編集補助班よりふたたび愛をこめて
――中間報告
1.「批評の座標」ここまでの連載
note連載企画「批評の座標――批評の地勢図を引き直す」も、すでに第一回から第十四回までを数え、ようやく折り返し地点である。月に二本の記事を掲載する本企画は、一年間の連載を予定している。ここまで掲載してきた記事を、一覧にまとめてみよう。
①赤井浩太「ゼロ距離の批評――小林秀雄論」
②小峰ひずみ「青春と悪罵――吉本隆明入門」
③西村紗知「最底人を生きる――80年代の浅田彰について」
④松田樹「あいまいな批評家の私――柄谷行人」
⑤韻踏み夫「「外」に向かい自壊する不可能な運動――絓秀実『小説的強度』を読む」
⑥森脇透青「東浩紀の批評的アクティヴィズムについて」
⑦住本麻子「紅一点の女装――斎藤美奈子紹介」
⑧袴田渥美「妖怪演義――花田清輝について、あるいは「どうして批評は面白くなければならないか?」」
⑨七草繭子「オブジェと円環的時間――澁澤龍彦論」
⑩後藤護「溶解意志と造形意志――種村季弘と「水で書かれた物語」」
⑪武久真士「セカイ創造者保田与重郎――詩・イロニー・日本」
⑫平坂純一「西部邁論――熱狂しないことに熱狂すること」
⑬渡辺健一郎「舞台からは降りられない――福田恆存の再上演」
⑭前田龍之祐 「SFにおける主体性の問題――山野浩一論」
このように、現在のところ、小林秀雄から山野浩一まで、本連載では取り上げてきた。残る後半の連載では、九名の新しい書き手が、それぞれの角度から批評家・著述家を論じる予定である。
2. ブックフェア本屋B&Bについて
連載に並行しながら、ブックフェアも開催することができた。下北沢の本屋B&B様にて催された、「しんじんの選書」と題したブックフェアである。開催に際しては、寄稿者の皆さまから選書とPOP用の紹介文をお寄せいただいた。以下のように、三十五点もの批評家の著作や寄稿者の関連書籍、そして人文書院の刊行書籍が、フェアの本棚一面に並べられることになった。
3.「批評の座標」ここからの連載
このように、われわれ編集補助班が本連載「批評の座標」やブックフェア「しんじんの選書」の開催といった企画の面に注力してきたのは、これからの「じんぶんのしんじん」たちの「ハコ」を作らねばならないという問題意識に発している。
つまりは、新人の書き手が批評文を掲載できる「ハコ」を作ること。また一方の読者、とくに初学者が過去の批評家・著述家にこれから入門することができるような「ハコ」を目指すこと。残すは五ヶ月間の連載、九人の若手の書き手による新鮮な批評文も、ぜひとも楽しみにしていただきたい。
「じんぶんのしんじん」編集補助班
赤井浩太・松田樹
*バナーデザイン 太田陽博(GACCOH)