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49.東京からブラッチャーノへ飛ぶ

ローマからの引っ越し先をブラッチャーノに決めたものの、実際に住む家探しをしなくてはいけません。
イタリアの町を歩いていると不動産会社があちこちにあり、日本同様、窓には物件案内の張り紙がたくさんしてあるのを知ってはいました。
でも私は日本にいますし、それでも住む家を見つけなくてはいけないのです。


インターネットで家探し

どうしたものかと悩む私に、今ではインターネットで賃貸物件を探せるようになっているから試してみたら?とブラッチャーノ推しのシチリア女子が言いました。

そこで、ブラッチャーノ、アッフィット(賃貸)、モノロカーレ(ワンルーム)などとキーワードを入れてみたら、賃貸物件がいくつか出てきます。
ブラッチャーノにあるたしか3軒ほどの会社がネット上にも多く物件を紹介していました。

部屋の写真や物件情報をチェックし、私の払える家賃400~500ユーロの上限を超えないものを見つけていきます。
そして良さそうな物件をいくつかピックアップ、不動産会社に直接メールをして内覧の予約を入れました。

思っていたより簡単で拍子抜けしたのを憶えています。
東京に居ながらにしてブラッチャーノの物件情報をチェックし内覧予約まで入れられるなんて。
でも考えてみたら、日本からだろうがイタリアからだろうが不動産会社にとっては関係ありません。
インターネットが、まさに世界の距離を一気に縮めてくれたのです。

東京からブラッチャーノへ直行した

アパートの内覧日時は、イタリア到着の翌朝イチバンにしました。
限られた時間内で引っ越し先を決めなくてはいけないので最短をとったわけです。

無駄な時間とコストを省くため、ローマ・フィウミチーノ空港から直接ブラッチャーノへ行くことにしました。
ブラッチャーノへは行ったこともありません。
でも、時間がなかったのでそうするしかなかったのです。
いったんローマの部屋へ入ってからとか、知らない町に夜に行くなんて不安だとか、そんな悠長なことを言っている場合ではありませんでした。

全日空のドイツ経由便だとローマ・フィウミチーノ空港着が夜21時ごろになります。
最初にローマへ行ったとき空港へ迎えに来てくれていた、ロストバゲッジにも関わらず1時間も待っていてくれた、あの運転手にまた迎えをお願いしていました。

彼もフィウミチーノ空港からブラッチャーノへ行くのは初めてだったらしく、ちょっとした珍道中となります。

事前に彼が調べておいてくれたルートは、高速道路ではなく一般道を行くものでした。
フィウミチーノの町を抜けしばらく行ったところで右折すると、今度は真っ暗な田舎道です。
街路灯も家も何もない真っ暗な道なので頼りはクルマのヘッドライトだけ。
それでも気配で分かる周囲の様子は、農作地だったり野原だったり雑木林だったりしました。

今ではすっかり慣れっこになった道ですが、初めてだと相当不安になる道です。
そして今なら、空港から高速に乗って海沿いを北上しチェルヴェーテリで降り、そこから内陸部へ入っていくのがもっとも便利で早いルートだと知っていますが、当時はそんなことを知る由もなく。

それでも無事にブラッチャーノの町の入り口へたどり着いたものの、今度は予約していたB&Bのある道を見つけることができません。
12月初旬の寒い冬の夜、道を訊ねようにも町を歩いている人はいませんでした。
ようやく1軒だけまだ営業していたピッツェリアを見つけ道順を教えてもらい、やっとB&Bに到着したのは22時半ごろです。

5泊6日で家探し

この時、ブラッチャーノで予約することのできた宿は2軒しかありませんでした。
1軒は今でもありますが旧市街に近いホテル、もう1軒は私の予約した駅に近いB&Bです。

家探しがどのようになるのか、いったい何日ほど必要なのか、先の見通しはまったく立たなかったものの、取りあえずそのB&Bを5泊分だけ予約しておきました。
だいたいの到着時間は伝えてあったのでオーナーも待っていてくれて、チェックインを済ませ、部屋を案内してもらい、バスルームの使い方を教えてもらいます。
そして、その夜は宿から一歩も出ず、シャワーだけを浴びて眠ってしまいました。

木曜の夜に到着して5泊取ってあるので火曜の朝にはチェックアウトしなくてはいけません。
金曜の朝イチで不動産会社の内覧アポイントメントを取ってあります。
その日のうちに予定していた3軒を見せてもらう計画です。
ただ、オーナーに確認したら、この時期のブラッチャーノは観光客もいないので延泊になっても大丈夫、とのことでちょっと安心したのを憶えています。

とはいえ、ノンビリしているわけにはいきません。
5泊6日で家探しです。
厳密にいえば使えるのは金曜の朝から月曜の夜まで、しかも土日を挟んでいます。
果たしてこの間に、内覧をして契約をして入居までなんてできるものなのでしょうか?

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