天国行ったらなんと居酒屋

鍋の湯気の向こうには懐かしい顔が並んでいた。
みんな笑顔で、中には生前見たこと無いくらいに顔がほころんでいる奴もいた。
座敷の遥か彼方では、滝をバックに金色のオーケストラが演歌のインストゥルメンタルを荘厳に奏でてていた。

便所に行ったら、俺の好きなグリーンアップルの芳香剤が使ってあった。
便器から「カニシテー、カニシテー」と低い声がたくさん聞こえてきていたが、 あれは多分地獄からのものDEATH。

熱燗でほろ酔いだった俺は長々と放尿したが、その間、座敷のほうから歓声が挙がっていた。手を洗っていると、焼酎フェアもやっているとビラにかいてあった。
「飲み放だい」には入っていないが、あのはげと百年ぶりにとことん酌み交わそうと思った。

歓声は鳴り止むどころか、爆発的に大きくなっていた。

ワクワクしながら座敷のフスマを開けると、目がくらむほどの祝福の光に包まれた。

次の瞬間、俺は、おかわりグラスを持って、ほっけ焼きの泳ぐライム酎ハイの海へダイブしていた。


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