小説|腐った祝祭 第一章 7
サトルは朝七時になると、女中を一人連れてナオミの部屋の前に来た。
自分は廊下で待ち、女中にナオミの様子を見に行ってもらう。
廊下の窓から庭を見る。公邸の裏側にあたる庭だ。本館との間の中庭より広い。
まだ薄暗い朝だった。庭全体に低く靄が立ち込めている。視界が悪いので、遠くに見えるはずの街並みはかき消されていた。
改めて見れば神秘的で美しい庭だ。晴れた日も綺麗だが、朝の気温が急に下がるこの時期は、この靄のお陰で幻想的な雰囲気になる。冬になれば、気温差がさほどでもなくなる