東方Project二次創作作品 家族になろうよ 8
「アンタだって知ってるでしょ。不老不死になる方法は数あれど、ノーリターンなものは一つも存在しないのを。そんなホイホイと無責任に教えられないわよ」
「だが吸血鬼ならあいつの周りにいるじゃねえか」
「咲夜の話も聞いてたでしょ。他言無用だって。彼女の今の気持ちを知ってる人は紅魔館にはいないの。そしてそれを彼女は願ってるのよ」
「矛盾してるじゃねえか。それにレミィなら咲夜の変化に直ぐに気付くさ。結局何も隠せないんだよ。それならいっその事、博打に出るのも悪くないぜ」
「アンタ、まさか…」
「そう、そのまさかだぜ!」
アップルパイをアリスに託し、彼女は空を駆けていく。
「…アンタの考えてることは分かるわ。でもそれは無茶よ」
そう分かっていながら、アリスは魔理沙を追わなかった。無茶だと分かっていても、咲夜が幸せになれるのならと、藁にすがってみることにした。
今、咲夜の足取りは人生の中で最も重くなっていた。帰って夕食の準備をしなければならないという使命感は変わらないが、気持ちがそこまで進まない。そのためバイクを少し走らせては停まり、少し走らせては停まるを繰り返していた。
レミリアとの約束を破る…あってはならない事だ。だが、心の内ではそれすらも破る覚悟はできている。例え見放されても、貶されても、殺されても。とはいえ、気持ちはあっても手段がない。
もはやため息すらつけなくなった彼女の背後から、彼女の名前を呼ぶ声が聞こえた。
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