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ほぼ毎日エッセイ『わたしに翼』

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2024.03.09〜 タイトルは大好きな朝ドラ『虎に翼』をもじって。 書くことで、大きくて豊かな、どこまでもいける、「私だけの翼」が手に入りますように。
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#読書

振り切れなくて、いい

振り切れなくて、いい

本を読んでいて、「まさしく今、この本を読むべきタイミングだったのだ!」と、天啓のような力を感じることがある。

昨日、積読本のひとつを読み始めた。たぶん、息子が生まれたばかりの頃に買ったものだ。

それが今読んでいる、『読書する女たち フェミニズムの名著は私の人生をどう変えたか』(著:ステファニー•スタール)である。

表紙には、散らかった部屋と眠る赤ん坊、そしてソファの上で本を読む女性の姿が描か

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「本を読むこと」について、考えてみる

「本を読むこと」について、考えてみる

最近『ようこそ、ヒュナム洞書店へ』という小説を読んでいる。タイトルからわかるとおり韓国文学で、これまたタイトルどおり「本屋さん」のお話しだ。

数年前、『81年生まれ、キム・ジヨン』に出会って脳天を撃ち抜かれてから、私にとって韓国文学は、一目置けるジャンルとなった。K-POPにハマる人、韓流ドラマにハマる人とそれぞれだろうが、私の場合は韓国文学だったのである。

韓国の人びとが感じていることは(少

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キミと物語

キミと物語

息子が最近、映画『魔女の宅急便』にハマっている。

主人公のキキが大好きで、テレビを観る時間になると「キキちゃんみる!」と言ってきかない。リビングではしょっちゅう、ホウキにまたがって空を飛んでいる。

試しに、同じスタジオジブリ作品の『となりのトトロ』や『猫の恩返し』を見せてみたが、彼の心には刺さらなかったらしい。10分もしないうちに「キキちゃんみたい!」といって、キキのいる世界へ旅立って行く。

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妃の位も何にかはせむ

妃の位も何にかはせむ

「妃の位も何にかはせむ」。

この言葉は、日本の古典文学のひとつである『更級日記』(作者は菅原孝標女)のなかの有名な一文である。現代語に訳すと「お妃様の位(くらい)なんてどうでもいいほどサイコー!」といった感じだろうか。

『更級日記』は、作者である菅原孝標女(すがわらのたかすえのむすめ)が少女だった頃、現在の千葉県市原市に一家で住んでいたところから始まる。現在からだいたい1000年くらい前に書か

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