みどり

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みどり

http://ncode.syosetu.com/n9377cu/ に掲載している連載小説を掲載します。更新は終了しました。

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  • みぃちゃんとぼく

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最近の記事

41話 最終話 みぃちゃんとトマトとひきこもごも

 現在、王都寺院には遺跡研究のために大学の研究チームが各国から集まっていた。彼らはもしもの時のためにと、遺跡管理を担う職員たちに携帯型消防ポンプとホースを託たくしていたのだった。  普段の活動的な生活習慣からか、ほどよく鍛きたえられバランスのとれた体格の職員たちはそれらの重い消防ホースをいとも容易に扱い、みいことトゥーと寺院を迫りくる炎から守っていた。  「これはいったい!なぜ、なぜなのですか。私の祖父は前政権下で弁護士だからと、高い知性は悪だからと、抹殺されたのですよ。

    • 40話 みぃちゃんとぼくと戦争と

       センディに連れられてネッラは夕やみに染まる里のほうへ降りていった。以前、みいこの父たち日の国の民が闊歩かっぽしていたその麓ふもとの街には今、まばらに残った老人の孤独に暮らす家々があるだけだった。  みいこの父たちをはじめ、身軽な日の国の国民たちは地球上に蔓延した人類に有害な宇宙線からの避難と物流の弱った地方での生活の疲れから、故郷を捨て大統領府のあるキャピタル、東吉都ひがしよしのみやこへ移住していた。  「あのさあ、センディ姉。そんなに、みいことハルのことが気になるのか

      • 39話 みぃちゃんと王都寺院の赤い空

         「ほら、この階段を降りて進んだ先に洞窟へ繋つながるワームホールがあるのよ。」  みぃちゃんはトゥーにそう言うと、階段を降り始めた。  「ワームホール、ですか。ワームホールって、あのワームホールですか。」   トゥーは進もうとせずに突っ立ったまま、驚いたように言う。  「そうよ。ワームホールよ。……。あの、ワームホールよ。それがどうかしたの。」  みぃちゃんが振り返り言った。  「どうかしたの、ですって。そんな、ワームホールが地球上に存在するわけないじゃないですか

        • 38話 みぃちゃんとキャンボディアの星たち

          「ハルくん、むきゃむにゃ。」  「みぃちゃん、むにゃむにゃ。」   王都寺院のそばの木にもたれて、ぼくたち二人はうとうとと、まどろんでいた。沈む太陽の残したぬくもりと、乾いた空気が心地いい。   「ソームトーホ。」  誰かがぼくたちに声をかけた。ぼくが眠い目をこすって顔を上げると一人の男性が目の前に立っていた。キャンボディア国の青年みたいだ。  それで、ぼくはなにか言おうと思ったんだけれど、不意に言葉がでなくなった。それはさっきの言葉の意味がわからなくて、何を答

        41話 最終話 みぃちゃんとトマトとひきこもごも

        マガジン

        • みぃちゃんとぼく
          41本

        記事

          37話 みぃちゃんとパラレルワールド

          「ふむふむ、仕事ができる人間になりますように、か。ほう、人間もおかしなことをお祈りするもんですな。」  白い雲の上、淡あわい光に包まれたハムスターがつぶやいている。  「はーん。仕事ができる人間になれますようにってか。おいおい、たまさん、そりゃ、おもしろいじゃねえか。さっそく、これは他の神さまに教えてやらないとな。」  そう言うと、隣で聞いていたもう一匹の光るハムスターが走っていった。とっとことー。  ここはどこだろうか。薄青い光が照らす白い大地に二匹の光り輝くハム

