マガジンのカバー画像

ピッチ外

33
計画、運営、心理、習慣、その他諸々
運営しているクリエイター

記事一覧

教育商材と教育そのものの関係、のようなもの

教育商材と教育そのものの関係、のようなもの

私自身もそうでしたが、自分が選手だったときに指導を受けた監督、コーチの精神論に反発するかのように論理化や合理化に重きを置くところからキャリアをスタートする若き指導者が高い割合で存在します。

国内外問わず勉強熱心な指導者ほどこの傾向にあります。

これ自体はあるべき姿で、ゆえに資格コースに通ったり勉強会に参加したり書籍や映像から様々な情報を入手したりと、彼らはそのインプットに勤しむわけですが、指導

もっとみる
関係の築き方

関係の築き方

「最近の若者は」という枕詞が古代ギリシャの時代から使われていたというのは有名な話です。

当然、私がティーンエイジャーのころもこの言葉とともに若者の態度を非難されることはありましたし、これは現代でもあります。

現代の若者批判なら「最近の若者は覇気が無い」とか「甘やかされている」とか「個性が無い」辺りでしょうか。

定番の「だらしない」もまだまだ健在です。

その因果には

「最近の若者がだらしな

もっとみる
指導者というもの

指導者というもの

私はよく道端や公共の交通機関などで倒れている人、あるいは今まさに人が倒れこんだという瞬間に出くわします。

パッと思い出せるだけで10件近くあります。

国内外を問わずです。

胸を押さえて苦しんでいる人に水を飲ませたり、倒れている見知らぬ人の見知らぬ車を探してその中から車椅子を運んだり、友人の支えだけでは電車から降りられそうにない人を手伝ったり、といった状況に繋がる場面などです。

中にはヘルメ

もっとみる
スポーツ解説者の役割

スポーツ解説者の役割

先日、久しぶりにスポーツバーでサッカーの試合を観ました。

有料チャンネルによるJリーグ観戦です。

この情勢下におけるスポーツバーの状況を知っておこうと思ったから、と言えば聞こえがいいですが、主な動機は息抜きです。

入店前の検温やテーブルごとの仕切り、話し声が大きくならないようにするためにテレビ音声を下げている配慮、禁止事項などのお願いを試合前にアナウンスする姿勢など、店側に対して非常に好感を

もっとみる
連帯責任について

連帯責任について

今回は前回の「制限」に関わる話になります。

日本社会が西洋に比べて協調性を重んじる風土があることは日本人にのみならず、海外の人にも知られています。

協調性を大事にするのは日本のみならず東アジアのいくつかの国でも、程度の違いこそあれ同様だという話もあります。

これには「田植えの水引に隣人と歩調を合わせることが欠かせない」という習慣からきているとする説など多々ありますが、理由が何であろうと、日本

もっとみる
部活動は便利か

部活動は便利か

日本の部活動というものを諸外国のスポーツ活動と比較したときに大きく異なるところはたくさんあります。

そもそも所属チームが学校単位で形成されているその体系化を説明すること自体がなかなか面倒で、そしてそれを知った外国人はたいてい驚きます。

東アジアのいくつかの国もこの部活動という組織形態、構造を持っているという話ですが、いずれにしても世界的に見たら少数派です。

部活動の数多くある特異性の中で、今

もっとみる
「実践的」の範囲

「実践的」の範囲

これは約20年前のちょうど私がサッカーの指導を始めたころから日本でも常に論争の的になっていることですが、サッカー(球技)においてボールを使わない練習は是か非かという問題があります。

“非”側の指導者は「サッカー(スポーツ)は実践の中でしか成長しない」という考えのもと、その練習スタイルを極力実践的にした、あるいは実践から場面や面積を切り取った、いずれにしろやはり実践的な練習を好んで用います。

もっとみる
ストップ脳の扱い方

ストップ脳の扱い方

教育のトピックにもう何年も前から上がってきている使い古された常識に「子供はほめて伸ばせ」というものがあります。

おそらく成人の日本人で、理論と呼ぶことすら仰々しく感じるこの考えを知らない人はいないでしょう。

20年以上前に初めて聞いたときには目から鱗の革新的な手法(本来は理念といったものに近いと思います)に感じましたが、今ではすっかり子どものみならず組織で働く企業人をもモチベートするための原則

もっとみる
素人の考えが大事なわけ

素人の考えが大事なわけ

工業化社会で生きていくのに便利なスタイルで教育されてきた我々日本人は、何かを創造することが得意でないと言われています。

私の同僚であり後輩でもある若い指導者にも

「せっかく自由に指導できるチームを一つ与えられているんだから、何かオリジナルのフォーメーションでもシステムでも作ってみたら」

と、上手くいったらそのアイディアをAチームに還元してもらう見込みも含めて、こう促しても

「いやあ、有名な

もっとみる
思いこみの使い方

思いこみの使い方

現代の日本社会の風潮として「ゆとり世代は使えない」といったネガティブな評価がある一方、その評価を下す側の世代に対しても似たような評価がゆとり世代から下されています。

今回は世代間差別の話ではありません。

私自身はゆとり世代の人たちは我々氷河期世代や少し上のバブル世代より人間的に魅力的な人間が多いと思っています。

別に媚びているわけではありません。「大人だなあ」と思う人間が多いということです。

もっとみる
有能な上司になる前に。あるいは無能な上司に当たってしまったときに。

有能な上司になる前に。あるいは無能な上司に当たってしまったときに。

「完璧な人間なんていない」という言葉はおそらく普通の日本人の成人なら何十回何百回と聞いてきた言葉かと思いますが、一方で「人間だからこそより完璧に近づく努力を」、「自己成長を」という気概で物事に取り組み、「完璧な人間なんていない」という言葉をサボりとビビりの言い訳にしたくない、と考えるのも人間らしさのような気がします。

堅苦しさはしばしば不都合を生みますが、高評価を受けやすいその業界そのものの構造

もっとみる
社会経験のない人間が教育業に携わることへの批判

社会経験のない人間が教育業に携わることへの批判

今回はサッカーという単一スポーツのことではなく、いや、スポーツという一分野だけに関わる話ではなく、学校教育に関する話をしたいと思います。

先に答を言っておくと、私は少し学校教員びいきです。

さて、タイトルどおりの批判がここ数年メディアを通して、教育業に携わった経験がある人からも無い人からも聞かれます。

私自身も株式会社でサッカーを教えていた経験や個人事業主として英語を教えていた経験があるので

もっとみる
日本人に合ったサッカー

日本人に合ったサッカー

日本人に合った指導法に関して述べたついでに、今回、日本人に合ったサッカースタイルについても考察してみましょう。

これは観戦者目線の話でもあります。

今から20年近く前、日本サッカーは一時期(少なくともメディアを通してくみ取れる日本サッカー界の傾向に)メキシコ流のサッカーを目指そうとしていたことがありました。

それの元となった理由はメキシコ人は日本人同様体が小さいのにワールドカップでベスト16

もっとみる
日本人に合った指導法

日本人に合った指導法

以前に記事でも少し触れましたが、現在のサッカー指導界は細かいところまで定義化、体系化、言語化した超論理的思考の指導スタイルが流行っています。

一方古き悪しき不勉強をごまかすためのブラック企業的「理屈じゃないんだ」スタイルの精神論指導を多めの割合で用いる指導も未だにはびこっています。

この二極化は以前の記事でも述べた若者と年配者の対立構図に似ています。

サッカーのいいところは国技や国技的スポー

もっとみる