山賀 沙耶

フリーランス編集ライター。雑誌、書籍、ウェブなどで活動中。noteではとりあえず、女3…

山賀 沙耶

フリーランス編集ライター。雑誌、書籍、ウェブなどで活動中。noteではとりあえず、女3人でエベレスト街道を歩いたときの記録を書いてます。

マガジン

  • 新型コロナウィルスのメッセージを読む

    • 16本

    2020年4月半ばから6月下旬にかけて、コロナ禍の閉塞状況の中で、自分が今、何を経験しているのかを言葉で共有する講座「新型コロナウィルスのメッセージを読む」を開催。 全国からの参加メンバー6人それぞれが自分の思いを文章にし、読み合い、聞き合いました。 その記録として、それぞれの文章をここに残していきます

  • 女3人エベレスト街道トレッキング日記

    2018年10下旬から11月上旬に、女3人でネパールのエベレスト街道を12日間歩いて、ゴーキョ・ピーク(標高5,357m)までトレッキングに行った記録、そして道中にシェルパのナワンくんに聞いた話などをまとめます。

最近の記事

版元が民事再生手続きで、メディアとか自分の未来について考えざるを得なくなった

 ちょっとまとまらないままに書き始めてみる。  先日、“作品”として残る紙媒体のような仕事がしたい、みたいなことを書いた矢先、私が長く紙媒体の仕事をしてきた会社が民事再生手続きに入り、紙媒体の仕事がガッツリ飛んでしまった。このタイミングかよ、という。  出版業界は慣例的に原稿料の支払いが遅く、その会社は発売月の翌々月の10日払い。民事再生手続きに入ったのがその前日で、入るはずの原稿料(つまりは私のここ数カ月の生活費)が未払いになり、さらには今まさに作っていた雑誌とムックの

    • 紙メディアとウェブメディアの違いとは何か

      何年か前からウェブメディアの仕事をすることが増えて、なんでウェブメディアってみんなこんなにクソつまらないんだろうって考えていた時期があった。 始めるときは高い志を持っていたはずのメディアでも、いつの間にかSEO対策とかで、「関東でファミリーにおすすめのキャンプ場10」とか、「犬が下痢をしたときの原因、対処法は?」とか、いやそれ誰が言ってんの?とか、そういうページ他にもいっぱいあるよね?みたいな記事ばかりになっていく。 私が関わった仕事でも、そういうことは何度もあった。

      • 第4回 「アフターコロナに忘れたくないこと」(2020.6.28)

         2020年6月3日(水)、14時ごろ。  私は12mの高さの、100°とわずかに手前に傾斜した壁に取り付き、握りこぶしほどのホールドに手足をかけていた。目の前には、この課題のゴールとなる、青いガバホールドが見えている。ここまで登ってくる間の負荷で、腕はすでにパンプし、ホールドを保持する力はほとんど残っていない。ホールドを持つ手が外れて落ちたらと思うと、足が恐怖で震え、呼吸が浅くなる。それでも、今日絶対に、目標にしていたこの5.10aの課題を完登すると決めて、取り付いたのだ

        • ネパール人ウソつかない

          「これ、ヤクの骨でできているよ」 カトマンズのお土産屋さんの青年は言った。いくらだったか忘れたけど、バラマキ土産にできる程度には安かったと思う。 「ヤクの骨なわけがない。ヤクは保護されている動物なんだ。バッファローの骨だろう」 シェルパ族のガイドのナワン君が言うと、青年は悪びれることなくあっさり認めた。ネパールではよくあることだ。 「パシュミナ100%」として売っているストールの値段が店によってバラバラすぎる。たぶん本当に100%の店もあるけれど、それはほんの一部で、

        版元が民事再生手続きで、メディアとか自分の未来について考えざるを得なくなった

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        • 新型コロナウィルスのメッセージを読む
          16本
        • 女3人エベレスト街道トレッキング日記
          9本

        記事

          第3回 「コロナウィルスはわたしに何を伝えに来たと思うか?」(2020.5.23)

