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ふる里のゼロ地下で

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エルトポ、寺山修司、ガレージパンク、カルトGS、シュールレアリスム好きな方と交流したいです。
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#ショートストーリー

こいつめの(眠れない時の実況中継)

こいつめのこやつめのイライラゴリゴリラ、お前寝ないで何やってんだと正直もう死十年位は言い続けてるはずなのだが、相も変わらず眠るのがど下手糞だ。

この頃では聴こえてるのに皆が聴こえて無い面もあり、また認知症75歳男だがパキ汁で殺人事件が起こったりと春先迎えるのに万全の体調が用意されてる矢先の事。

あれほど肝臓痛いの介に、

「祭文庵とガーファンクル聴けば治る、とにかくブックヲフのベスト盤でも良い

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ヴッシツ①

どこもかしこもヴッシツ(物質)だらけ。
生きづらい世の中になったものです。

でも、そう嘆いてばかりもいられません。
我々人間もまたヴッシツ(物質)なわけですから。

というわけで今回のフェイク教養講座は、
ヴッシツ(物質)に必要欠くべからざる
八つの力(りょく)を紹介していきます。

○努力
まずはそこに「ある」ために、己の存在を保つために、一等最初に必要なのが努力です。
空気や風、そして時間か

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キーポン!キーポン!ジャストキーポン!

「キーポンロッキン!」
こう言われて何のことか、 
思いあたらない人もおりますまい。

甘いだけのグルーヴには、もう、うんざり!

え?ノンノンノン、
「昭和」なんてもう古い。 
え、なに?「大正」?
古い古い! 
俺たちは新しい明日に向かって走るのさ。

そう、「平成」さ!

「平成」こそが俺たちの時代。
ニューロックの幕開けってわけ。  

ヘイヘイそこのベイビー、うつむいてなん

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「いぐどわ」の同時性

 権太郎おごそか。
「おえもぎえでいーがらそろそどわいぐどわ」
 冷たいオレンジジュースに囁く。
「ごえもいぐどわさって、だぺした」

 新首都である津軽都(ツガルミヤコ)から来た記者はインタビューにならず、肩をすくめている。ちょっとカッコつけた彼は、
「憂鬱な午後はセメダインで出来ている」
と確実に感じていた。
 
 山々に抱かれたこの古民家で行われている、暗く、下らなく、血なまぐさい人間ドラマ

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天国行ったらなんと居酒屋

鍋の湯気の向こうには懐かしい顔が並んでいた。
みんな笑顔で、中には生前見たこと無いくらいに顔がほころんでいる奴もいた。
座敷の遥か彼方では、滝をバックに金色のオーケストラが演歌のインストゥルメンタルを荘厳に奏でてていた。

便所に行ったら、俺の好きなグリーンアップルの芳香剤が使ってあった。
便器から「カニシテー、カニシテー」と低い声がたくさん聞こえてきていたが、 あれは多分地獄からのものD

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美しそうな日本語

ウン十年前の話。
「おいしそう」はあまり良くない。
と、現国の先生。
一風どころか2、3風変わってる。
あれは7風ぐらいまでいくと、逆に自分に吹いてくるルール?なんだっけ。

曰く、おいし「そう」じゃない、
「おいしい」んだ。
仮に食べていなくとも、そう言わなきゃ相手に失礼だ。
おいしそうだ、つまり、おいしい風だ、では、
カッコ、まずいかもしれない、カッコ閉じ、になってしまうだろ。

いいですかー

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十月はまぁまぁだ

 ニセの季節はつまらない、いつか買ったカップを見てる。肩口から入ったアドヴァイスが、心臓で弾丸に変わる。「約束が違う」と詰め寄ると、アンチクショウめ、空き瓶に変わって風に吹かれて転がってった。それから元号が2回変わった。

 そんなこんなで遊んでいると、結び目の顔をした彼女はもう、サイレンと一緒に遠くへ引っ越した後のまつりだった。
「ビデオの中の鏡の中の雑誌の中のお便りの中で誕生会をする家を訪ねる

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ほめる

 大した事無い、或いは、興味の無い事を言っている相手を褒めるのは立場上しょうがないが、幽体離脱し少し上空から見ると、気持ち悪いほど我が身がカッコ悪いですね。

 その時はもう十中八九、社会で生きていくうえでは欠かせない「悲しいニヤニヤ」という表情をしている。

 ふと思い出すのが、
「アルバム『かっこいいことはなんてかっこ悪いんだろう』1969年
 発表作品」
ということわざであるが、よく考えると

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