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おいたま食堂多摩川支店です

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ご近所や祖父母、両親。見聞きした昭和的暮らしとお料理のレシピエッセイ。山形県置賜(おいたま)地方の伝統を、器用な母から不器用な娘へ。受け継がれるはずが失敗したり忘れたり。日々のご…
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#郷土食

【レシピ付】春は垣根を摘みながら、ウコギ飯

【レシピ付】春は垣根を摘みながら、ウコギ飯

(この記事は東北を深掘りする日刊webマガジン『まいにち・みちこ』に2019年5月8日に掲載されたものです)

四月下旬の週末、郷里の山形県長井市に帰省した。
2泊3日の駆け足の帰省だったが、ゴールデンウイーク前の山形の春を満喫できた。

山形の春のはじまりは、南に接する福島県と半月くらいずれている気がする。
吾妻連峰の山々を越えてくるのに多少時間がかかるのだろうか。
山形新幹線に乗って東京から北

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【レシピ付】ひょっとしていい事が? 江戸時代から伝わるひょう干し煮



(この記事は東北を深掘りする日刊webマガジン『まいにち・みちこ』に2019年1月23日に掲載されたものです)

まことに遺憾ながら、山形県は一部で「不思議県」として認知されているらしい。
テレビ番組「秘密のケン〇ンショー」などで面白く取り上げられるおかげだが、県民は自分達が他地域とずれているなどと少しも思わない。
①を『いちまる』と読むのも、(1)を『いちかっこ』と読むのも、子供がよその家に

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【レシピ付】男子大学生にもアピール・雪菜の漬物と若ニンニク



(この記事は東北を深掘りする日刊webマガジン『まいにち・みちこ』に2019年1月16日に掲載されたものです)

年末年始は山形に帰省した。と言っても大みそかの夕方まで仕事をし、その足で東京駅に直行して18時台の山形新幹線つばさに乗るという荒業だ。
たまたま一枚だけ直前にとれたチケット。遅れたらすべて無駄になってしまう。
それでも帰らなければと思ったのは、実家の両親共に80歳を過ぎ、電話で話し

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【レシピ付】宇宙人も好物!?実は名物・馬肉で煮込み

【レシピ付】宇宙人も好物!?実は名物・馬肉で煮込み

(この記事は東北を深掘りする日刊webマガジン『まいにち・みちこ』に11月16日に掲載されたものです)

山形県は酒、米、芋煮に牛肉と美味しいもの沢山あり、自然の恵みを堪能しているが、『秘密の県民ショー』等の番組のおかげで周知されてきたのが『日本一のラーメン喰い県』という事実である。
東北グルメとしては蕎麦が有名だし、濃いめの地元産の生醤油を使った蕎麦つゆで食する手打ち蕎麦は、歯ごたえがあって、鼻

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【レシピ付】冬間近ですよ大急ぎ・秋の晴れ間に芋煮会

【レシピ付】冬間近ですよ大急ぎ・秋の晴れ間に芋煮会

(この記事は東北を深掘りする日刊webマガジン「まいにち・みちこ」様に2018年秋に掲載されたものです)

山形出身者の心身にしみ込んだソウルフード。それは玉こんと「芋煮」
細胞からDNAレベルと言っても過言ではないわけで、それは大げさな表現ではありません。
特に最上川沿いにの者にとっては、秋は芋煮を思い出して河原に行きたくなる季節なのですよ。
筆者は現在、東京の多摩川という、神奈川県との県境の川

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【レシピ付】旬の栗でホカホカ煮物 栗と鶏肉のこっくり煮

【レシピ付】旬の栗でホカホカ煮物 栗と鶏肉のこっくり煮

我が山形県・米沢市の湖に巨大宇宙人が現われたというニュースが、先日スポーツ紙をにぎわせた。ちなみに載ったのは世界中のおふざけニュースを流してくれることで有名なスポーツ紙。
私の本家が米沢だという事を知る友人達は、メールで「宇宙人大丈夫?」と尋ねてくる。大丈夫も何も、街が襲来されたわけではありませんし。
秋の山で遭遇する生き物は、新幹線と衝突して止めたこともあるという「熊」が一般的なのだが、今後「宇

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【レシピ付】暑さで食欲がないときもおすすめ。夏野菜の栄養もしっかり採れる山形の「だし」

【レシピ付】暑さで食欲がないときもおすすめ。夏野菜の栄養もしっかり採れる山形の「だし」



(この文章は東北を深掘りするwebマガジン「まいにち・みちこ」様に2018年盛夏に掲載されたものです)

暑い。あつい。この言葉しか出てこない。夏の季語は数々あれど「あつい」ではダメなのだろうか。
こんな駄考えが頭をぐるぐるするくらい、今年はとみに暑い。
長らく『日本の最高気温』トップを維持してきた山形県だが、他の都市に抜かれて久しい。
そして今年7月23日、埼玉県熊谷市で観測史上最高の41,

