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11 学習障害を改善するためにした、4つのこと。

私は公立小学校で各クラスの授業を補助する仕事をしていて、支援学級の子どもたちを含め、様々な子どもたちを見ていました。

娘の場合は、ほとんど文字が読めないとか、まったく聞いて理解できないというほどではないので、いわゆるグレーゾーンだと思います。
主に、この三つが苦手な点でした。

・文章を読んで理解するのが難しい(特に漢字)
・耳で聞いて理解するのが難しい
・記憶するのが難しい


どれも、自分の興味のあることなら集中でき、読めたり聞けたりする傾向があります。
それが、障害が見えにくくなっている原因でもありました。

しかし、このまま放っておいてはどんどん落ちこぼれて、劣等感を募らせていくだけ。
そこで、本人と話し合いながら、こんな対策をしていくことにしました。


①苦手な科目は予習をする。


娘が最初についていけなくなったのは算数。
もともと好きな科目でなく、興味が持てないために、授業を聞きながらその場で理解したり、教科書を読んですぐ理解することが難しいようです。
そこで、前の日に教科書の次の日にやるページを読んで、予習をするよう提案しました。

そうすると、4年生はまだそんなに難しい内容ではなかったからでしょう、
「先生が何の話をしてるか、わかるようになった!
前の日に読んでたから、あ、今あれのことを言ってるのか、って。」
と、娘の顔が一気に明るくなりました。

5年生、6年生とどんどん難しくなって、わからない部分は増えていきましたが、この予習をすることで、どうにかついていけたようです。


②定規を使って読む。


これは、文字を読むのが困難な子には一般的なやり方じゃないでしょうか。
文章を読もうとしても集中できず、どこを読んでいるかわからなくなりがちなので、一行一行定規を当てるようにすると、今読んでいるところがわかりやすくなるというものです。

娘は大学受験の勉強をする時も、ずっとこのやり方を続けていました。


③メモを取る。


耳で聞いて理解し、記憶することが難しいので、聞いたらすぐにメモを取るようにする。
といっても、それ自体忘れがちなので、習慣化するには時間がかかりました。

高校生の頃にはかなり定着して、聞いていない、聞き取れない、覚えていない、ということが少なくなっていきました。


④わかりやすく、図解化する。


文字だけで理解するのが難しい時は、図にしたり表にしたり、ボードに写真や絵を貼ったりなど、目で見てわかるようにしました。

生活の中でも、やらなければいけないことを紙に書いて、目につくところに貼っておいたり、引き出しに入れる物の名前と写真や絵を貼っておいたり。
それによっても、忘れる、片づけられない、といったことが少しずつ改善できていきました。


グレーゾーンであることを認めることから。


一口に障害といっても一人一人違うので、改善方法はその子によって違うと思います。
ASD傾向が強いか、ADHD傾向が強いか。
視覚優位か、聴覚優位か。
言語が得意か、数字が得意か。

そうした特性に合わせて、本人と話し合いながら、一番やりやすい方法で苦手な部分を補えるようにしたり、改善できるように練習したり。


「うちの子は障害というほどじゃない。」
と言っていると、本人も苦しいままだし、親も
「何度言ってもちゃんとやらない。」
などと、イライラするばかりです。

娘の場合は、学習障害という比較的わかりやすい症状があったので早く気づけましたが、中には勉強に問題はないけれども、行動やコミュニケーションに少し問題がある場合もあるでしょう。

「人が普通にできることができない」「周りとうまくやっていけない」などとみなされ、自分でもそう思ってしまっている子どもたちの中には、娘のようにグレーゾーンのために障害に気づかれずにいる子も多いのでは。


「うちの子は普通なのに、発達障害なんて勝手に決めつけないでほしい。」
などと障害かどうかにこだわらず、大切なのは、本人や周りが困っているかどうかです。
何が不得意なのかにできるだけ早く気づいて対処していくと、それだけ早く改善でき、本人も周りも楽になっていけます。

「うちの子も」または「自分もグレーゾーンかも」と感じる方がいらしたら、今は研究や理解も進んでいるので、探してみると身近な相談できる場所や改善方法を指導している機関なども見つかるかもしれません。


アルファベットの方が読みやすい?


学校の授業についていくのが難しくなるのと反比例するように、娘の英語力は順調に伸び、「ラジオ英会話」も2年目になった小学校5年生ぐらいには、ハリー・ポッターにハマって原書を読むようになりました。

といっても、文字が苦手なのは変わらないので、英語だと難なく読めるとか、英語になると驚異的な能力を発揮する、なんてことはありません。

漢字だらけの日本語を読むよりは、26文字しかないアルファベットは読みやすく、抵抗がないよう。
特にハリー・ポッターはかなり難しい単語や表現が多いので、わからないところは飛ばして、だいたいの意味をつかんでたんだと思います。

識字障害のある人にとっては、漢字の国よりアルファベットの国の方が生きやすいんでしょうか・・・。


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