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10代のHSPにおススメ「繊細すぎてしんどいあなたへーHSP相談室ー」読書感想文

本について

・タイトル:繊細すぎてしんどいあなたへ HSP相談室
・著者:串崎真志
・出版:岩波ジュニア新書

読むのをおススメしたい人

・タイトル通り、「繊細すぎてしんどい」10代の人、小中高生(小学生には読解が難しいかもしれません)
・上記のようなお子さんを持つ親御さん
・HSPで悩んでいる大人(大人向けの本を読んでなお、さらに理解を深めたい人)

読むと学べること

繊細さのタイプについて
「怒っている人が苦手」「匂いや音が苦手」など、基本的には学校での具体的な場面でのエピソードを交えて説明しています
繊細さへのタイプ別対処法
繊細さを抱えて生きる方法
相談相手や方法、ロールモデルについて、繊細さを特性として活かして認めていくマインドセット、HSPの人への接し方等

※著書の簡潔な3つのアドバイス(本書から引用):

人間関係ではどうか無理をなさらず、自分の繊細さを信頼し、直感を大切にする

出典:串崎真志.繊細すぎてしんどいあなたへーHSP相談室ー. 岩波ジュニア新書

感想

10代向けの本じゃないの?

この本は、岩波ジュニア新書から出されているものなので、上に書いた通り、ターゲットは10代、小中高生あたりです(小学生が読むにはすこし難しいかもしれません。)。

そのため、お悩みの内容も、「クラスや学校になじめない」「友達の顔色が気になる」など学生ならではのものが目立つなかで、「匂いや音に敏感」「怒っている人が怖い」などもあり、結局、子どもも大人も、関わる人や環境が変わるだけで、その悩みの本質は、「人間関係」「環境自体」「自分自身」などざっくり分けると同じようなものなのだと気づきました。すべての悩みは人間関係である」と心理学者のアドラーも言ってるくらいなので。

それらの悩みを、「中学2年生のA君の事例は、」という感じで、読み手として想定されている10代の目線に立って、わかりやすく簡潔に説明してくれています。

「私のような30歳の大人が、こんな本を読んでいいのだろうか、意味があるのだろうか」と思いつつも、前回読んでとても良かった「繊細な心の科学 HSP入門」の著者である串崎先生か書かれていること、そして何よりタイトル通り、「繊細すぎてしんどい」は今の私をそのまま表していたので、近所の図書館の「ヤングコーナー」で恥を忍びつつもこの本を借りました。

「繊細な心の科学 HSP入門」の読書感想文です↓

そんな感じで半信半疑で読み始めましたが、やはり良い本でした。良かった点を2点書きます。

HSPに”やさしい”本

ひとつめは、子ども向けということで、かなり丁寧にわかりやすく、そして簡潔に書かれている、という点です。「繊細な心の科学 HSP入門」は、その繊細さたる所以を、様々な心理学者の実験や研究を挙げて、それに基づいて丁寧に説明されていますが、この本は、読み手である10代の子どもたちの立場に立ち、「具体的に学校生活のこういった場面ではこういう悩みが発生して、それにどう対処するか」といった書き方で、大人向けよりもさらにわかりやすい書き方になっています。そのため、大人が読んでもHSPに対する理解をさらに深めるのに役立つ本でした。

HSPと思春期の関係性

ふたつめは、10代、つまり思春期の繊細さにスポットライトを当てており、当事者はもちろん、大人になった自分自身の学生時代や幼少期の過去の悩みを整理し解決するツールにもなり得るという点です。串崎先生によれば、思春期には、誰しもがHSP状態になり、平常時でHSPの人はさらにHSP度が増す、とのことです。私自身、どうしても周りの友だちと馴染めず孤立していた時期がありました。「この子は好き、あの子は苦手、ってただ選り好みをしてる根暗コミュ障な私はダメな人間」というネガティブなレッテルを自分に貼り付けていたのですが、「それはわたしのHSPという個性と思春期のタイミングでそうなっていたんだ」とフラットな感情で捉えることができるようになりました。

10代のHSPの人が読むのに効果的

ただ、そうは言っても、やはり思春期真っただ中にこの本に出合いたかった、というのが本音です。HSPゆえ、学校という閉鎖的な環境でたくさん苦しい思いをしてきたので。

もし小中高生で「なんだか自分、繊細なんじゃないか」と悩んでいる人、もしくはご自身のお子さんがそういった様子が見受けられる場合は、ぜひ読むことをおススメしたい。HSP当事者としての生き方だけでなく、HSPの人に対する接し方も書かれています。

さいごに

串崎先生の書かれている、「自分の繊細さを”信頼”し、」という表現はとても的を得ていると思いました。繊細さに限らず、自分を信頼して、そして愛す、というはとても難しいと感じていた今日この頃だったからです。今まで自分のネガティブな部分、もはやコンプレックスと感じていた「繊細さ」を信じる、というはなんて勇気ある、素敵な言葉でしょう。心に刻んで強くたおやかに生きてゆきたいものです。

ではまた。

おまけ
この本と同じ著者、串崎先生の「繊細な心の科学 HSP入門」の読書感想文です↓


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