          37話 みぃちゃんとパラレルワールド

          36話 みぃちゃんとワームホール

          ぐよんぐよんぐよんぐゆんぐよん  ぼくたち四人は無事にケイロンの洞窟へ帰ってきた。  「事故なんて起きるわけないじゃん。ほんっと、ハルくんは怖がりなんだから。あはははは。」  そう言ってみぃちゃんがぼくを笑う。確かにぼくは怖がりだけど、さっきまで不安で泣いていたみぃちゃんに言われたくない。  「さっ、みんな離れてて。」  シアーシャはそう言うと、洞窟の壁面パネルを操作した。ポチポチポチ、スッ。  すると、目の前のブラックホールが少しゆらめいて、また元どおり渦

          36話 みぃちゃんとワームホール

          第35話 みぃちゃんとお母さん

           「みぃちゃん、みぃちゃん。すごいね、すごいね。ぼくたち、宇宙の中に立ってるんだね。」  さっきからみぃちゃんがずっと考え込んでいるふうだから、ぼくはみぃちゃんを現実に連れ戻そうと声をかけたのだ。  「うん。そうだね。すごいよね。宇宙ってとっても真っ暗で星がキラキラしてるんだね。」  みぃちゃんが宇宙空間を眺めながら言う。  「ねえ、みぃちゃん。みぃちゃんが前に、星と星は遠くて離れてるから寂しいんだ、って言ってたね。それって、やっぱり、こんな真っ暗な世界で独りぼっちだ

          第35話 みぃちゃんとお母さん

          第34話 みぃちゃんと小さな星

           かつかつかつ。  カツカツカツ。  カツカツカツ。  洞窟の中に足音が響く。  バタンッ。  大きな音がして、扉が乱暴に開け放たれた。  「何ごとだ。騒々しい。」  長老の執務室に集まっていた龍師隊(りゅうしたい)が振り向き、扉の方へ向き直った。  「なによ、あんたたち。人の娘を連れ去っといて、よくそんな口がきけるわね。いい、今すぐ、みいこを返してもらうわよ。あなたたちがみいこを何ヵ月もいいようにしていたことは全部、わかっているんですからね。」   月山か

          第34話 みぃちゃんと小さな星

          第33話 みぃちゃんとこころのふあん (第2章1話)

           日の国の軍と巨大ハムスターとの闘いから三ヶ月が過ぎた。  宇宙線にさらされた地球上には少しずつ活気が戻り始めていた。人体に有害な宇宙線から身を守り対処し適応した者は地上で生き残り、適応できなかった者たちは地下に隠れ潜んだ。  みいこたちはケイロンの洞窟で日々を過ごした。山々を駆け回り、川で泳ぎ、焚き火をして新たな仲間たちと友情を育んだ。そして、彼らの三ヶ月はただそれだけではなかった。みいことハルは毎日のように龍の背に乗り、龍と心を交わした。今ではもう、みいことハルは一人

          第33話 みぃちゃんとこころのふあん (第2章1話)

          第32話 みぃちゃんと巨大怪翼鼠

           「なにこれ、なにこれ、なにこれ、なにこれ。」  「ふふっ、どうだい、みぃちゃん。俺っちの背中、いかすだろ。」  「わっ、トマトがしゃべったー!」  みぃちゃんは誰かが立った時みたいに驚く。  「どうしてなの、アセン長老。トマトにいったい何をしたの!!!こんなにでっかくなっちゃって、かわいくないよ、うえーん。」  みぃちゃんがなげいた。途端、  「ぎゃあああああぁ、落ちるううううぅ。」  トマトが急降下し始めた。すごいスピードだ。風が当たって、顔が『わあああああ

          第32話 みぃちゃんと巨大怪翼鼠

          第31話 みぃちゃんと脱走ハムスター

           「おやすみ、みぃちゃん。」  「おやすみぃこ。みいこだけに。」  そう言うとすぐに、みぃちゃんは寝てしまった。  食堂でご飯を食べた後、ぼくたちは蟻の巣みたいに要り組んだ洞窟内をガイアスに案内されて、この部屋で寝ることになった。みぃちゃんと二人きりで。  みぃちゃんはかわいいなあ。ぼくは隣のベッドのみぃちゃんの寝顔を見つめて、今日あったことを思い出していた。  そういえば洞窟内をここまで来る途中で、湖面のようなものが見えた。あれはなんだったんだろう。そんなことをぼ

