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ダンス・ダンス・マカブル
蝋燭はもう最後の一箱だ。
あたしの隣でララがぶぅぶぅ鼻水まじりの呼吸音をたてながら、震える手でマッチを擦ろうとしている。この朽ちた館に入る時は一番元気だったのに、今ではこのざまだ。
まぁ、さっきルルが空中でねじれて死ぬのを目の前で見てしまったから無理もない。あのときちょっと離れた場所にいたことを、あたしは神様に感謝した。ついでに祈った。この哀れな見習い除霊師をお救いください、と。
外れたド
『みんなこわい話が大すき』に関する覚書(ネタバレあり)
カクヨムで一月〜二月にかけて連載していた拙作『みんなこわい話が大すき』に関するメモです。
↓本文
見切り発車でプロット等がなかったため、連載中に様々な点が変更されていました。それらを思い出せる限り列挙したものです。設定に関する覚書も加えました。
なお、大いにネタバレがあります。ご注意ください。
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・最初は第一章だけで終わる予定だった
・ナイナイの素体は
凍えるほどにあなたをください
【カクヨムの『同題異話SR』という自主企画のために、指定されたタイトルに沿って書かれた作品です】
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どこでもいいから、ふたりで寒いところへ行こうと思った。
たまたま入った駅前の古い食堂のテレビは、未だにブラウン管で画面の色がところどころおかしかった。そこから流れるニュースは、今年一番の寒波がやってくると告げていた。
幸先がいいと思った。順くんは暑いのが苦手で寒いのが
愛と呼べない夜を越えたい
【カクヨムの『同題異話SR』という自主企画のために、指定されたタイトルに沿って書かれた作品です】
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改札を出るとすでに夜は始まっていて、行きかう人々の頭越しに大きな満月が浮かんでいる。私は黒いパンプスを鳴らして駅から街に出て行く。
壁と天井に囲まれた場所を出ると、途端に木枯らしが私の顔や首元に吹きつけてくる。私は黒いコートの襟を立てて首をすくめ、なんとなく物悲しい気持ち