東方Project二次創作作品 家族になろうよ 11

 手に能力を展開し、ドアに触れる。少し力を入れるとドアが動き出し、そしてその周りにあったパチュリーの魔法は止まったままになっている。成功だ。
 (よし、このまま一気に…って何よこれ)
 想定外な出来事が起き、彼女の顔が曇る。ドアにあった魔法が床にも展開されているのだ。いや、床だけではなく部屋全体、しかも保管されているアイテム全てに展開されている。ドアだけだと思っていた魔法はずっと広く展開されていた。
 (悔しいが流石パチュリー様というところね。でも、私ももう引けないのです!)
 咲夜が「ふん!」と力み【時の流れを止める程度の能力】を全身に張り巡らせる。これでどこが触れても平気だが、まだまだ慣れてない能力のためにとにかく燃費が悪く、本人の体感でも使えてあと30秒といったところだ。
 (最初で最後! 気張りなさい! 私!)
 彼女が猛然と走り出す。この部屋は長方形の形をしていて目的の物は一番奥、約25m先にある。魔法使いなら喉から手が出るほど欲しくなる希少なアイテムには目もくれず、目的の場所に立つ。そこにあるのは白い小さな冷蔵庫。開けると中には赤い液体が入った試験管が一つ。
 「これがお嬢様の血…」

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