十月はまぁまぁだ

 ニセの季節はつまらない、いつか買ったカップを見てる。肩口から入ったアドヴァイスが、心臓で弾丸に変わる。「約束が違う」と詰め寄ると、アンチクショウめ、空き瓶に変わって風に吹かれて転がってった。それから元号が2回変わった。

 そんなこんなで遊んでいると、結び目の顔をした彼女はもう、サイレンと一緒に遠くへ引っ越した後のまつりだった。
「ビデオの中の鏡の中の雑誌の中のお便りの中で誕生会をする家を訪ねる時に連れていける大鳥が欲しい」
 そう言ってたっけ。

 時代は進んでいるから、回転して元の位置に戻る回数が増えてうらやましいやら、馬鹿らしいやら。

「風船になって飛べればいいのに」

 そうつぶやくと、夕焼け団地のロボットBOYは、 

「そうなっても、いつまでも待っているよ」

 と言ってくれるが、そのアンテナは悲しみに囚われている。

 ところで、深夜、駅前に捨てられたビニール袋が
星空を見上げてつぶやいた。

「狂熱の故郷で踊って騒いだあの時は、
 どこでどうしているのだろう?」

 十月がまぁまぁだった、ある地方でのお話。

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