脳を利用して互いにコミュニケーションをとった人類によって形成された。

  3. 言語が、文化を成り立たせた。

言語は、人類史が発明したもので、のちに各地域で個別に発展した。そうして生まれた新しい言語共同体は、自分たちの文化に合うように、言語に改変を加えていった。

誕生当初の諸言語には、人類の神経生理や発声器官による制約があった。そこから、あらゆる言語は徐々に姿を現していった。ただ、言語は、ジェスチャーから生まれたものでも、歌や動物の声の模倣から生まれたものでもない。

言語は、文化的に発明されたシンボルを介して始まったのである。

言語は文化的に発明され、形を整えてきたが、それは人類の巨大かつ高密度な脳によって可能になった。「 なぜ、人類だけが話せるのか 」という疑問には、この脳と文化の組合せで答えることができるだろう。

人類のコミュニティは、何もないところから、シンボル・文法・言語を創造したのである。

発明とは、文化が創造したものだ。

エジソンは独力で電球を発明したわけではない。その100年前にフランクリンが電気の分野で行なった成果が必要だった。一人で成し遂げられる発明は存在しない。

誰もが文化の一部であり、誰かの創造性・アイデア・先行する試み・自分が住まう知識の世界の一部をなしているのだ。あらゆる発明は時間をかけて、少しずつ積み重ねられていく。言語もまた、例外ではない。

言語の中核をなすのは [ シンボル = 文化的な合意を経た形象 ] を文化によって、発展した意味に組み合わせたものだ。この過程は、人類の知覚と思考の制限の下で進行するが、大部分は人類の社会・価値観・知識・社会構造の産物である。

① ある物事と対象との順当な結びつきの結果である。
② 一度、結びつきができあがると、人々によるシンボルの利用が始まる。
③ 各々が他者から学んでいくようになる。

コミュニケーションは、ジェスチャー・イントネーション・肺・口・舌・手・身体の動き、さらには眉毛までもが総動員される。コミュニケーションを構成する様々な要素は、シンボルをどんどん小さな部品に分解していく一方で、その部品を使って、段々、大きくなるユニットに組み立ててもいく。

言語音・文・接辞・声調はすべて、シンボルの発明から生まれた。そして、その過程は、他のあらゆる発明と同様に、シンボルが社会の関与によって時間の経過と共に発展した。

言語は、時代や文化により変化する。

「 言語 ( 言葉 ) が言葉という一つの体系としてある 」とか「 言語を人は習得する ( 言語を操る本能がある ) 」といったことではなく、言語はある文化の中で人々がコミュニケーションする様子、あるいは人々が生活する様子の切り取り方、文化が表出する一つの運動だ。

例えば、「 人のコミュニケーションは、まず身振りがあって、それから音声言語が生まれる 」とか、「 その音声言語も単純な発声から、きれぎれの言葉が並べられるだけのものを経て、複雑な文法が育つ 」といった道筋を辿って一人前の言語に成長するわけではない。

  • コミュニケーションにはそもそも身振りも音もあって、身振りの部分・音の部分は重なり合い、また作用しあって言葉全体として進展する。

  • 「 意思疎通しなければ 」と思わせる何かの事態に応じて発せられたひとまとまりの音が反復される中で、意味を補ったり強調したりする文法のような機能が生じると共に、その作用で全体が単語にも分かれる。

単純なものが複雑になる成長の物語というより、もともと複雑な一つの全体から、言語やその様々な側面が分化していく。別々のものと思われていることが、核になる同じ一つのものから枝分かれし、またそれがからみあって進展する。

