見出し画像

93.イタリアで自営業をするのに必要なこと

イタリアで就労用の滞在許可証を取得するにあたり、その手段は何でも良いと思っていました。
就職先がなかったので消去法で自営業をすることになっただけのことです。


イタリア人でも仕事がない

出張で初めてイタリアを訪れた時、平日の昼間から壮年男性たちが、バールでカフェやワインを飲んだり公園でお喋りに興じていたりするのを見て驚きました。
この人たちは仕事をしていないのだろうかと。

失業率:9.2%(2020年)
若年者(15~24歳)失業率:29.4%(2020年)

基礎情報:イタリア|労働政策研究・研修機構(JILPT)

イタリア人でも仕事がないのです。
そんな状況で特殊能力もコネもない移住者が就職先を探すなど至難の業と言えるでしょう。

実際、私が移住を決めてローマに来た2013年の秋、履歴書を作り就職先を探しましたが、見つけられたのは日本食レストランぐらい。
しかも、労働許可証の取得支援をしてもらえるわけでもありませんでした。

簡単に起業する人々

フェラガモやグッチのように何代にもわたって脈々と受け継がれる事業もあれば、一代で築き上げ一代限りで終わる会社もあります。
それは日本も同じと思いますが、ブラッチャーノに住んで10年、もっとすごいものを目の当たりにしてきました。

それは、2年ほどでつぶし、また新たに事業を興す、起業する、というパターンです。
個人事業に多く、名称を変え住所を移し、でも事業内容は以前とまったく同じなので、最初は意味が全く分かりませんでした。

これが税金対策と知ったのは、最近になってからです。
2年目以降の事業税が高すぎて払いきれず廃業、頃合いを見て再び始めるのでそういうことになるのでしょう。
優秀な税理士を雇っていると、法に触れないよう上手い具合に法の網を潜り抜け、こうしたことが実現可能なのです。

というわけで、わりとみんな簡単に起業します。
私のように、1度始めたら少なくとも10年は続けるべきだし、その覚悟がないのなら始めてはいけない、と思っているような人種からするとあまりにイージーですが、これもイタリアらしい一面と思います。

誰でもできる自営業の職種

イタリア暮らしを続けているうちに、私の頭もだんだん柔らかくなってきました。
思い詰める必要はなく、やりたいと思うアイディアがあるなら取りあえず始めよう、やってみようという精神です。

そんな考え方が育ってきていたからこそ、自営業をして就労用の滞在許可証を取得するというチャレンジに挑むことができたのだと思います。
いろいろ突き詰めて考えていたら、最初からあきらめてしまっていたかもしれません。

調べて翻訳して理解しての繰り返しがうかがえるノート

自営業の道を選んでからというもの、とにかく人に聞いたりネットで調べたり情報収集に励みました。
3人の税理士との関わりの中で情報をバージョンアップさせていき、最終的に決めた自営業の職種は「パーソナルショッパー」です。

パーソナルショッパーとは、個人的な買い物を手伝うのが主な業務内容で、日本では主にファッション系に関わる職種でしょうか。

私の税理士曰く、「日本からのお客さまがいらしたとき買い物に付き合うシーンというのは必ずあるはず。イタリア土産に良いものをアドバイスしたり、店へ一緒に行って通訳しながら選ぶのを手伝ったり。これはまさしくパーソナルショッパーの仕事だ」というワケです。

ハッキリ言って誰にでもできる仕事と思います。
資格も必要なければ初期投資の必要もありません。
しいて言えば、イタリア語スキルとモノを見る目と情報をキャッチするコミュニケーション力ぐらいでしょうか。

イタリアに就労用の滞在許可証で移住したいと思っている方なら誰でもきっと、この方法で大丈夫と思います。
自営業でパーソナルショッパー……私の税理士、天才です。

ブラッチャーノ湖をはさんで対岸の町トレヴィニャーノ
旧市街がとてもフォトジェニック
町が美しい植栽であふれています
町の紋章、3本の(トレ)ブドウの木(ヴィニェート)でトレヴィニャーノ
周辺では昔からワインづくりが行われていました

ブラッチャーノ湖の周囲には、ブラッチャーノ、アングイッラーラ、そしてトレヴィニャーノの3つの自治体があります。
それぞれに特色がありますが、中でもトレヴィニャーノのフォトジェニックさはピカイチ。
どこを撮っても絵になります。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?