麻痺

いつまで経っても好きになれない自分のこと。

憧れの継ぎ接ぎを「私らしい」と言うのは、賛否両論じゃないかと思う。だれかになりたい、なにかになりたい、あの人になりたい。もう既に私は、だれかのなにかになっているのにね。

考えすぎて、ひとりで落っこちて出られなくなる夜がある。こんなことされたの!悲しい!むかつく!をひとしきり暴れさせたあとは決まって、許せない自分が嫌いになる。悪意を持ってしてのそれならまだしも、そんなつもりじゃないんだろうを浮かべてしまうから、結局自分を責めてしまう。それもきっと、必要以上に。思考に絡まる度に、こんな敏感でいたくなかった、と自分が自分を許せなくなっていく。誰かを嫌いたくなくて、嫌われたくなくて、自分のことを嫌っている。

けど。敏感な私だったから、あの人の小さな曇りに気がつけたんだろな。目の動き、指の動きや声色で、この人は何かあったなと分かる自分だったから握れた手があって、掴めた今だったんだと思うの。

いつまで経っても好きになれない自分のこと。そんな私を好いてくれたあなたがいるから、ちょっとだけ好きかもと錯覚して麻痺していられるよ。あなたが好きだよと笑うのが好きだから、私は私でいられるのかなあと、今日気がついた。そうやってこれからも好きでいさせて、あなたのこと、私のこと。

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