見出し画像

【本の紹介】「戦わなくていい。誰とも、自分とも。」 猫のお告げは樹の下で/青山美智子


「心が病んでるって、一生懸命な人のことを
笑ったり、誰かが大切にしているものを平気で
踏みにじったりするやつのことだと思うんだ。」

今日は、青山美智子さんの作品を
4作品紹介しようと思います。
少し長くなるかもしれませんが、
最後まで読んで頂けると嬉しいです。

しんどい時、優しく背中をさすってくれるような
温かい作品ばかりで本当に大好きです。

はじめに紹介するのは
『猫のお告げは樹の下で』

とある神社に《ミクジ》という名の
不思議な猫がいる。
その猫は、迷える人へ葉っぱに刻んだ
"お告げ"をしてくれるという。
なんでもない言葉が"お告げ"だったと気づいたとき
思い悩む人たちの世界はガラッと変わっていく。

猫のお告げは樹の下で

と、あらすじはこんな感じ。

みなさん、タラヨウの木って知ってますか?
別名「葉書の木」と言われています。


読んでびっくり。
この本に出てくる「ミクジ」という名前の
迷える人へお告げをしてくれる不思議な猫、
「白黒のハチワレでお腹と足は白く金色の目、
鍵しっぽを持ち、おしりには星のマーク」
前半部分はまさしくうちの猫でした。笑
が、ミクジは鍵しっぽとのことなので
そこが惜しいところですが…笑
あ、おしりの星マークももちろん違いますが
うちの猫は鼻にハートマークがあります。笑

それはさておき、大好きな1冊です。
登場人物が異なる短編集の構成ですが、
少しずつどこかで繋がっていくような
場所や時間が交差するような物語です。
ひとつふたつ選べないくらい、
もう全部のお話が好きでした。
ミクジや神主さんの優しさ、それぞれの想い、
心がほわっと、目頭がじわっと熱くなるお話達。

それと、タラヨウの木のある神社を
探したくなります。笑

青山美智子さんの作品って、
わたしがこれまでに読んだもの全てに
共通することがあって。

「あったかい」んです。

熱くなくて、じんわりあったかい。
はちみつを入れたホットミルクみたいな、
寒い日に飲むホットココアみたいな、
飲んだ瞬間に心がほどけるような
優しくてホッとするあたたかさがあります。

元気のない時に読むと
心がポカポカして元気が出るんですよね。


タイトルに書いた言葉も、
記事の頭に書いた言葉も、
読んでいただけると分かる通り、
その言葉のひとつひとつが
あったかくて優しくて力強いんです。

『猫のお告げは樹の下で』
の中にも素敵な言葉がたっくさん出てきます。
少しだけ紹介。


「1番強い形は球体だよって。
外からの衝撃に負けず、それでいて自分は
何も傷つけない。たくましくて穏やかで、
そして美しい。」

「自分のいるところが真ん中。
自分が本当に思うことが真ん中。
自分の中の真ん中。
それがこの世界の、真ん中だ。」

「猫は嘘をつかない。無理して笑わない。
変な気を回さない。正直なぼくに正直に
寄り添ってくれる。そのことがぼくを
とても安らかな気持ちにさせた。」

「誰かを好きになるって、
その人が自分に混ざるってことだもの。」

「何かの答えを見出すのは素晴らしいことです。
でも、そこにたどりつくまで迷いながら歩く
日々のほうこそを人生と呼ぶんじゃないかと、
私は思うんですけれどね」

「今夜は三日月だとか満月だとか、
人はそう言いながら月を見上げるけど、
実際の月はいつもまんまるで、私たちは
月が太陽に照らされた光の部分を見ている。
だから、月がどんな形をしていても、
それは一部でしかない。
そして矛盾しているようだけれど、
どんな月もほんとうの月だ。」

たくさん沢山好きな言葉や文章があるけれど
これから読んでくださる誰かのために
これくらいにしておきたいと思います。笑



実はこの1週間で2冊ほど本を読みまして
どちらも青山美智子さんの作品で。
本当は全てちゃんと紹介したいのですが
偏ってしまうのも…と思ったりして。
ですがせっかくなのでこれまでに読んだ作品
(全ておすすめなので)紹介したいと思います。


