和泉みずほ

エンジニア。ものがたり+ものづくりが好き。 読書量は年300冊以上。 科学・数学・デザイン・フォント・建築・まちあるき・都市鑑賞・現代短歌・SF・ミステリ・将棋など、幅広く。 読んだ本を、一冊ごとではなく、二次元の平面上に整理しておすすめする〈読書マップ〉を提唱しています。

和泉みずほ

エンジニア。ものがたり+ものづくりが好き。 読書量は年300冊以上。 科学・数学・デザイン・フォント・建築・まちあるき・都市鑑賞・現代短歌・SF・ミステリ・将棋など、幅広く。 読んだ本を、一冊ごとではなく、二次元の平面上に整理しておすすめする〈読書マップ〉を提唱しています。

    最近の記事

    【読書マップ】2022.07 科学的思考、青春記、ときどきネコ

    2022年7月の読書マップです。 先月の記事はこちらから。 信仰と科学的思考、ときどきネコ スタートは島田裕巳「宗教対立がわかると世界史がかわる」(晶文社)。 ここからリチャード・ドーキンス「神のいない世界の歩き方 『科学的思考』入門」(ハヤカワ文庫NF)につなげてみます。 「利己的な遺伝子」で知られる生物学者による、聖書・聖典に描かれた神や造物主の存在を徹底的に否定する、なかなか危険な書物。 神の恩寵なき世界で、なぜこれほど多様な生物が存在し、繁栄を遂げているのか。ドーキ

      • 【読書マップ】2022.06 世界を変える言葉のちから

        2022年6月の読書マップです。 先月の記事はこちらから。 人それぞれのまんが道スタートは米澤嘉博「藤子不二雄論 FとAの方程式」(河出文庫)。 藤子不二雄A先生といえば「トキワ荘青春日記」も復刊されたところですが、まずは生前に出版された「81歳いまだまんが道を…」(中公文庫)を。 手塚治虫に憧れ、のちの藤子・F・不二雄先生と共に上京し、伝説となったトキワ荘で漫画家の夢を叶えた若手時代。 そしてF先生とのコンビを解消したのちも、常に新しい挑戦をし続ける、旺盛な好奇心によって

        • 【読書マップ】2022.05 多様性とは生きづらさ

          2022年5月の読書マップです。 先月の記事はこちらから。 https://note.com/izumi12031/n/n2186b8935cd6 多様性と生きづらさスタートはガイ・ドイッチャー「言語が違えば、世界も違って見えるわけ」(ハヤカワ文庫NF)。 多様な世界の言葉を比較した本書のテーマが、マシュー・レイノルズ「翻訳 訳すことのストラテジー」(白水社)でも深掘りされます。 現代ではAIによる自動翻訳もずいぶん進化しましたが、一つの言語から他方の言語へ、まったく同じ

          • 【読書マップ】2022.04 世界のことば、世界のみかた

            2022年4月の読書マップです。 先月の記事はこちらから。 4月もちょっと冊数は少なめですが、「世界」と「言葉」がキーワードの読書マップができあがりました。 世界の歴史と芸術スタートは内澤旬子「世界屠畜紀行」(角川文庫)。 革製品への興味が高じ、なぜか世界の屠畜現場を回るというのが内澤さんの独特なスタイル。 同様に、他の誰も真似できないことをやる、誰も行かないところに行く〈辺境作家〉といえば高野秀行さんでしょう。 「世界のシワに夢を見ろ!」(小学館文庫)は、高野作品でも異

            【読書マップ】2022.03 現存在、生と死と働きかたをかんがえる

            2022年3月の読書マップです。 2月の読書マップはこちらからどうぞ。 3月はちょっと体調が思わしくなかったり、仕事が立て込んでいたりで読書量は少なめ。けれどマップにしてみれば、そんな時だからこそ考えたい重要なテーマが浮かび上がってきました。 進化と絶滅今回は〈世界から〇〇が消えたなら〉というテーマで紹介した2冊の本をスタートにしてみます。 一冊目はアラン・ワイズマン「人類が消えた世界」(ハヤカワ・ノンフィクション文庫)、もう一冊は筒井康隆「残像に口紅を」(中公文庫)。

            【読書マップ】2022.02 いつの日か消えてなくなる時までは街へと出よう、人にも会おう

            2022年2月の読書マップです。 先月の読書マップは以下の記事をどうぞ。 まちを楽しむスタートは先月の雪朱里「もじモジ探偵団」(グラフィック社)。ヒグチユウコさんが描く猫探偵の二人が、まちなかにあふれる文字の秘密を徹底的に究明する。スーパーネコの日のあった2022年2月にもふさわしい一冊ですね。 スズキナオさん「遅く起きた日曜日にいつもの自分じゃないほうを選ぶ」(スタンド・ブックス)は、2021年8月の読書マップで取り上げたパリッコさんの本と同じく、行動が制限された宣言下

            【読書マップ】2022.01 日常はやがて歴史となってゆく

            2022年1月の読書マップです。今年も毎月の読んだ本から連想を広げて、自分なりの「読書マップ」をつくる取り組みを続けていければと思います。 昨年末の読書マップは以下の記事をどうぞ。 懐かしい日々スタートは藤井基二「頁をめくる音で息をする」(本の雑誌社)。 尾道の古本屋店主の日常を描いた本書から、エッセイ、というより随筆と呼びたい本を繋げてみます。 南條竹則「酒と酒場の博物誌」(春陽堂書店)は、古今東西のお酒や酒場にまつわるエピソードが描かれます。 南條竹則さんは、森見登