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【レシピ付】歴史は江戸から。シャキシャキ無限おかひじき

【レシピ付】歴史は江戸から。シャキシャキ無限おかひじき

春の山菜シーズンがひと段落し、夏野菜がつるや葉を元気に伸ばしている間に、ぐんぐん伸びて出回って来るのがおかひじきだ。
畑のビニールハウスで栽培され、そのスギナのような切れ込みの深い繊細な葉を伸ばした姿と、アクも苦みもなく爽やかな歯ごたえは、初夏の立派な緑黄色野菜だ。
山形県での栽培の歴史は古く、江戸時代初期にはもう置賜地方で栽培されていたという。
全国でもトップレベルの栽培歴を誇る。
最上川を利用

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【レシピ付】初夏の先取り 零れる早緑 じんだん白玉団子

【レシピ付】初夏の先取り 零れる早緑 じんだん白玉団子



すっかり宮城県の甘味として有名になった感のある「ずんだ」
しかし、この状況にぐぬぬとなっている山形県民は多いのではないかと思う。

「ずんだ」ではない。
「じんだん」だと。

小さい事だと思われるかもしれないが、山形県のテレビでは、宮城の「ずんだ」がこんなにメジャーになる前から、じんだん甘味のCМを流してきた。
山形ではおなじみの老舗・大江餅屋の「じんだん饅頭」である。
鮮やかな緑のじんだんの

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【レシピ付】初夏をとじこめて 山形イチゴとミルクの寒天

【レシピ付】初夏をとじこめて 山形イチゴとミルクの寒天

 小学校への通学路は他人の家の裏や細道、畑の中を歩いていく道だった。低学年の子たち数人が遊びながらあるいていくと、目に入るのが畑の端に植えられたイチゴの真赤に熟れた実だ。

 おぼこらたちは少し考え、喉の渇きと真っ赤なイチゴの誘惑に我慢できず、もいで食べてしまう。頭の黒い鼠が何匹も畑を荒らすのだから、当然見つかって怒鳴られるし小学校に文句が来た。

 でも子供たちも知った

『人の家の畑のものは、

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【レシピ付】織物職人の団欒。春の味は大人の味? ふきのとう味噌

【レシピ付】織物職人の団欒。春の味は大人の味? ふきのとう味噌

実家のある土地は、元々地元の大きな神社の森が切れたあたりの、何もない畑地だったらしい。

そこに米沢、山形と回り古い手法の織物を学んだ父が家を建て、米沢から両親を呼び寄せたのだという。
そのころ米沢では、効率の良い機械織りが主流になっていたから、昔のものを復興させたかった父はあえて知り合いのいない当地を選んだらしい。昭和30年代の話。

家には、昔ながらの織機を何台も置いた織物工房が隣接しており、

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【レシピ付】発酵パワーと野菜たくさんで快調・納豆汁

【レシピ付】発酵パワーと野菜たくさんで快調・納豆汁



山形県は広い。

ひとつの県と言っても地域的には庄内、最上、村山、置賜と別れており、四季の様相もまた違う。

冬は海からの突風と目の前数センチ先も見えなくなるほどの地吹雪が起こる、鶴岡、温海、酒田などの庄内地方の雪害も有名だが、他の地域でも頭の痛い問題だ。
わずかな時間に景色を変えてしまうドカ雪は、生活に直結する大問題で、鉄道も道路も、毎年の事と備えはしているとはいえ、寸断されることもままある

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【レシピ付】ほろにが菜の花を子供にも美味しく・落とし卵焼き

【レシピ付】ほろにが菜の花を子供にも美味しく・落とし卵焼き

(この文章は東北を深掘りするwebマガジン『まいにち・みちこ』様に4月11日掲載されたものです。よって季節感ずれております)

急速に春が来た。

東京の狂乱ともいえる野菜の高騰もひと段落、ようやく葉物野菜の値段も下がってきた。
地物の春野菜が一斉に出荷され、八百屋の棚をにぎわせている。根元に土の着いた、収穫した方々のお顔が見えるようなたくましい野菜たち。
春が来たことを喜びを持って実感させてくれ

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【レシピ付】意外と簡単!ご飯からつくるほっこり甘酒/こたつにひそんでいたもの

【レシピ付】意外と簡単!ご飯からつくるほっこり甘酒/こたつにひそんでいたもの



「おこた」の中には思いがけないものが潜んでいた。

こたつについての一番古い思い出は、つま先の火傷だ。
幼少の頃、家は炭を入れる掘りごたつで、火を起こした練炭を入れ、網を張って、中に入れた足が炭に触れないようにガードされていたように思う。
だけど幼児の小さな足はガードの網の目をくぐり、靴下のつま先を焦がし、あちちっと泣いた。
やがてこたつは電気になり、足は安全になったし、火事の心配も減り、スイ

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