優しいね、いい人だね、って口から出てしまう度に優しいとかいい人とか、何を持ってそう言うんだろうと思う。自分にとってその人が都合がいいみたいで、なんか嫌なのに。嫌なのに、私は誰かにとって、それも大好きな人には特に、優しい いい人だと思われたがっている。それは正しいこと、なのかな。 苦手なものや人や場所が、好きな人ひとり隣に居るだけで思い出になる。私は確かに、こうして夏を越えてきたよなと思い出す。思い出にしかならなかったあの人やあの人やあの人は、元気でいるだろうか。もう交わるこ
毎日誰かのことを考える。空回る前に相談をするし、破裂する前にとりあえず泣きつくことを覚えた。誰かに頼られるようになるには、まず自分が頼れって3月のライオンで言ってたから。 夏のこの茹だるような暑さじゃ、まともに考えられるはずのことも考えられなくなる。呼吸が浅いと視界も浅くなる、深く息を吸うにはとりあえず涼まなきゃね。 話をする。怖いとかむかつくとか、全部引っ提げて、素直な心持ちで。あなたのことが好きだよ、を大前提に、膝と膝をくっつけて話をする。話をする。あなたと話をする。
いつまで経っても好きになれない自分のこと。 憧れの継ぎ接ぎを「私らしい」と言うのは、賛否両論じゃないかと思う。だれかになりたい、なにかになりたい、あの人になりたい。もう既に私は、だれかのなにかになっているのにね。 考えすぎて、ひとりで落っこちて出られなくなる夜がある。こんなことされたの!悲しい!むかつく!をひとしきり暴れさせたあとは決まって、許せない自分が嫌いになる。悪意を持ってしてのそれならまだしも、そんなつもりじゃないんだろうを浮かべてしまうから、結局自分を責めてしま
行ってらっしゃい、に「気をつけてね」を付ける。本人すら自覚していない深い所に注意力を与えることで、事故率が下がるらしい。 お別れには「またね」と言う。また会おうねの約束として。また会う日のために生きていけるように。 夜のお別れには「おやすみ」を。あなたが何にも囚われず、すこやかに眠れるように。 好きだよ、と言う。あなたをひとりにしないため、私にとってのあなたがどれほどの存在か伝えるため。 毎日あなたにおまじないをかける。魔法じゃない、これは呪い。こびりついて離れない、
毎年、夏の時期に思い出す人がいる。人生最後の片思いをした人のこと。もう連絡先も知らない、きっとこの先も交わらない人のこと。未練なんて無いし、結婚したし、そういうのじゃなくて。あー、好きだったなあ、と浮かべる。結果論でしかないけど、好きって言えばよかった、かもと思う。彼が好きだったバンドはかわらず好きだし、俺この曲が1番好きなんだよね と教えてくれた曲には彼がこびりついているし、その度に己の女々しさを知る。好きだった、ただそれだけ。そこで終わり、それでいい、それがいいの。 だ
置いていかないよ、ひとりにしないよ、を何回貰っても信じられなかった。命あるもの、いつ死んでしまうかわからないのにどうして「ずっと一緒」なんて言えるのか分からないでいた。それと同時に、だからこそ「ずっと一緒」って言ってくれるのがたまらなく嬉しかったの。 旦那も、友達も、大事な人みんなみんな、このままがいい。ごはんを食べて、遊んで、眠って、起きたらまた今日がするりと始まっていく毎日がいい。特別嬉しいことなんていらなくて、ただ、雲を見て季節を感じるような日々でいい。夕方の街に晩御
ずーっとそう。 誰と居ても、心の深い深い所にある寂しさは埋まらない。どんなに楽しくても、どんなに愛しくても、結婚しても。親に愛されなかった子の呪いは一生解けない。人一倍寂しがりなのは、この呪いのせい。 許してもいい、と許せない、が交互に来る日々。私がいなくなってからあの人は変わったそうだけど、また信じてまたやっぱだめでしたを体感するのはもう嫌なの。 許してしまったら、過去の私を置いていってしまうんじゃないかとさえ思う。己でさえ計り知れない痛みを、こんな簡単に許してしまって
