途中で美鈴・フラン・こあ・ここあも合流し、保管庫へと続く階段前に辿り着く。ちなみにここの階段は少し特殊で二階から地下一階まで一気に続いており一階から入れるところはない。そのため階段そのものが長く、灯りの類もないために下は暗闇で何も見えないが「何か」がいる事は全員理解できた。 「何これ…怖い…」 「パチュリー様、これは一体…」 こあとここあが震え上がっている。彼女らも他の面々と比べると戦闘力は低いが、人間から見れば化け物レベルの能力を持っている。それでもこの先から
まずは仕掛けた張本人であるパチュリーが異変に気づき、その後電撃を受けて出た彼女の悲鳴によって他のメンバーも異変に気付く。 「パチェ! あの悲鳴は!?」 「それもだけど、私の保管庫の封印が上手く機能してないの」 長く、赤い絨毯が敷かれた廊下で二人がかち合う。お互いに向かう方向は同じで並走しつつ情報交換を行う。 「保管庫ってパチェの研究アイテムがあるあそこ?」 「ええ。そして犯人は罠に引っかかったかして私の電撃を受けたみたい。流石に生死までは分からないけど」
レミリアの血を目前にした咲夜だが霊力が限界だった。 (あと数秒だけ保って!) 乱暴に試験官を手に取り、木製のコルクを外す。普通の血液は鉄の匂いがするが、吸血鬼の血液はバラの香りなのが特徴だ。 (お嬢様、咲夜は必ず乗り越えてみせます!) 決意を込め、彼女の血を飲んだ。だがそれと同時に魔力が底をつき、足元からパチュリーの魔力を伴った電撃となって襲ってきた。 「ぎゃああああああああああーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!」 自然界のものとはまた違った構
時を戻そう。それは魔理沙が咲夜にこのことを伝えたところまで。 「お嬢様の血?」 「そう、吸血鬼は相手の血を吸うとその人間を眷属化できるって言われてるが実は違う。実際はあの犬歯の先から自分の血を相手の体内に流し込み、内部で血液を書き換えてるんだ。血を吸うのはついでだったり食事だったりが多いぜ」 「なら、その血を飲むことができれば私も吸血鬼になれるの?」 「なれる。が、そのままじゃまず無理だ。実は片方の犬歯からは血液を流し込んてるが、もう片方からは暴走を抑えるための鎮静
手に能力を展開し、ドアに触れる。少し力を入れるとドアが動き出し、そしてその周りにあったパチュリーの魔法は止まったままになっている。成功だ。 (よし、このまま一気に…って何よこれ) 想定外な出来事が起き、彼女の顔が曇る。ドアにあった魔法が床にも展開されているのだ。いや、床だけではなく部屋全体、しかも保管されているアイテム全てに展開されている。ドアだけだと思っていた魔法はずっと広く展開されていた。 (悔しいが流石パチュリー様というところね。でも、私ももう引けないのです!)
その夜。咲夜は日課の館内見回りを行っていた。だがいつもとルートが異なる。 魔理沙が教えてくれた方法は至極簡単なことだった。問題はそれを入手する方法だ。 (ここを抜けるとなると、アレしかないか) 彼女が意を決して立ったのは地下にあるとあるドアの前。鉄製で悪魔の顔があちらこちらに彫られていて実に気味が悪い。やや重たいが女性一人でも開けれないものではない。問題は加えて付けられているセキュリティーだ。 (流石にパチュリー様の魔力ね。ドアに触る前に気付かれそう)
「おーい、咲夜ー」 「魔理沙?」 「いやー追いつけてよかったぜ」 「どうしたの?」 「お前にイイ話を持ってきたんだ」 今度は魔理沙の家に招かれ、人避けの魔法を辺りにかけた後、第一声に謝罪された。 「スマン。偶然とはいえさっきのお前らの話を聞いちまった」 「…魔理沙」 「分かってる。他言無用だろ? て、アタシは別にそれについて謝りたかった訳じゃない」 「じゃあ一体」 「イイ話を持ってきたって言ったろ? そう、不老不死…かどうかは分からないが寿命を格段に伸ば
「アンタだって知ってるでしょ。不老不死になる方法は数あれど、ノーリターンなものは一つも存在しないのを。そんなホイホイと無責任に教えられないわよ」 「だが吸血鬼ならあいつの周りにいるじゃねえか」 「咲夜の話も聞いてたでしょ。他言無用だって。彼女の今の気持ちを知ってる人は紅魔館にはいないの。そしてそれを彼女は願ってるのよ」 「矛盾してるじゃねえか。それにレミィなら咲夜の変化に直ぐに気付くさ。結局何も隠せないんだよ。それならいっその事、博打に出るのも悪くないぜ」 「アンタ
