見出し画像

HSPをはじめて自分の個性として受け入れられるようになった本「繊細な心の科学ーHSP入門ー」読書感想文

本について

・タイトル:繊細な心の科学 HSP入門
・著者:串崎真志
・出版:風間書房

読むのをおススメしたい人

・なんだか人より敏感で繊細な人、HSPで悩んでいる人
・身近に、上記のような家族や知人などがいて、接し方に悩んでいる人
・なんとなく、HSPに興味がある人

読むと学べること

繊細な自分を知る
人に対する繊細さ、感覚の敏感さなどタイプ別に、その繊細さについて理解できます

繊細さのメカニズム
様々な心理学の実験や研究、文献などの科学的な観点から、繊細たる所以について理解できます

繊細さを抱えて生きている方法
「気持ちのバリア」など、繊細な自分を守るための処世術が書かれています

感想

HSPに関する本は、これまでたくさん読んできましたが、個人的には、今まで読んだ本の中で、いちばん読みやすく、また著者の優しさが伝わってくる本でした。実験や研究に基づいた科学的な説明も大変わかりやすく興味をひくもので、書かれていることに説得力がありました。

HSPを、自分の個性として受け入れる

よく言われる、「HSPは病気ではなく特性です」という言葉、ずーっと違和感がありました。
私は、HSPの持つ特性のなかでも特に五感が非常に敏感(その中でも特に音感が鋭敏です)で、それゆえに体調を崩したりすることもあってめちゃくちゃ生きづらさを感じています。この生きづらさ、もはや病気レベル。「いっそ、うつ病のような精神疾患になってくれ!であれば、薬で治療ができるのに!」といつも思っているくらいです。

この本のなかで著者の串崎先生もすこし触れられていますが、敏感な五感というのは、古の時代の人間にとっては非常に重要な感覚で、例えばいつもと違う音や大きな音が聞こえてきたら、「おーい、マンモスが来るぞー!!」と仲間に伝えて難を逃れ、生き延びる、それくらい大切な感覚ではありました。が、今や時代は令和。原始時代でもあるまいし、五感なんて最低限備わっていれば生きていけるんです。なので、「けたたましいエンジン音を立てて走っていくバイクに、いちいちビクついて、一体私はなんの危険を察知したというのだ‥!」と、そうやっていつも繊細な自分にカリカリイライラしていましたが、この本を読んでいたら、「まあそういう自分の個性を活かしながら、マイペースに生きていけたらいいな」と、まだうっっっすらではありますが、そう思えてきました。

そう思えたのは、初めの方にも書きましたが、串崎先生の、読み手に寄り添うような優しくわかりやすい書き方と、科学的根拠に基づく説明がそうさせたのだと思います。

この本の”やさしさ”

HSPの特性のひとつとして、「丁寧さ」があります。私自身も仕事中や友達との会話など、相手になるべく丁寧に対応したり説明することを心がけています。「丁寧さ」というのは、「相手の目線に立つ」ということだと思っています。
この本も、「なぜ、こんなに繊細になってしまっているのか」、そのメカニズムを読み手の立場になって大変丁寧に説明しています。一般的な心理学の本や自己啓発本を読んだときに抱く、なんとなく突き放たれている感じ、素っ気なくて他人事のような感じ(そう感じるのは私がHSPだからだろう)が、本書には見受けられませんでした。読みやすさの”易しさ”と”優しさ”を感じました。

様々な科学的根拠に基づく説明

他のHSP関連の本と異なるもうひとつのポイントは、たくさんの興味深い心理学の実験や研究が紹介されていたことです。その中で特に興味深かった研究のひとつを挙げます。その時に抱いた感情によって、発する汗のにおいが変化し、さらにそれを嗅いだ人や動物に、心理的、身体的な影響を与える、といったものです。
このような興味深い数々の研究が、素人にもわかりやすく説明されており、心理学にありがちな抽象的な説明ではなく、タイトルにもある通り、「科学的」な説明をしてくれている点が、説得力があり、楽しんで読めました
そのおかげで、なぜ自分は繊細になってしまっているのか、しっかり理解して納得するところまで落とし込めました。

さいごに

HSPとして生きていく対処法について、いくつか書かれていますが、もう少し具体的に挙げてほしかったと思います。HSPには珍しく想像力が乏しく、抽象的な話が苦手な私は、イマイチ「自分の周りにバリアを張る」というイメージが湧いていないです。毎日ふと思い出したときにバリアを張るようにしていますが、まだまだ鍛錬が足りないんですかね。。。
とは思う一方で、あくまで「バリアを張る」というのも対処法のひとつにすぎず、当然各人との相性もあるので、自分の頭で考え、自分にとって最適な対処法を編み出そう、という串崎先生からの裏メッセージなのかもしれません。

ただ、この本を読んだ私の収穫としてはやはり、「HSPだからといって焦らずのんびりマイペースに生きていこう」です。どうやったら、すこしでも生きやすくなるのか。死ぬまでの永遠のテーマかもしれません。。。今夜も、近隣住民の生活音ごときで眠れない神経質な夜を過ごします。。。

おやすみなさい。

おまけ
この本の著者、串崎先生の「繊細すぎてしんどいあなたへーHSP相談室ー」の読書感想文はこちら↓


この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?