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WAKIMIZU

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散文詩など
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#詩的散文

ワルプルギスの霄

ミーハーなのよ。下世話なのよ。それが1番楽しいでしょう?ねェそうでしょう?

そんなことより花を一輪頂戴。1番真っ黒のをね。

ローリーかよこエズラさちよソフィマリアンエルシー芙蓉ねェそうでしょう?

どんなことよりソレの話が楽しい。1番楽しいのよね。

ジャスミンの香りが充満していても もう誰も気づかない。私達しか気付けない。

こんなに芳しい夜になったから この闇は私達のも

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令和初期、サンセットシティはいい天気

カムパネラは街中鳴り響き
不浄の切っ先がひび割れる 畏る 淡い海 桃源郷

サンセットは街中グラデーション
無常の一刻は迫り来る 私にも あなたにも 平等よ

大都会に住んでいたって 私の家の近所には
躑躅も藤も木香薔薇も 目が痛いほど咲いている

悲しいことが起きたって逃げられない 帰れない
ドルマンスリーブは空を飛べない

橙に桃紫藍色
苦渋の選択が下される お菓子にも 鸚鵡にも 想像よ

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ナウ・ローディング・テン・イヤーズ

かりそめの わたしたち
できれば いまのうちに

かくしても みえてくる
さきゆく はなのように

すきとおる くらやみが
このさき はばんでいる

たちどまる わたしたち
つないだ てがほどけた

このしろは あるあさに
いきなり できあがった

このしろは いつのひか
いきなり おちるだろう

かやのそと そらのうえ
くらげが うようよいる

さむい すごくさむい
からだがうごかない うごかせ

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とびたつ

千切って千切って千切って千切って
そうさ私この効果わかるから
千切って千切って千切って千切って
こうかああかどうこうかわかるから

わたりどりよとぶきせつよとさけぶ
わかってるよととりたちもとびたつ
わたしたちのこころだってとびさる
わだちしるしからだちのはてむかう

踊って踊って踊って踊って
そうさ私この動作わかるから
踊って踊って踊って踊って
こんなふうかどんどこからからから

かたちもかげも

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カウントダウン

3、

無いはずの 平成32年から 未来人だと云う人が来た

姿見に 外の草木が 映されて

永遠の美を望まれている

髪結えば 神が鳴るなり 窓の外

天は蛇口を ひねって怒る

夕立は 凌霄花の 色をして

スカートの裾は 人魚の尻尾

2、

初めて来たはずの町から、懐かしい匂いがして狼狽えること

幼い頃、スーパーの棚の見えないところには、何か特別なものが置いてあると思っていたこと

記憶

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詠唱禍歌

1.

遊びじゃないもん全部

でも幻

星降る夜があったけど

桜吹雪が舞ったけど

全部本気の幻

シャンデリアが揺れた日も

カスピ海が凪いだ日も

朝目が覚めたのも

2.

赤い山が一斉に散った。

私は貴方のことを必死で思い出そうとしていた。

顔もぼやけて輪郭も定かで無い記憶をなんとか辿ると、真夏の匂いがした。

途方もない量の懐かしさに意識が混濁し始めて地面に伏せると、目の前が暗転

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