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読書(2023/8/21):解像度を落として高速で読書要約するにはどうするか_1.読書の姿勢を整えて読書する


4.解像度を落として要約する

4.1.己の読書の目的の有無を確認する

(前回の記事の続きです)

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では、ここしばらく私のやってきた、「うまく」解像度を落として高速で読書要約する手法を、つらつらと書きます。

まずは初歩的なところからです。
勉強のための読書とは、自分に何らかの目的がある時に、その手段として読むものになります。
では、その目的は何か?
「オールジャンルで知見を広げたい」のであれば、これは様々なジャンルの定番の本や話題の新刊を沢山読めばよいのです。
そうでなく、「いくつかまたはどれかに絞られる特定のジャンルの知見を得たい」のであれば、ふつうはそのジャンルの定番の本や話題の新刊に限定して読むことになります。

4.2.当該目的の達成条件を羅列する

次に、そ(れら)の目的を、どうしたら達成したことになるか。という話になります。
例えば、学校で試験を受ける場合、
「今回のテストで、こ(れら)のジャンルに十分な知識を持っており、何らかの問題があったら解ける技能もあることを示したい」
というものになるでしょう。
だとしたら、結局、ジャンルで特に問われる類いの知識については知っておかねばならない。
そして、実質的には、それを説明するために知っておかねばならない知識は全部知っておかねばなりません。
逆に言えば、それらを押さえておけば、受験でも就職でも婚活でも、たいてい目的は達成できます。
(前者はやって正解すればよいし、後者二つは相手が「うん」と言うように見えるポイントを概ね押さえていればよいのです)

もちろん、なじみ深いものを説明するのになじみの薄い抽象的な概念の話をすることはあまりないので、そういう意味ではわざわざ問われない知識もたくさんあります。
(順番としての数、順序数は、これを構成するのになじみの薄い抽象的な概念をたくさん使いますが、小学一年生でそんな話をするメリットはふつうありません)
当面は、問われる可能性のあるところだけをやることになるはずです。

4.3.1.条件達成のための計画を立てる

どうすればゴールしたことになりそうか、というのが分かったら、「問われそうな知識」「そのために必要そうな知識」を関連付けて、川のような図を描いてみましょう。
上流の必要そうな知識を全部開通させて、問われそうな知識に合流する。という風にすれば良いのです。
これはつまり、上流から下流へ向かう、向きのあるグラフ(有向グラフ)を作る、ということです。

当面、「やることが‥‥やることが多い‥‥!!」となると思うのですが、実際全部やらねばならなくなるはずです。
ここは結局ペチペチと一個ずつ終わらせるのが一番確実に効果があります。

このプロセスにおいて、努力はどうしても必要になります。そこはやりましょう。
やらないと結局結果が出ないので、一般に一人前の扱いからはかけ離れていきます。
体力を温存できても、周囲からちくちく攻撃されたら、結局その体力は防御のために損なわれてしまいます。
それを楽とはふつう言わないのです。うざさと不愉快さが、楽を塗りつぶしてしまうのだから。

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ここでヒントですが、真の本番(例えば受験日等)までまだ時間があるなら、中間期末試験で点を取ることよりも、上流を全部抑えて学習ドリルで点を取ることを、優先して下さい。

「それじゃ中間期末試験では失敗ばかりになるじゃないか」?

学校から生徒や学生に対してしばしば最優先で求められることを考えると、それは受験に合格、および良い中学校・高校・大学等に進学してもらうことなのです。
中間期末試験は、ある程度生徒や学生の学力を見るための指標にはなりますが、受験合格そのものに比べたら別に決定打という訳ではありません。
だから、中間期末試験で一喜一憂することには、実はあまり意味がありません。
「中間期末試験で全部点を取れる」
という高いハードルではなく、
「なんか三年生になってから追い上げてきたし、安定的に点が取れている。この学力なら良い中学校・高校・大学等に受かるのではないか?」
という中くらいのハードルで、十分に意味があります。

そしてそれは、上流が全部開通することで達成される、そういう事柄です。
ここができているかを確認するなら、まずは学習ドリルで点を取れているかが、一番確実な指標です。
中間期末試験の点は、その後でついてくるものです。

逆に、基礎ができていない状態で中間期末試験で達成できるかというと、一般にそれは無理な話です。
そして、その状態でそういうのを狙ってはいけないのです。
失敗して嫌な気分になるのは仕方ありませんが、できないのに無理な背伸びをして、そのせいで「できていなければならなかった」という悔しさがあったとしたら、本当に無駄に倍苦しむことになります。