『木曜日にはココアを』

川沿いの桜並木のそばに佇む「マーブル・カフェ」
そこへ訪れる人たち12人の物語。
東京とシドニーを繋ぐ物語。
こちらも少しずつ全ての登場人物がつながっていく短編集。
寒い日に温かいココアを飲んだとかのような、
優しくてホッとした気持ちにさせてくれる。
みんな、知らないうちに誰かを救ってる。


「私は泣いた。
言葉を知らない幼児みたいに泣いた。
泣いて泣いて泣いて、うわあああと声をあげて、
大事なふりをしてずっと抱きかかえていた、
固くて重くていらないものを破壊した。
心のどこかで知っていた。
私は、ずっとこうしたかったのだと。
これでもう、私は、本当の自由になった。」

「正しい謙虚さというのは正しい自信だし、本当の
やさしさは本当のたくましさじゃないかしら。」

「道がまっすぐかどうかよりも、曲がりくねった
道を頑張ってまっすぐ歩こうとしてるなら
いいんじゃないかなって、僕は思います。」

「お決まりの時間や場所から
一歩踏み出したくなったのです。」

「私の話を、あなたにしたい。
そしてあなたの話も聞きたいのです。」


そして「木曜日にはココアを」の続編

『月曜日の抹茶カフェ』

「木曜日にはココアを」の続編。
前作と同じく、マーブル・カフェで人生が交差する人たち、
今度は東京と京都を繋ぐ美しい物語。
個人的には前作よりもさらに、今作が大好きです。
ひとつの縁が全てを繋いでくれる。
それが、自分の新しい一歩になる。


「縁っていうのはさ、種みたいなもんなんだよ。
小さくても地味でも、育っていくとあでやかな
花が咲いたりうまい実がなったりするんだ。
種のときは想像もつかないような」

「あっちしか見てないからやろ?
体の向きを変えたら世界が一転するで」

「思い出って、流れゆく時間を留めておく
ピンのようなものかもしれませんね。」

「痛みを覚えることは、痛くないようにする方法を
覚えることと等しかった。」

「肌を隠して、心を隠して、飾り立てて、
嘘ばかりついて、何者かになろうとして。」

「あんたがあんたらしくいられるほうが
何倍もおもろいやん。」

「青空では身を潜めていた満月が輝くのは、
これから訪れる美しい漆黒の夜空だ。」

「縁って、実はとても脆弱なものだと思うんです。
どちらかが一度でもぞんざいな扱いをしたら、
あっけなくちぎれてしまうぐらいに。」



『ただいま神様当番』

早朝通勤(通学)のためにバスに乗る5人が
それぞれ主人公の短編集で他の作品同様
少しずつ繋がっている連作短編集。
落とし物が自分の欲しかったものだったら…
そしてそれを拾ったら…
目を覚ますと神様当番と腕に大きく書かれていて、
神様のお願いを聞かないと消えないのだとしたら。
神様のお願いを叶えようとするうちに
迷い、悩み、もがきながらも、自分の人生に向き合い
一歩踏み出してゆく人たち。
それこそが、神様の狙い。


「運は順番通りにはやってこない」

「白馬に乗った王子様なんて、憧れたりするんだ?
ううん、私、王子様より白馬が欲しい」

「怖いものなんてない人より、本当は怖いのに
立ち向かってく人のほうが、何倍も強いよ。
それを勇気って言うんだと思う。」

「間違いなんてひとつも犯さない、
悩みなんて何もない、
スーパー・ヒーローにはなれない
不完全な僕たちこそ、きっと完全体なんだ」

「ひとりで叶えられる夢など、何ひとつない」



何度も書きましたが、どの作品も、
優しく温かく心を毛布で包んでくれるような
作品たちです。
心が疲れている時や元気が出ない時に
ぜひ読んでみてくださいね。



それでは今日はこの辺で。


最後まで読んでくださってありがとう。

また気が向いたら、来てくださいね。






この記事が参加している募集

読書感想文

わたしの本棚

サポートしていただけると嬉しいです。