            【読書マップ】始まりも終わりも無き世を生きる人の区切りのために一年はある

            2021年(令和3年)も、残すところわずかです。 たくさんの本を読んでいてつくづく思うことは、どの本も、けっきょく書かれていることは人のいとなみ、その結晶としての言の葉なのだということ。 わたしが産まれる、はるか前からこの世界は存在していて、そしてきっと、死んだあともずっと世界は続いていく。 そんな営々とした人のいとなみ(なんと、「営」という漢字自体に「いとなみ」という読みがある!)を、正しく伝えていくために人は本を書き、そして読むのだと思います。 ほんとうは、世界は一

            【読書マップ】歴史と人のミステリー

            2021年11月の読書マップです。 ひとつ前の読書マップは以下の記事をどうぞ。 歴史と人のミステリー スタートは山田正紀・恩田陸「SF読書会」(徳間文庫)。 こちらで取り上げられていたうちの一冊が、小松左京「果しなき流れの果に」(ハヤカワ文庫JA)です。 早川書房の国内SFレーベル「ハヤカワ文庫JA」、その輝かしき1番目。ちょうど今年(2021年)、ハヤカワ文庫JA1500番台到達記念で復刊されました。 白亜紀の太古、ティラノサウルスが跋扈する中、電話機のベルが鳴り響く…そ

            【読書マップ】ヒトと動物、世界のミカタ

            2021年10月の読書マップです。 ひとつ前の読書マップは以下の記事をどうぞ。 コトバ、そして芸術のミカタスタートは川添愛さんの「言語学バーリ・トゥード: Round 1 AIは『絶対に押すなよ』を理解できるか」。 言葉をテーマにした本から、「言葉は京でつづられた。」(京都モザイク 7)を選びます。 「檸檬」の梶井基次郎、哲学者の西田幾多郎など、京都にゆかりのある作家・学者だけでなく、中原中也や夏目漱石など京都を訪れた人の残した言葉までを、幻想的な装丁で一冊に。 わたしも

            読書マップダイブ・この本を持ってまちへ出よう

            いきなり前回の記事の反省から 前回の読書マップでは「路上観察と建築」という章立てで、「路上観察」が何かをあまり説明せずに藤森先生の本を紹介してしまいました。 これでは路上観察学が何なのか、建築とどう関係あるのかわからないですね。反省。 路上観察とはということで、あらためて。 路上観察学のルーツは、建築家・建築史家の藤森照信さんや、芸術家の故・赤瀬川原平さんらが立ち上げた「路上観察学会」です。 〈学会〉といっても、あくまで趣味の集まりなのですが、街中にある建物、植物、

            【読書マップ】人の作りしモノ - 語りと騙り

            2021年9月の読書マップです。 ひとつ前の読書マップは以下の記事をどうぞ。 短歌とパイロンスタートは穂村弘・春日武彦「ネコは言っている、ここで死ぬ定めではないと」(イースト・プレス)〈以下、ネコ本〉から、お二人の単著をそれぞれ一冊ずつ選びます。 春日さんの著作は読んだことがなかったので、ネコ本で言及されていた「鬱屈精神科医、お祓いを試みる」(太田出版)を手にとりました。 仕事や人生に悩む著者が、その呪縛から逃れるために自宅マンションを「ブルックリンの古い印刷工場を改装し

            読書マップダイブ・将棋のタイムスケール

            読んだ本どうしの関係性を地図のように整理する〈読書マップ〉。 月1ペースの読書マップの公開に加え、マップに登場した各ジャンルについての話題を深掘りする試みもはじめてみようと思います。 あるジャンルの本を何冊も読むということは、そのジャンル自体に惹かれるものがあるということ。 マップの奥深くにひそむ、その魅力はなんなのか。 中沢新一さんの「アースダイバー」(講談社)にならい、読書マップダイバーとなって探検してみましょう。 (アースダイバーについては次回の読書マップで紹介予定

            仏の顔も三度まで、人の足場は三度から

            三度目の投稿です。 三日坊主ということばがあるように、新しいことに取り組むとき、最初の1・2回はやる気があるのですが、3回目くらいからだんだん気持ちが薄れてくることがあります。 「仏の顔も三度まで」ということばもあるのに、その仏門に入るべき人が三日坊主と言われてしまうのは皮肉なものです。 でも、そのハードルを越えると、長く続けられる、習慣化という道が開けてきます。 「小さな習慣」という本では、続けたい目標は、ばかばかしいほど小さくすることを提案しています。 たとえば

            日常を二階の窓から眺めれば(向かいのベランダあくびする猫)

            この記事は  https://nagiwata.net/archives/122099  を改稿したものです。 まえおき毎月読んだ本を中心に、読書マップを作っています。 (読んだ本=新刊ではなく、たまたま家の本棚にねむっていた本、古本屋で手に入れた本、他の本で紹介されていて図書館で借りた本なども含まれています。現在入手困難なものも含まれますがご了承ください) 今回は2021年7月〜8月の読書マップ。 科学・数学・医学本スタートは画像の左下。 この頃は、いわゆる理系の科

            ファーストステップはスモールステップから。自分のことと〈読書マップ〉について。

            はじめての投稿です。 わたしは「石橋を叩いて壊す」と言われるほど慎重な性格で、はじめての挑戦はひといちばい緊張してしまいます。 でも、いったんはじめたことは少しずつでも継続するのが好きなので、そんな継続を応援するnoteは気になる存在でした。 なので、まずは慣れたところから自己紹介していきましょう。 プロフィールに書いたとおり〈ものづくり〉と〈ものがたり〉が好きで、仕事ではエンジニア、趣味では読書や都市鑑賞(路上観察)、人のつくったモノに興味があります。 いろんなジ