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rakugaki_60「美術館へ行こう!【京都編】京都国立近代美術館」


京都国立近代美術館

私には「美術鑑賞」という唯一の趣味があります。
その「趣味」にもブームがありまして、第一次ブームが1985年~1987年。
第二次ブームが2009年~2018年。
第一次ブームの1987年から第二次ブームがはじまる2009年まで20年以上の月日が経っていますが、その間にも何回かは美術観賞をしています。
ただ「ブーム」の期間は、集中的に「美術館」に出かけているので「ブーム」なんですね。
このブログでは、私の大好きな「美術館」に出かけて、観賞した「美術展」の感想とともに、「美術館」の魅力が一緒に伝えられればなぁと思っています。

「京都国立近代美術館」は京都市左京区岡崎にある岡崎公園内に、独立行政国立美術館として1963年に開設されました。現在の建物(新館)は1986年に竣工されたものです。
私の現存する記録の中で、現在まで「京都国立近代美術館」の企画展に出かけたのは7回です。
これは今まで鑑賞してきた「京都国立近代美術館」の感想ブログとなります。


1)1987年2/7-3/22「光と影の画家ーレンブラント 巨匠とその周辺」

光と影の画家ーレンブラント 巨匠とその周辺

本美術展は横浜展 そごう美術館、福岡展 福岡市美術館を巡回してきたものです。

レンブラントは一般にも“光と影の画家”として広く知られていますが、後期には「聖書」をテーマにした多くの作品が見られ、その作風は人間心理の深奥を究めたものと言われています。
本展はこの「聖書」をテーマにした作品を中心に、レンブラントの油彩、素描、版画と弟子たちの油彩、合わせて88点を集め、宗教画を通じて人間の精神を表現したレンブラント芸術を展観するものです。

こちらの美術展、随分前のものなので記憶には残っていないのですが、幸いにも図録を購入していましたので久し振りに見直してみました。
目玉作品はなく地味ではありますが、図録の表紙にも飾られている「巡礼の杖をもったキリスト」など、後期レンブラントの老練な作風がなかなか見応えがありました。


2)2011年3/12-5/15「パウル・クレー展 終わらないアトリエ」

パウル・クレー展 終わらないアトリエ

みなさん、抽象的な絵画はお好きでしょうか?
私はずっと苦手でした
ただ最近は、デザイン的であったり綺麗な配色だったりするものは大丈夫だったりします。
なので食わず嫌いをせずに、観に行くことにしました

パウル・クレーはスイスの画家です。
1879年に生まれ、1940年に亡くなられています。
今回の美術展ではベルンのパウル・クレー・センターが所蔵する作品を中心に、日本初公開の作品が数多く含まれた約180点で開催されます。

クレーは生涯に5つのアトリエを構えました。
クレーは制作プロセスを、アトリエ写真という形で記録に留めています。
作品と同時にこの美術展では、クレーが如何に作品を作り上げたかにも迫っています。
あと、アトリエを再現したブースもありました(外観だけですが)。

久し振りのクレーの絵は、やはりよく分からなかったですが、面白味があったり色彩が綺麗だなぁと感じました。
閉館1時間前に飛び込んだので、作品数が多いこの美術展を1時間2周して観終わりました。
この美術展は、京都国立近代美術館では5月15日に終了し、5月31日から東京国立近代美術館で開催されるようです。


3)2014年9/13-11/16「ホイッスラー展」

ホイッスラー展

昨日は秋空、いい天気でした。
wellcome秋ということで美術鑑賞に出かけました。

本展は、アメリカ・イギリス・フランスから、ホイッスラーの油彩画・水彩画そして版画の代表作約130点を集めて開催される、国内では約30年ぶりとなる大回顧展だそうです。

京都国立近代美術館です。

ジェームズ・マクニール・ホイッスラーは、パリの印象派の画家たちと交流をもちつつロンドンを拠点に活躍した、19世紀後半を代表する画家・版画家です。
また、ジャポニスムの先駆的芸術家としても知られているそうです。
ホイッスラーは、当時主流であった歴史や教訓を伝達するメディアとしての絵画を否定し、絵画そのものの表現力、つまり絵画における純粋な視覚的効果を追求したそうです。
第一章の人物画、第二章の風景画では、パリ時代にギュスターヴ・クールベの作品と出会うことでレアリスム(写実主義)から出発したホイッスラーが、唯美主義の画家として独自のスタイルを確立していくさまが、そして第三章で、画風展開における最も重要な契機であるジャポニスムの影響が観てとれるそうです。

いや、ホイッスラーを舐めておりました。
ほとんど知らない方だったので、どんなもんじゃらほいぐらいで鑑賞したのですが、想定より良かったです。

いい!いいっすよ!

