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「カティンの森のヤニナ」 小林 文乃著

読んでいて、「戦慄を覚える」という言葉がズシンと伸し掛った。

こんなにも恐怖を覚えることがあっただろうか。始終活字を追うのが怖くなった。



「国を失う」ということがどういうことか、母国語を禁じされる…100年も。
いままでの日常も消失する…戦争という暴力が国家を潰し、支配されるということが…過去の出来事であろうが…先の未来ということに絶対に再び起こらないという確証もない。


日本は戦後77年…そう考えると奇跡に近いのではないか。
勿論、自分の知らないところで、外交をし、国家の防衛力、スクランブル発進…年間200回以上も領空侵犯されても…“ミサイル”とみられる日本の排他的経済水域内に落下を年間何度もされても「戦争を“起こさせない”政治」を、国家を保っていることに畏怖すら感じた。すばらしい国家ではないか。


自分の国家が「なくなる」ということは、自分のアイデンティティーすら失いかねないのに、ポーランドの国民達はどんな残酷な環境下でも自我を失うことなく、消失することなく…なんという国家。
勿論日本は島国…陸続きの国とは環境も違うのだが。

この本に出会い、ショパンのあの奏でる譜面に気迫すら感じる。
ピアノのあの鍵盤ですらポーランド国民の熱量を感じる。


…震えた。


この本に出会うまでの自分にはもう戻れない。


自分の人生に深く切り刻まれた。

歴史を知るということは自分の人生すらも歴史にいて今もなお動いている、
普遍的でなく流動的、そして突如として起こる変革という名の暴力でもある、歴史とはそういうことなのだ。



いかに国家の安定が国民の平和を守っているかということが、「当たり前」でないことに。


日本の国防、外交、国家予算…政治の全てが国民の安定を保っているということに新ためて感慨深く感じる。

小林氏の言葉は、読んだ刹那、自分がいかに表現したかった感情を揺るぎなく的確に表現されている活字を読むことができる作家である。



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