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直ちに成果が出ないのでげんなりするところですが、上流から全部開通させていけば、最終的には下流も開通します。
これは三ヶ年計画だと思って下さい。(あるいは二ヶ年だったり一ヶ年だったりしますが)
じっくりと腰を据えてやりましょう。

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なお、この「川のような図を描く」という癖は、後々非常に大事になってきます。
後で読書地図の話をしますが、これの粗っぽい設計図ともなるものです。
描いたら大事に保管し、時々
「この時はこう思っていたが、今見るとこうだよな」
と新しい図を描いたりしましょう。
これで、この世界の知識がどんどん分かっていきます。
ある日これが予想外に仕事等で効いてくることすらありうる
ので、金にはならないが、ちょっとした財産だと思って下さい。

4.3.2.当面無目的乱読は避けられない

当初は、「問われそうな知識」も、「そのために必要そうな知識」も、よく分からないでしょう。

受験だとここは実は楽で、教科書の目次の通りに頭からザーッと読み(できれば学習ドリルで例題を一問解いてみて)、引っかかったところを解けるようにすることで、「必要そうな知識」は全部収穫することができます。
「問われそうな知識」「今期やったところ全部」です。
しんどいように思いますが、ある日「授業に追いついた」と心底思える瞬間が来るでしょう。
この時の絶頂はすさまじいもので、私は高校二年生の時にこうなり、「私は勉強に勝った。これで人生に勝てる!」というテンションになり、実際当初の想定からすればだいぶ高望みであった志望大学に受かり、人生バラ色に見えたものでした。
(その後が大変だったのですが、それについては脱線になるので省略します)

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しかし、これが仕事のマニュアルや研修資料やスキルアップ用独学教本を読む座学の場合、
「そもそも正解が用意されてなどいない。
成果がある程度出れば何でもよい。
が、成果が出なかったらとにかくダメ」
ということはしょっちゅうです。

どういうことか?
「成果がある程度出る」
というのは、仕事の場合たいてい
「降って来た出来事にどうにか対応して、乗り切った、あるいは、上手く行った」
ということです。
これが事業の新規開拓や、未知の感染症への対策だった場合、
「どうにか云々以前の話として、どうすればいいか分からない」
ことだらけです。
関係のありそうな先行事例の知見を掻き集めて、重要そうだと分かる情報を素早く取捨選択して、いくつか見込みのありそうな試行錯誤をするしかないことがほとんどです。
そうなると、「関係のありそうな先行事例の知見を掻き集め」る時点で、とにかく先行事例の知見を膨大に読むことは避けられません。
もっと恐ろしいことを言うと、それらが「重要そうだと分かる」ためには、あらかじめいろんな資料や、資料読解に関する資料を読んでおいて、その良し悪しが己の目で分かるようになっておかないといけないのです。鑑識眼を養うためには、やはり「良さそうだとされるものをたくさん読む」ことが一番です。
マニュアルや研修資料やスキルアップ用独学教本を、手が空いた時にコツコツと読んで、「どうもこれはこういうことか?」くらいに勘所を掴んだり、「こう書いてあるが、どうも納得行かないなあ。誰か詳しい人いないか?」と疑問に気付いて周囲に質問したりすることが、そのうち可能になります。そしてそれは非常に重要なことです。これらをしないと何もかもが分からないままなのだから。

例えて言うならば、歯が痛くなる前に定期検診で歯医者に行くような心がけが要ります。
「てめーらは虫歯が痛くならねーと歯医者に行かねぇ 痛みを感じている間でないと真剣に物事を考えねぇ」
というのでは、どうしたってやることは後手後手に回る。

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これをするメリットは、当初見えていなかった、あるいは描きようのなかった「問われそうな知識」や、「そのために必要そうな知識」が、極めて大雑把ながら見えて来る、ということです。
先程も書きましたが、この図は世界の出来事に対する見取り図です。
上手く使えば、世界の初歩的な攻略本ともなるものです。
随時直して最新版にすることで、何がやってきても太刀打ちできるようにできます。少なくとも、心構え程度のことはできるようになります。
それは途方も無い安心自信をもたらします。人生で出来ないことがかなり減る。というのは、それほど大きなことなのです。

続きは、また次回。乞うご期待。

(続く)

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