           新型コロナウィルスの感染拡大は、私の生活の核の一つである仕事、そして今の生活を成り立たせている収入に少なからぬ影響を及ぼしてきた。そこから生まれた不安は、「仕事とは?」「人生に大切なものとは?」「生きるとは?」など、普段はぼんやりとしか考えていないような哲学的な問いへと、私を向かわせた。今回は、主に自分の頭の中でぐるぐると考えたことを書いてみる。  3月25日にハワイ取材が終わって帰国するとき、すでに4月刊行予定の『ハワイ本』の発売が延期されるかもしれないという話が出てい

          第3回 「コロナウィルスはわたしに何を伝えに来たと思うか?」(2020.5.23)

          第2回 「わたしはコロナウィルスからどんな影響を受けているか?」(2020.5.9)

           3月25日にハワイ取材から帰国して、日本政府の新型コロナウィルス対策のいい加減さに疑いを持った私は、専門家の発信や海外の情報を中心に、コロナについて自分で調べ始めた。コロナ感染の特徴や、海外の感染拡大の状況など、知れば知るほど、このままでは日本はかなりまずい状況なのではないかと危機感を募らせた。  これだけ世界でコロナの危機が叫ばれているのに、いまだに電車に乗って通勤する大勢の人たち。飲食店で食事を楽しむ人たち。マスクをしない、あるいはソーシャルディスタンスを守らず近づい

          第2回 「わたしはコロナウィルスからどんな影響を受けているか?」(2020.5.9)

          第1回「コロナウィルスを知って以来、わたしは何を体験してきたか」(2020.4.25)

           今まで「感染症は過去のものか、発展途上国など衛生状態が悪い場所のもの」という差別意識を含んだイメージを持っていた。新型コロナウィルスが世界中で広まりつつあった1〜3月も、現代日本の都市部に暮らす自分の日常が脅かされるなんて思いもしなかった。なぜか自分の日常だけは、今立っている場所や価値観は揺るがないと思い込んでいたのだ。  3月15〜25日、私はガイドブックの取材でハワイ出張に行っていた。11日にWHOがパンデミック状態にあると表明し、13日には米トランプ大統領が非常事態

          第1回「コロナウィルスを知って以来、わたしは何を体験してきたか」(2020.4.25)

          10/28 ヒマラヤ登山・トレッキングでのシェルパの存在

          思いがけない激励高山病の不安に取り憑かれながら、深夜に何とか眠りについて、翌朝起きたらスッキリしていた。寝ると呼吸が浅くなるので、高山病が悪化するんじゃないかと思っていたけど、そんなことはなかった。ほっとひと安心。 食堂に行くと、ゆかちゃんも「治りました」とスッキリした顔をしていた。前日、もしかしてこれ以上行くのはきついのかなと思って、「フォルツェまで行ける?」と聞いたら、はっきりとした口調で「行きます」と言っていたので、何とかよくなってほしいと思っていた。よかったよかった

          10/28 ヒマラヤ登山・トレッキングでのシェルパの存在

          10/27 高山病の恐怖と、シェルパ族のこと

          高山病になって下山した日本人の話この日まで、私たちは高山病をなめていた。が、その油断からか、高山病の恐ろしさの片鱗を知ることになる。 26日の夜だったか27日の朝だったか忘れてしまったが、ナムチェの同じ宿に泊まっている日本人グループの人たちと、ダイニングで会話をする機会があった。話していると、なんとそのグループが、高田馬場の通な某アウトドアショップの社長や幹部、社員たちということが判明。社員研修(うらやましい!)でゴーキョ・ピークまで行ってきた帰りとのことで、幹部たちはナム