          第31話 みぃちゃんと脱走ハムスター

          第30話 みぃちゃんとネッラ

           洞窟の奥、地底湖のほとりに長老が一人立っていた。三角ペイント兄さんは澄んだ湖面を見つめるその三角ペイント長老をやっと見つけて、話しかけた。  「アセン長老、こちらでしたか。」  アセンはじっと湖を眺めている。少しして、声の方へ振り返った。  「ここを見つめていると、いつでもあちらの世界に行けるようなそんな気がする。なあ、ガイアスよ、私たちの星は遠いの。」  アセンは瞳をうるうるさせた気弱な表情でガイアスを見た。  「あちらの世界?何をいっているんですか、長老。我々

          第30話 みぃちゃんとネッラ

          第29話 みぃちゃんと太陽の王国

           「みぃちゃん、みぃちゃん、このハンバーグ、すっごいおいしいよ。ボーノボーノだよ。」  「ほんとほんと、このグラタンみたいなのも、チーズがトロトロとろけてほんとにボーノ、ボーノ、ボーノ。」  ぼくとみぃちゃんはボーノ、ボーノと言い合いながら、珍しい異星の料理をたくさん食べた。どれもこれも、ほんとうにおいしい。ぼくはいつの間にか、みぃちゃんとガイアスへの嫉妬心も忘れて、夢中になってスプーンを動かした。ところで、ボーノボーノってどこの国の言語だったっけ。えっ、らっこ?  「

          第29話 みぃちゃんと太陽の王国

          第28話 みぃちゃんとケイロン人とぼく

           「みぃちゃんのお父さんって官僚さんだったの?」  僕は龍の民の人の後ろを歩いている。みぃちゃんもキョロキョロと周りの松の木やどんぐりや白い小さな花やハクセキレイやコマドリに気をとられながら、一緒に歩いている。  「そうだよ。」  興味がなさそうにみぃちゃんは言う。そのみぃちゃんの腕のなかではトマトがカラカラと音を立てて回し車を回している。トマトのゲージが少し重そうだ。空はもう暗くなりはじめて、山や木々の間に何かが潜んでいるかのようで怖くなる。  「さあ、ここから入ろ

          第28話 みぃちゃんとケイロン人とぼく

          第27話 みぃちゃんとウグイスの谷渡り

           どのくらい経っただろうか、辺りはジッと静まりかえり、僕たちだけがここに取り残されたみたいだ。  遠くの方からうぐいすの谷渡りが聞こえてきた。すると、  「ぴーちゅ、ぴーちゅ、ぴーちゅ。」  と、みぃちゃんが鳴き真似をする。  「ぴっちゅぴっちゅぴっちゅ。」  と、僕も繰り返す。  「ぴーちゅぴーちゅぴーちゅ。」  「ぴっちゅぴっちゅぴっちゅ。」  そうして僕たちはウグイスになった。いや、そんなわけがない。いくら不思議なことが続いたからって、僕たちはうぐいすに

          第27話 みぃちゃんとウグイスの谷渡り

          第26話 みぃちゃんと風

          「みぃちゃん、風が気持ちいいね。」  龍の背の上で僕の体はとても強い風を受けていた。みぃちゃんも隣で肩まである髪をなびかせている。太陽の強い光が反射してみぃちゃんの髪はきらきらしている。さっと吹いた風を顔で受けてみぃちゃんが微笑む。その横顔には僕が初めて見る輝きがあった。  「はるくん、なに見てるの。あっ、髪に何かついてる?」  ばさばさっとみぃちゃんは右手で髪を払った。髪が波のようにふわっと広がる。  「私、龍ってね神社で見たことあるよ。手を洗うところとか、境内の屋

          第26話 みぃちゃんと風