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【本要約】恋愛と贅沢と資本主義


2022/4/23

ゾンバルト

ゾンバルト ( 1863 - 1941 ) は、歴史と経済学の統合をはかった。

資本主義はどうやって生まれたのか?
・植民地主義の影響
・キリスト教的禁欲主義の影響

植民地主義とは、国境外の領域を植民地として獲得し支配する政策活動と、それを正当化して推し進める思考を指す。大航海時代から20世紀後半にかけては強国が盛んに植民地を獲得し、互いに覇権を競っていた。

ゾンバルトは「 資本主義とは、恋愛と贅沢から生まれた 」と解釈した。

ゾンバルトは、資本主義と3つの神との関係について研究した。
・ユダヤの神 ( ヤハウェ )
・武の神 ( 戦争 )
・富の神 ( 贅沢 )

贅沢

中世初期頃まで、すべての富は、土地所有者 = 王・貴族が独占する封建的な富であり、土地を持たない市民が裕福になる道などなかった。

商人が富を得ることができたのは、ヨーロッパ諸国が、植民地から強制貿易・略奪・奴隷化により吐き出させた様々な資源を散財する富裕層に贅沢品として売りつけたからだ。

商人の客は、金持ちばかり、貧乏人を相手にしても富は得られない。

封建的な富に対する、市民の富ができあがる。

カンティヨンの都市理論

  1. 王・首領が快適な場所を見つけ住み着く。

  2. そこに貴族が一緒に住み社交界が生まれる。

  3. 彼らの暮らしのために、大工や酒屋や肉屋や服屋など、職人や商人が必要になる。
    さらには彼らの住居として大量の家屋が必要となりそこに労働者たちが集う。

  4. 王や貴族の消費により、都市は拡大を続け、富を得た資本家が登場し、消費はさらに拡大し、都市の人口が急速に増加する。

  5. 大都市が次々と登場していく。
    大都市は、すべてが消費都市であることが重要だ。

市民の富の飛躍により、新興成金が誕生した。新興成金の登場で、社会に変化が起きた。1600〜1800年の間に、新興成金が貴族と同列となった。新興成金は、貴族という身分を金で手に入れ、社会に新貴族が誕生した。

貴族と新貴族は、贅沢をすることばかり考えていた。

優雅な暮らしを送る貴族に対して、多くの市民や農民は、決して裕福な暮らしではなかった。身分制による専制政治による格差が社会を覆っていた。

貴族たちは、納税を免除され、土地を所有し、農民を支配する。農民は農奴とされ、市民も重税に苦しめられていた。

  • 王や貴族による消費の拡大

  • 大都市の誕生

  • 新興成金新貴族の登場

こうした社会発展の中で、都市と社会制度が形成され、必要以上の贅沢 = 奢侈 ( しゃし ) が生まれた。

奢侈こそが資本主義の発展を読み解くキーワードである。

「 もっとたくさんいつでも贅沢がしたい 」という貴族の欲望は尽きることがない。そんな貴族の希望する社会を作ったのが、新興成金であった。

貴族は、即物的なものに、金を使うことを重視した。

奢侈
・量の奢侈
・質の奢侈

質の奢侈の目的
・理想主義、利他主義に基づいて神殿をつくる
・唯物主義、利己主義に基づいて絹のシャツを買う

唯物主義・利己主義な奢侈は、ルネサンス期より発展し、日用品の中に姿を現し始め、それが富める者の投資の動機となった。

一度、芽生えた奢侈は、他者への見栄となり、かつては、宮廷だけの贅沢が、個人レベルで表現されはじめる。

宮廷から劇場が飛び出し、高級レストランや高級ホテルといった奢侈施設が発展していく。人々は、集団的贅沢を形成していった。

宮廷生活に憧れた貴族が信仰成金にそそのかされて始まった日常的な贅沢、その贅沢は貴族の生活に憧れる人たちにも波及していく。

その贅沢の発展には、女性が大きく発展している。

恋愛

中世では妻以外との性愛が、認められていなかった。中世の恋愛観では、宗教が重要視され、結婚を神が望み、神が祝福する制度とし、制度上結ばれていない恋愛は罪とされていた。

吟遊詩人の歌をキッカケに、恋愛は世俗化していった。人々は恋愛の素晴らしさに気付き「 恋愛が人生や生活においても重要だ 」と考えるようになっていった。

愛は人々を魅了して法の枠内で収まりきれなくなる。

  1. 結婚と恋愛が同等の権能を持ち分離、非合法の恋愛が発生する。

  2. 「 結婚は家族や子孫のためにするものであり、純粋に性愛だけを楽しむこととは、別だ」と考えるようになった。

  3. 純粋な性愛な肉欲に集中したい人々の要望に応えた社会の変化が起こる。

  4. 非合法の恋愛が普及し、由緒正しい婦人の娼婦の中間に、新しい層の婦人が登場する。
    愛人という女性の存在である。

王の結婚は国家にとって最大の外交になる。王の結婚は外国の王女を、妻にすることで、国家に貢献する。だから王は恋愛結婚ができない。王の恋愛は大目に見られ「愛人がいてもいい」とされた。

公認の愛人には、既婚女性しかなれない。王妃の座を狙わないように考えられた仕組みである。独身の女を愛人にするときは、夫をあてがって宮廷に呼び入れた。

フランス王室では、王様の愛人は、公式の役職で、王妃に次ぐ権力を有し、貴族の地位と年金も支給された。

  • 男は女を喜ばせるために、贅沢品を用意し差し出す。

  • 世の中の贅沢品の多くは女性のために存在する。

  • 贅沢の文化の裏側は「 女性が支配している 」とも解釈できる。

王国では奢侈はなくてはならない。
もし、富者が贅沢のための消費をしなくなると貧乏人は飢えてしまう。
モンテスキュー

資本主義

奢侈は市場をつくる力を持っていたので、初期資本主義時代の知識人は、奢侈を評価した。

封建的な富が、市民的な富に移行するパラダイムの中で、革命が起きた。

貧困の大衆が、富者の奢侈を引きずり落とした。

一方で「 奢侈は、産業を促進させて、社会全体には利益をもたらす 」と捉えることもできた。

恋愛と贅沢によって資本主義は形成された。

非合法恋愛の合法的な子である奢侈が、資本主義を産み落とした。

この世は女と見栄っ張りによって、動いていく社会だ。

資本と同様に重要なのは、特定分野の技術や知識を持つ優秀な人間である。

優秀な職人を、大勢の職人の上に立たせて、その技術や知識人を、共通の価値として、すべての職人に利用させる。そうすることで、優秀な一人の職人が、優秀な組織を形ていく。会社組織の原型である。

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