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「妻VSサラ金!」

 電話が鳴った。
 わたしは、緊急の場合以外電話には出ない。
 わたし、一人の時、電話が鳴っても知らん顔だ。運が悪いな、今、電話をかけてきた人は、と思う。
 この時は、電話が鳴り、妻が取った。
 妻は、スピーカー・フォンにして話すので相手の声が筒抜けだ。
「こちら、○○という消費者金融ですが、まだ、ご返済の確認が取れていません。毎回、こうやってお宅にお電話しているのですが、支払う気はあるのですか?」という。
 妻は、「お宅、簡単に言うとサラ金でしょう」という。
 先方は、少し躊躇したようで、「あの、金融会社ですが・・」と取り繕うように言う。
 「だから、サラ金なんでしょう?」
 「ハイ、そうでございますが・・何か?」
 「今、支払う気はあるのですか?と言われましたよね。失礼ではありませんか。返済が遅れたことは謝ります。しかし、支払う気がなかったのではありません。支払う気ではなく、お金がなかったのです。支払う気がないとは、非常に失礼ですよ。返済する気がなくて、お金を借りたみたいに聞こえませんか?その点については、謝って頂かないと、わたしは、気が済みませんが?」と妻は、淡々と感情を押し殺し、相手に襲いかからんばかりの殺気をもちながら言った。
 「遅れたのはお宅の責任でしょう。こちらは、忙しいのにわざわざ、親切で電話してあげているんですよ、それをそういう風に、反抗的な態度で言われても困ります」
 「お宅は、金利で儲けているんですよね。わたしは、お客ですよ。支払う気がないと言ったことに対して謝罪を要求します!謝罪しなければ、どこまでも平行線で支払いませんから。そこまで、侮辱的なことを相手に言う、金銭の取り立てが許されていると思うのですか?まして、あなたの会社じゃあるまいし、あなたは、使用人の分際よね?それがまぁー、大きい態度で、客に向かって!
 
 相手は、妻の言った「使用人の分際」という言葉が感に触ったらしい。
 いきなり、「うるせぃ!ババァ!!」と大きな声が返って来た。
 妻は、ひるまず、待っていましたとばかりに、「この、チンピラ!」という。
 相手は、ここで電話を切った。彼も切れたのであろう。
 妻は、「あなた支払う必要はないわよ」という。
 わたしは、「わたし名義で借りてあるんだ、支払わなくては、わたしがブラックリストに載る。そうは言われても、そこは小さなサラ金だから、ATMが利かない。受付まで現金をもっていかなければならないんだぞ。こんなに大恥をかいていけるか」、というと、「銀行から借りて一気に返せばいいのよ」、と気軽に言う。
 結局、娘にお小遣いをあげて、返しに行ってもらうことになった。
 どちらが悪いのであろうか?

サラ金


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