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優しくされたぶん優しくできるんだよ【子育てエッセイ】
その日、私は生理痛にのたうち回っていた。
第一子を出産した後、生理が安定する間もなく第二子を妊娠出産し、現在産後1年と3ヵ月。ようやく私の生理は安定してきた。ように思えた。
まだ生理1日目。それなのに、お腹が痛くてつらかった。産前は生理痛と無縁の生活をしていたのに、第二子出産後から生理痛デビュー。(こんなへんてこなデビューをするくらいなら、高校デビューを決めたかった。)
2日目や3日目が痛みと出血量のピークだと思うと、薬を飲む気分にはとてもなれない。家に常備してある「ロキソニン」にちらりと目をやっては、前回2日間連続で服薬して、胃痛と吐き気で痛い目を見たことを思いだす。
保育園を早退してきた子どもたちが、お昼寝から目覚めた音がした。寝起きなのに、両手に大好きなねんねのぬいぐるみを抱っこして、とたとたと走ってきた。
リビングのテーブルに突っ伏している私の顔を覗き込む。
「おはよ。ごめんね、ママ、お腹が痛くて…。今、おやつ用意するね。」
心配かけまいと無理矢理作った笑顔で子どもたちの柔らかな髪をなでた。すると、第一子ちびちーちゃんが私に言った。
「ママ、だいじょうぶだよ。すわってて。」
と。
2歳児に気を使われてしまった。と思った。母として情けないとも思った。それでもやっぱりお腹は痛かったので、ちびちーちゃんの優しさに甘えることにした。
せめて私ができることをと思い、おやつが入っているシルバーのボックスをちびちーちゃんの手元に置く。すると、ちびちーちゃんは、寝起きからフルスロットルで遊んでいる第二子ちびにーくんを呼び、おやつを選ばせ、椅子に座るように声をかけた。
まるで、私がいつもそうしているかのように。
2人が選んだのはアレルギー対応の塩おせんべい。第二子ちびにーくんが小麦・卵アレルギーのため、おやつはいつもおせんべい・グミ・ゼリーあたりになる。テーブルにはおせんべいが3袋出されていた。
「おやつは1つだけよ」
と、ちびちーちゃんに伝えると、ちびちーちゃんはにっこり笑って、
「これは、ママのね。いっしょにたべよ!」
とおやつのお誘いをしてくれた。なんて優しいのだろう。
ちびちーちゃんの優しさにずぶずぶに溺れながらその後の1日を過ごした。私はちびちーちゃんの優しさにとても感謝すると同時に、情けなさも感じていた。不甲斐ないママでごめん。
そんな話を家に帰ってきた旦那さんに話すと、彼は彼でこう言った。
「ちびちーが優しいのは、今までママに優しくされてきた経験があるからだよ」
と。
そんなわけで、私は家族の優しさにずぶずぶに溺れて、幸せで、息ができないのである。
明日もいい1日になりますように。
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