言語の起源

  1. 会話は、実際に伝えたいことよりも常に言葉足らずである。

  2. 会話は、言外の前提を何らかの方法で解釈することを聞き手に任せる。
    会話は、意味をはっきりさせるのに、必ずしも十分ではない。

  3. 会話の「 非明示性 」が、言語の本質を理解するための助けとなる。

  4. 非明示性は、言語の一部を担い続けてきた。

人類は、自らの認知・知覚の制限・可聴範囲・発声器官・脳の構造にうまく適合するように言語を発展させてきた。非明示性とは、あらゆる会話のあらゆる発話・あらゆる小説のあらゆる一節・あらゆるスピーチのあらゆるくだりに「 空白点 」= 話されることない暗黙の知識・価値・役割・感情が含まれていることを意味する。この言葉で特定されていない内容のことを「 ダークマター 」という。

言語を全面的に理解するには、共有され、内在化された一連の価値基準・社会構造・知識の関連が欠かせない。これらの共有された文化的・心理的要素を通じて、言語は伝えられる内容にフィルターをかけ、聞き手を解釈に導くのである。

人は、言語が話される際の文脈と文化を利用して、その言葉を解釈する。

同時に、伝えられている意味を十分に読み取るために、ジェスチャーとイントネーションも利用している。

言語のあらゆる要素は、会話や社会生活に参画できるよう進化してきた。言語は、最初の一人が初めて語や文を口にしたときに完全な形で始まったのではない。

言語とは、その源泉であり目標でもある会話が生まれたときにはじまった。

言語は生活を変える。言語は社会を築き上げ、私たちの最も強い願望・最も基本的な考え・感情の動き、人生哲学を表現する。すべての言語は意思疎通のためにある。まずは会話ありきであり、文法やストーリーといった言語の他の要素は、あくまで二の次である。

シンボル ( 象徴記号 ) は、人類を言語獲得に導く発明だった。

シンボルとは、例えば「 いぬ」という音を用いてイヌ科の動物を指示するように、恣意的な形象を特定の意味へと結びつけるもの。

  • シンボルが、どう誕生したか?

  • シンボルが、どうやってコミュニティ全体に採用され編成されていったのか?

人類言語の起源に関して、現在最も影響力のある説明である。

言語とは、5〜10万年前に起きた、たった一度の遺伝子変異の結果であり、その変異によって、ホモ・サピエンスは複雑な文を組み立てられるようになった。

この一連の主張は「 普遍文法 」と呼ばれる。だが、人類の生物学的・文化的進化に関する形跡を入念に調べていくと、新たな仮説が浮かび上がってくる。

言語起源の「 記号進展理論 」だ。

言語の創造
・指標記号インデックス ( 足跡が動物を指すように、物理的につながりのあるものを表す事項 )
・類像記号アイコン ( 実在の人物の肖像画のように、表そうとする事物と物理的に似ている事物 )
・象徴記号シンボル ( 恣意的な、慣習的な意味の表し方 )

  1. シンボルはいずれ他のシンボルと組み合わされて文法を生み出す

  2. 単純なシンボルから複雑なシンボルが構築されていく

  3. 記号の進展が言語進化のある段階に達する

  4. ジェスチャーとイントネーションが文法と意味に統合され、一人前の言語が形成される

  5. 一方が話す情報が他方に伝達され、それと同時に強調もされる。

言語の裂け目が存在する理由を、「 人類が他のどんな動物とも異なる特別な存在だから 」と考える人もいる。その一方、人類の言語の独自性は「 神によって設計されたものだ 」と信じている人もいる。また、文化によって促進されたホメオパシー的な変化「 全体から見ればごく微小の要素から生じる変化 」により形成されたという説がある。

人類の言語は、他の動物のコミュニケーションシステムと劇的に異なってはいるが「 言語の閾値 」を超えるための認知的・文化的な一歩は、小さい。各種エビデンスは、人類が「 突然の跳躍 」によって独自の言語的特徴を得たわけではなかったこと、現代人類に先行する種がゆっくりと着実に発展して言語を手に入れたことを示している。こうした初期ヒト族のゆっくりとした歩みは、最終的に人類の言語と動物のコミュニケーションの間に大きな進化的溝をもたらすに至った。結果として人類は社会の複雑さと文化を発展させ、また他の生き物よりも生理学や神経学の面で優越した存在に変貌していった。


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