コードギアスVol.32「合衆国日本!!!」
物語と意味
自らの暴走ギアスの責任として、ルルーシュはゼロとして自らの手でユフィを撃つのだった。スザクがすぐさま救出し、上空に滞空しているアヴァロンに連れて行き、治療を急ぐ。
意識を取り戻したユフィに、スザクは「どうしてあんな命令を?」と尋ねると、「スザクも・・・日本人でしたね・・・」とギアスにかかっていたが、「ダメ、そんなこと考えちゃいけない・・・!」と、命の瀬戸際にギアスの呪縛を振りほどく。そしてスザクに尋ねる。
「日本はどうなったかしら?」
「ユフィ、覚えていないのか・・・?」
式典会場を制圧した黒の騎士団は、京都六家と合流し、黒の騎士団傘下にして、実質日本を牛耳ることになる。歓声が沸くなか、会場に姿を現したゼロは、民衆やメディアを使って語りかける。
「日本人よ!ブリタニアに虐げられた、全ての民よ!私は待っていた!ブリタニアの不正を影から正しつつ、彼らが自らを省みぬ時が来るのを。しかし、私たちの期待は裏切られた。虐殺という蛮行で!」
一方、ギアスが解除され記憶が欠落したユフィは、スザクに聞く。
「日本人の皆さんは、喜んでくれた?」
「私は、うまく、できた?」
その裏で、式典会場の日本人は、ゼロに乗せられ、
「ユーフェミアを許すな!」
「卑怯者が!」
「魔女め!」
「嘘つき!」
「地獄に落ちろユーフェミア!」
と、喜ぶどころか批難し罵っていた。さらにゼロは
「ユーフェミアこそブリタニアの偽善の象徴!国家という体裁を取り繕った、人殺しだ!」
と責め立てる。
ユフィの質問にスザクは、
「ユフィ、行政特区は・・・、大成功だ!皆、とても喜んでいたよ。日本に。」
と涙を流して嘘をつく。
「よかったぁ」
と安堵するユフィ。地上では、ゼロがブリタニアからの独立を宣言する。それが今回の名セリフ。
「私は今ここに、ブリタニアからの独立を宣言する。
その名は、『合衆国日本』!」
ユフィの容体は悪化し、目が見えなくなっていく。手を握るスザクに、
「学校行ってね。私・・・分まで・・・ね。」
「ダメだ!ユフィ、ダメだぁ!!」
「スザク、あなたに会えて・・・」
言い終えることなく、ユフィは力つき、心電図がピーーーっと鳴り響きながら、日本人達は「ゼロ!ゼロ!ゼロ!ゼロ!」と対照的に盛り上がっていく。
名言の意味
ついにユフィが死んでしまいました。このユフィの死に際の描き方が秀逸で、日本人の幸せを願うユフィが、ギアスに翻弄されて、真逆のことをしてしまい、日本人から恨まれる。そのユフィの死に際と日本人の暴言、「ゼロ!コール」とリンクさせる演出は、よりユフィの死を際立たせていて、胸が締め付けられる思いです。ルルーシュも、取り返しのつかない事態に、「せめて哀しみとともに」ユフィを悪役に仕立てることで、自身の本懐を遂げることにしました。ギアスの暴走によるものとはいえ、予想だにしない事態になったことを、最大限利用することしか、ルルーシュにはできなかったのでしょう。しかし、それがルルーシュの人生を大きく左右することにもなっていくのですが、ルルーシュが明確にダークヒーローになったのは、この瞬間だと言えるでしょう。
コードギアスの中でも「神回」と語られる23話は、テレビシリーズで放送された時は最終話となっており、24、25話は、4ヶ月後、2話一挙放送で前半を締めくくったのですが、この4ヶ月は、待ち遠しい思いや、ユフィの衝撃が残ってやきもきするような4ヶ月でした。それほどまでに、衝撃を残し、物語全体で見ても、大きな転換点となる23話は、コードギアスを語る上では欠かせない「神回」です。もう10年以上前に描かれた作品であるにも関わらず、未だに胸を締め付けるような物語であるということが、「神アニメ」の証明であり、私も確実にオススメする作品です。
あ、今回の名セリフそのものに意味はありません(笑)
「合衆国日本」という言葉が、ユフィの犠牲の上に立った象徴というものです。この一連の流れが、名セリフと言ってもいいのではないでしょうか。
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