「現実はいつも厳しいわね」 「何言ってんだよ」 「うわっ!? 魔理沙!」 空から声とともに魔理沙が箒に乗って降りてきた。 「突然出てこないでよ」 「何が突然だ。お茶しようって時間まで指定してきたのはお前じゃないか」 「あ」 人里での咲夜の一件で完全に魔理沙との約束を忘れていた。魔理沙の手には少し冷めてしまったアップルパイが載っている。 「せっかくおやつまで作ってきたのに」 「ご、ごめんなさい。今から準備を…」 「それはまた日を改めよう
「どういうこと?」 「捨虫・捨食の魔法は莫大な魔力を使用するの。それは魔力だけに反応する魔法だから魔力を持たない人では意味がないの。しかも貴女が時止めに使うのは霊力だからそもそも捨虫・捨食に貴女が対応してないことになる」 「どうしても?」 「使ったところで魔法に飲まれて何もできずに死ぬわ」 「…そう」 きつく握られていた拳がフッと解け、咲夜はしばらく床を見つめていた。いや、見てはいるが脳内で処理できているかは微妙なところだ。 アリスに罪悪感が付きまとう。だが自身
(でもどうすれば…ん? あれは…) 目の前から来るのはアリスだった。どうやら人形劇の帰りのようで隣には上海もいる。 「あら咲夜、こんにちは」 目が合い、向こうから声をかけてきてくれた。彼女は今しかないとアリスの肩を掴んでこう言った。 「相談したいことがあるの」そこにいつもの咲夜の瀟洒な表情は無かった。 十数分後、二人はアリスの家にいた。 「どうぞ。まずは飲んで落ち着いて」 「ありがとう、ごめんなさい」 「どっちよ」 出してもらった紅茶を頂く。香りからして
「…はぁ」 今日700回目のため息をつきながら夕食の買い出しに向かう。ちなみに空は飛べるが基本は愛車のツヅキ SWN-1(にとり製作)で人里まで降りていく。燃料は太陽光で、基本的にガス欠はない。またメーターは何故か300km/hまであるが、流石に出したことはない。 道中も考えることというか思い出すことは一つ。レミリアとの『合体』だ。長年抱いていた願いがようやく叶った。しかも形だけだったが両者ともに身籠った。経験としては自身の一生の中でも最上級のイベントだろう。そして彼女
第一作でもチラッと書いたが(まだだったら是非読んでね)、咲夜は特殊な鎖と猿ぐつわによって拘束されていた。それは股間の影響によってレミリアとの性行為を達成させ、その反動で性のタガが外れたからである。事を成した後も暴走は続き、今尚悶ている。誰もが使い物にはならないと考える中、レミリアは違った。 「咲夜」 レミィが部屋に入るや否や、彼女の興奮は限界を遥かに超えて振り切れた。しかしそこはパチュリー印の魔法を絡めた鎖のお陰で千切れない。 「おぼーさま!」 「まずはそれを外しま
ここで少し時を戻そう(CV.松陰寺太勇)。2ヶ月前、股間がみんなの腹の中で溜まったエネルギーを回収した直後の紅魔館である。 「レミィ!」 パチュリーがレミリアの部屋に飛び込む。彼女のお腹もレミリアのお腹も同様に元の姿に戻っていた。 「ええ、何かが動き出したみたいね」 お腹からそれぞれのエネルギーが抜けるように飛び出し、みんな同じ方向に飛んでいった。その先にあるのは博麗神社だ。 「ここ以外からも似たような光が見えたわ。アレが異変の張本人が呼び寄せたものなら大変なこと
ここは幻想郷。オンゲキのイベントは正直ボッタクリだと思う。 人とは基本欲深い。例え無理難題な望みでも手に入れたくなるほどに。そこに愛情が入るなら尚更である。 ここは紅魔館。そこでは大勢のメイドが今日も忙しなく働いている。それを統括するのがPAD…ではなくメイド長の十六夜咲夜だ。いつもはハキハキしている彼女だが、ここ最近はうわの空であった。その理由は先日起こった股間による異変からだ。 「メイド長、この荷物はどちらに?」 「………あ、ええ。それは物置にお願い」 「え
お久しぶりです。作者です。今回もお読みいただきありがとうございます。変に感覚開いたり、逆に詰まったりとごめんなさい。でも今後もこんな感じでいくつもりです。 そういえば劇中に『アリスだったもの』の名前を出すのを忘れてました。 セリアと言います。アリスをローマ字書きしたときのアナグラムです。なお、アリスといえば神綺ですが、今のところ繋がりは何も考えていません。現時点でアリスを主体とした話も浮かんでこないので全くの未定です。 個人的な話としては、これを書いてる段階で自分