絶対に、どう考えても守らなきゃいけないものが目の前に現れた時、迷い無く手を握れた。多方面のしがらみも、どうでもよかった。ここであの子の手を握ることが出来ていなかったら、私は過去の私までも再度傷つけてしまっていたんだろな。 私が色んな人から教わったことを、好きな人達に繋いでく。寂しい夜には寂しいと言っていいこと、頼ることは甘えではないこと、叱るのと怒るのとは違うこと、ここにいていいこと。 歳だけ大人になっていく中で気づいた。さみしく震える心が見えるようになって、おいでって言
3日間くらい、うまく眠れずにいた。目を閉じればすぐさま闇が回りだして、よからぬことばかりを浮かべてしまっていたから。瞼が決壊して涙が滲む時、私は私が思っていたより悲しかったのだと気づく。血を見て痛みが増すように。 でもふしぎなの。つらいことには変わりないけど、沈んでおしまいじゃなかった。腫らした目で最後に見えたのは、あなただったよ。 きっとこれからの日々は、第3章目になる。1章目で、生きてるのか死んでるのかも分からないほどの迷いの道を進んだ。2章目で、やっと人を本当の意味
こんな時、誰をどれを優先すればいいのか分からないけれど、何よりも自分の心が壊れないようにするのは間違いじゃないと思う。耐えられなかったことへの不甲斐なさ、向き合い続けられなかったことへの情けなさは掘り出せばきりがない。誰のことも責めたくなくて、傷つけたくなくて、だから言葉が何も出てこなくて。感情のままに言葉を発しても、何もいいことないし。けど言われっぱなしでむかつかないわけないし、悲しくないわけないし、言いたくなることは星の数ほどある。言葉が生まれて埋もれていく時、どうしたっ
夏が始まる前に、私はここを離れる。 長くて短い目まぐるしい日々はもうすぐ終わる。 行く末も知らずに。 初夏のおはなし。 悲観しがちな私に、あなたは間違ってないと 言ってくれる人達がいなかったら。 きっと今頃ひとりで自滅してたろうな。 ありがとうあの時は、って言える日が来るかな。 愛したこと、憎んだこと、忘れないでいよう。 望むなら、きっとどこかでまた繋がるだろうし。 悪い話にはしたくないし、しないよ。 嫉妬も嫌悪も寂しさも一旦置いていくから。 でもね、きっと、寂しかっ
夜の海は空と海の境界線がほとんど見えない。 浮いているような、死んでいるような感覚になる。 意識をしっかり保たなければ、そのまま潮になってしまうんじゃないかとさえ思うほど。 底無しの寂しさは奈落そのもの。 今もきっとその穴で落ち続けている。 誕生日をスケジュールに入れる。 会いたくなって連絡する。 会えない日々がつらくて泣いてしまう。 好きだと言っていたものに興味を持つ。 毎日でも会いたい。 これが恋の定義と同じなら、毎日誰かへの 恋心を募らせていることになる。 友達に
体の中がすっと冷えて、次の瞬間かっと熱くなる。これは、私の中でよくない感情が昂った時に起こる。焦りとか、怒りとか、悲しみ、とか。最近はこれを感じることが増えた。落ち着け落ち着けと深く息を吸っても何の効果も無くて、むしろ拍車がかかってしまう。ここ1年2年は緩やかになったけれども、これはたしかに、発作の前触れ。視界がざわざわとフェードアウトしていく、息が浅くなって吸えなくなって、心音が早鐘のようにうるさくなる。慣れることなんて無い、治ることも無いから、せめて自分で出来るのは感情の
近しい人の輪郭が思い出せなくなる時が恐ろしくて、ぎゅっと目を閉じる。黒目の真ん中を泳いで、泳いで、泳いで、それでも思い出せない。目を開けるより少し前に目尻が濡れる。そんなことがもう、無ければいいのにね。 だいすきって言ったらだいすきが返ってくる。会いたいって言ったら会いたいが返ってくる、あわよくば会ってくれる。こんな人たちと紡ぐ生活が、どっかなんか寂しいのは、己の影が私をずっと見つめているから。 「またそうやって大切に想いすぎたら、煙たがられてお終いでしょう。」 ばかじ