          10/27 高山病の恐怖と、シェルパ族のこと

          10/26 外国人登山者がネパールにもたらしたもの

          トレッキングとは道中も楽しむもの前日のトレッキング1日目は、空港のあるルクラ(標高2,840m)からザンフチ(Zam Futi、標高2,730m)まで、登ったり下ったりしながらゆっくり4時間ぐらい歩いた。2日目のこの日は、ザンフチからナムチェ(標高3,445m)まで、7時間ぐらい歩く。今回のトレッキングの中で最も歩行時間が長く、標高も上がる、いちばん大変な日だ。特にジョルサレ(標高2,740m)を過ぎてからはロッジもなく、高低差600mの急坂を一気に登らなければいけない。

          10/26 外国人登山者がネパールにもたらしたもの

          10/25 ルクラ便は予定通り飛ぶのか問題

          衝撃?のネパール国内線おそらくシェルパのナワンくんは、このカトマンズからルクラまで飛ぶ日と、ルクラからカトマンズに帰ってくる日がいちばん緊張していたと思う。なぜなら、国内線のルクラ便は天候によってしょっちゅう欠航になり、場合によっては何日も飛ばないことがあるからだ。そうなると、すべての日程が狂ってしまう。 ナワンくんが朝イチの便を予約してくれたとのことで、ホテルのロビーに朝4時半集合。ホテルで用意してもらった朝食を持って、5時に開くという空港に車で向かった。 国内線の空港

          10/25 ルクラ便は予定通り飛ぶのか問題

          10/24 カトマンズ観光—わからないことだらけのネパール宗教

          ナワンくんの説明朝、カトマンズのホテルでビュッフェ形式の朝食を食べた後、シェルパのナワンくんから今回のプログラムの説明を聞く。毎日の行程と、料金に含まれることについては、ざっとメッセンジャーで聞いていたが、それを出力したものと、3人分のゴーキョ・ピークの地図も用意してくれていた。個人での依頼だけに、今回の旅についてちゃんとまとめた文書みたいなものがなくて、他の2人を不安にさせていた部分があったので、これでちょっと安心した。それに、米ドルのレートが変わったからと、カトマンズ半日

          10/24 カトマンズ観光—わからないことだらけのネパール宗教

          10/23 3度目のネパールへ

          ほこりっぽいカトマンズにやってきた!ちょっと意外なんだけど、日本からネパールへの直行便はない。航空券を調べたとき気づいたのは、おそらくキャセイパシフィック(香港−ネパール間はグループ会社のキャセイドラゴン)を使って香港経由で行くのがいちばんスムーズだと思う。ただし、4〜5時間乗って、香港で乗り換えてまた4〜5時間なので、まとめて寝られないし、めんどくさいと言えばめんどくさい。それと、毎日運航しているわけではないようなので、キャセイにこだわると日にちが限られる。 私たちは始発

          10/23 3度目のネパールへ

          標高5357mを登るためのトレーニング

          標高5,357mのゴーキョ・ピークに行くなんて、特別なトレーニングが必要なんじゃないの?と思われるかもしれません。私の場合、昨年11月に、1年後に行こうかなぐらいのつもりでその後ぼんやり過ごし、ちゃんと手配や準備を始めたのは3カ月前ぐらいから。特に標高の高い場所に行くということで、どんなトレーニングが役立ったかを中心に書いてみます。 誰と行くか?昨年エベレスト街道で見かけた、2週間ほどの行程を歩いてきたと思われるグループは、10人弱ぐらいとかで楽しそうでした。そこまで大人数

          標高5357mを登るためのトレーニング

          なぜゴーキョ・ピークに行ったのか

           2018/10/23〜11/8、女3人でネパールのエベレスト街道を12日間歩いて、ゴーキョ・ピーク(標高5,357m)までトレッキングへ! 忘れないうちに、その楽しかった記録を日記形式で書いておこうと思い立ちました。今回はその準備回です。 そもそもゴーキョ・ピークってどこ?登山やトレッキングによっぽど興味のある人以外、ゴーキョ・ピークって言われてもまったくピンと来ないですよね。 世界一の標高8,848mを誇るエベレスト(チベット語名:チョモランマ、ネパール語名:サガルマ

          なぜゴーキョ・ピークに行ったのか