リアルな人物画の「ライム・リジスの小さなバラ」も良いし、ぼやけた風景画の「ノクターン:青と金色-オールド・バターシー・ブリッジ」も良い。
割とこの方器用で、いろんな手法で描きわけられるんだろうなと思いました。
それだけ、絵画の確かな技術というか。
かなりのダンディな方だったみたいで、ずっと浮き名を流されていて、確か54歳になってから初めて結婚したとのこと。
奥様は同じ絵画志向の方で、仲が良いおしどり夫婦だったみたいです。
奥様が病床で伏せっている「バルコニーの傍で」は、淡々としたリトグラフながらグッとくるものがありました。

音声ガイドはリリー・フランキーさん。
落ち着いた声質で、とても聞きやすかったです。

本展は11月16日まで開催した後、12月6日より横浜美術館に巡回されるそうです。


4)2016年9/27-12/4「メアリー・カサット展」

メアリー・カサット展

めっきり寒くなりましたよね。
インナーも長袖のヒートテックを引っ張り出し、完全に衣替えをしました
葉っぱもちらほら紅葉が見られ、短い秋を感じ取れます。
朝晩は冷え込みますが、今日は日中はまだ暖かかったです。
美術鑑賞日和ということで、秋の京都に出かけました。

この美術展は今年の9月11日まで横浜美術館で開催したものが巡回してきたものです。
京都国立近代美術館です。

印象派を代表する米国人女性画家、メアリー・カサットの回顧展は35年ぶりの日本での開催だそうです。
古典絵画の研究から出発し、新しい絵画表現を模索するなかでエドガー・ドガと出会い、印象派展に参加するようになったそうです。
本展では、カサットの油彩画やパステル画、版画の代表作に加え、エドガー・ドガ、ベルト・モリゾなど交流のあった画家たちの作品、画家が愛した日本の浮世絵版画や屏風絵なども併せて合計約100点を展観し、初期から晩年にいたる画業の全貌を紹介するものだそうです。

メアリー・カサットの絵、女流画家らしいのか母子を描いた絵が多かったです。
一生涯独身で過ごしたメアリー・カサットですが、母性を感じさせる絵に生涯を通して取り組んだみたいです。
母子の絵では「母の愛撫」なんて微笑ましい感じでした。
あと「夏の日」は、ボートに乗っている母子の絵なのですが、荒いタッチの中にもきらめく夏の湖でのひとときが表現されていて、素敵な絵だと思いました。

メアリー・カサット以外ですと、やはりベルト・モリゾの絵は明るくカラフルで、女性らしい繊細さを感じられて好感が持てました。


5)2018年1/20-3/4「ゴッホ展 巡りゆく日本の夢」

ゴッホ展 巡りゆく日本の夢

昨日は節分。
多くの家庭で豆まきをしたり、恵方巻きを食べたりしたのでしょうか。
私も昨夜はカツ巻きの恵方巻きを、恵方の「南南東」を向いて黙々と丸かぶりしましたよ。
・・・と、節分の昨日、美術鑑賞に出かけました。

この美術展は北海道立美術館から東京都美術館を経て巡回してきたものです。
京都国立近代美術館です。

今回の美術展は、日本人にお馴染みのゴッホ。
「日本」に焦点をあてたゴッホ展となっていました。
ゴッホは浮世絵をはじめとする日本の美術作品を咀嚼しながら、独自の構図や色彩表現を築いていったそうです。
本展は、ゴッホ作品約40点と浮世絵などを紹介し、ゴッホと日本との相互の関係にスポットをあてるものとなっているものです。

ゴッホ作品に関しては、「種まく人」や「カフェ ルタンブーランに座る女」や「寝室」など、今までに見てきた毎度お馴染みのゴッホ作品が多かったのですが、歌川広重や葛飾北斎や歌川国貞の浮世絵との共演は楽しいものでした。

