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木枯・凩(こがらし)

てんきごじてんによりますと「秋から初冬にかけて吹く強く冷たい風。冬の到来を告げる寒風。木枯の風。木々を吹き枯らすものの意から生じたことば。『小嵐』とも書く。

昔ピアノをやっていた時にショパンのエチュード集(練習曲集)から「木枯らしのエチュード」と呼ばれる曲を弾いたことがありました。これをご覧いただいてる皆様の中にもご存じの方もいらっしゃることかと思います。妙に頭に残る旋律の静かなイントロから始まり、かと思いきや最後まで怒涛の風が山の中をかけ抜き、まさしく木を枯らす勢いで天に帰っていく風を視覚化したような一曲です。
次に来る曲の「大洋のエチュード」も凄まじいのですが、木枯らしとは少し異なる凄さです。
「木枯らし」はどれだけ波を引いたか、どれだけ波を押し寄せられたかその距離で、聴いてる人を寒気に陥れ圧倒してきます。
対する「大洋」はその波の「高低差」で感情を直接揺さぶり、大しけの中希望の地へと向かうノアの方舟の中で味わう寂しい恐怖で、聴いている人を呑み込んでいきます。


凄まじい曲です。聴いてる方にとっても、弾いてる私にとっても(笑)
あれ、ほんと大変なんですよ…弾くの…ボソッ…

これをちょっとした嵐だと感じ名付けた古人の感性には平伏するばかりです。

この写真はハブの写真です。
この大きくそして恐ろしい毒蛇が木々の根本を餌を探してうろつく時、きっと他の小動物たちにとっては、猛烈な湿度の夜の最中(さなか)でも、この痛く寒い木枯らしが吹き抜けていくような恐怖感だろうなぁ、と思ったのでこのタイトルと写真を選びました。


殺戮のためだけに全てを注いできた肉食動物が歩むときの森の雰囲気と言ったら・・・周りの小動物からしたら二度ときて欲しくないと思わざるを得ない、一刻も早く過ぎ去って欲しいと思う時間でしょう。そんな時間を幾度となく味わう生涯は、恐怖が裏返ってもはや狂喜に満ち溢れたものかも知れません。


ナガコガネグモがリュウキュウギンヤンマを捕獲・・・。
で合ってるはず。

こうして目の前で繰り広げられる命のやりとり。
壮絶なやりとりの中に見える大きな優しさのような雰囲気はどういった言葉で表せば良いのでしょう。

毎度、レンズを通してやりとりを見るたびにそう、思います。


ハイ Sinomicrurus japonicus boettgeri


天に帰る風のように・・・と冒頭で書いた木枯らしのエチュードの曲の雰囲気の表現、我ながらいいものが書けた気がします(笑)。つながり得ない二つをつなぐ事もできる「比喩」という世界で、少し贅沢な仮住まいを建てて暮らし始めたことに愉しみを見出し始めている今日この頃です。

文字の可能性は音符のそれと、絵の具のそれと、等しい大きさですね〜。


ツマベニチョウ Hebomoia glaucippe


「兼ねてから蝶の死骸を撮り続けております。
これまたはっきりと明確な理由は無く、ただなんとなく、そんな風に私が云うのもあなたは癪に思われるだろうが、とにかくなんとなく、という訳です。死体の蝶を撮れ、と言われたような気がしただけです。
きっと気のせい、そりゃ、相手は蝶ですからねぇ。
気ままに飛び立って天まで登ってしまう。
そりゃ、相手は蝶々ですからねぇ。」

自分のインスタグラムからチョコっと手直しして引用してみました。インスタの方はミカドアゲハの死体なんですけど、まぁ。このツマベニチョウの写真とてコンセプトは共通しているので。

蝶が気ままに飛び去る様は木枯らしのそれとは随分温度感は異なりますが、風のむく方向と飛び去った方角はまぁまぁ似ているかな、と。


タイワンウマオイ Hexacentrus unicolor

夜がそろりそろりと近づくと共に音楽家どもの宴会の準備が進んでいきます。とはいえ、写真の個体はメスなので鳴かないんですがね(笑)


リュウキュウコアシダカグモ Sinopoda okinawana


捕食者たちは宵闇に紛れて罪なき小さな者どもの愚かな到来を、小枝の上で、落ち葉の下で、風の通り道で待ち臨みます。


クメトカゲモドキ Goniurosaurus kuroiwae yamashinae

「ホラー映画のおどろおどろしい静かな雰囲気をぶち壊す、茶々で気に食わないアラームの電子音のようだな、全く。これから盛り上がるというのに。君。えぇ、君には緊張感というものは存在しないのかね?」
と、呑気に木の根元で止まっているこの小さな生き物に向かって罵ってやりたい気持ちもあっという間に覚めてしまいます。
きっと静かに微笑みかけるこの生き物固有の魔法か何かなのでしょう。

驚くほど冷静になる…その存在の「違和感」をまるで「自然の摂理」だといつの間にか思い込まされたかのような不気味な静かさ・・・・そんな静かさをこの生き物を前にしたときにまず、感じます。


どんどん真夜中に、足をすすめてまいりましょう。






そうそう、こうして文章を書いている時は、起きながらにして夢を見る、そんな感覚に体を預けています。
意識がある夢遊病、みたいな感じですかねぇ。

基本的に何か音楽をかけながら書いています。
それはクラシックだったり、洋楽だったり、アニソンだったり、邦楽だったり、ジャズ、ボサノヴァだったり多岐に渡ります。
聴きながら曲のベースラインを鼻歌で歌いながら書いてます。
歌詞がある曲だと歌いながらも多いですねぇ〜。



ほいじゃ、キリがいいのでこの辺で!
ごきげんよう、皆さま。良い1日をお過ごしくださいませ💕

お楽しみいただけましたら幸いです^^