再現した原寸大の「寝室」

また、日本人作家によるゴッホ作品「寝室」の、原寸大での立体による寝室の再現(アレンジ有り)も面白かったです。


6)2018年8/29-10/8「生誕110年 東山魁夷展」

生誕110年 東山魁夷展

本当は先週に観に行こうと思っていたのですが、台風24号が週末の日本に上陸。
で、今週こそと思っていたら台風25号が!?
もう10月なのに台風どんだけーって感じですよね。
心配していた台風ですが、昨日は雨降りでしたが今日は晴れたので出かけることにしました。
ってか、夏日みたいに暑いんですけど。
明日終了するというギリギリのタイミングでの観賞となりました。

京都国立近代美術館です。

本展は生誕110年を記念し、戦後の日本を代表する国民的画家と謳われた東山魁夷の画業を代表作でたどるとともに、東山芸術の記念碑的大作「唐招提寺御影堂障壁画」が特別出品されるそうです。
東京では10年ぶり、京都では30年ぶりに開催される本格的な回顧展とななっているそうですよ。

もうずっと洋画中心に観賞してきていて、自分には日本画の耐性がないのではと思っていました。
それが7月に観に行った新版画展が、思った以上にめっちゃツボにはまったことと、同じようにハンドビラに描かれている美しい風景に惹かれてまた観賞に出かけることにしました。

いや~、素晴らしかったです!

何がって、日本画ってついつい古臭いイメージが浮かんでくるのですが、もう全然新しい!モダン!
ただただ美しい風景が広がっています。
ぼやけた遠景も美しいですし、木と月を主役にしたマグリットのような幻想的な風景も美しい。
圧巻だったのは、やはり「唐招提寺御影堂障壁画」です。
奈良にある江戸時代に建てられた「御影堂」という重要文化財は、2015年から改修に取り掛かっており2022年にならないと拝観できないらしいです。
この世界観を美術館の中で見事に再現していました。
障子だけではなく障子を囲う欄間や畳まで再現し、東山魁夷の創造した世界観が伝わってきます。
いや、まるで壮大な山や海の中に漂っている気持ちになりました。

明日で終了ということもあり、人混みも結構なものでした。
いや東京展は結構大変かも。
この美術展はこの後、国立新美術館に巡回予定です。


7)2018年10/19-12/16「没後50年 藤田嗣治展」

没後50年 藤田嗣治展

気がつけば12月。
めっきり寒くなって、もう冬なんですね。
ってか、もう今年も残り少し?
最近はちょっと色々と気力が湧かず、美術鑑賞にも出かけていませんでしたが、今月の16日には終了してしまうどうしても行きたい東京都美術館から巡回してきた美術展があったので、昨日は2ヶ月振りの美術鑑賞に出掛けました。

京都国立近代美術館です。

明治半ばの日本で生まれ、80年を超える人生の約半分をフランスで暮らし、晩年にはフランス国籍を取得して欧州の土となった画家・藤田嗣治(レオナール・フジタ)。
2018年は藤田が世を去って50年目にあたるそうです。
この節目の大回顧展である本展覧会は、「風景画」「肖像画」「裸婦」「宗教画」などのテーマを設けて、最新の研究成果も盛り込みながら、藤田芸術をとらえ直そうとする試みだそうです。

私の最も印象に残っている藤田の絵と言えば、乳白色の裸体の女性と猫。
藤田の絵と言えばその印象しかなかった私が、2013年9月にBunkamuraザ・ミュージアム「レオナール・フジタ ポーラ美術館コレクションを中心に」を鑑賞して一転しました。
多数の子供の絵があり、その中でも「つばめと子供」という絵がひねくれた感じでとても可愛らしく、滅茶苦茶気に入りました。
その後も戦争画とか、乳白色の裸体の女性以外の藤田の絵を新鮮な気持ちで鑑賞してきました。
で、今回の美術展は「フジタ、史上最大規模の大回顧展」という謳い文句。
もうこれは、どうしたって期待値MAXになるしかありません。

東京芸大時代のアカデミックな絵やキュビスムの絵、お馴染みの乳白色の裸婦の女性画や子供の絵、動物の擬人化した絵、戦争画、宗教画などてんこ盛り。
でもやはり、藤田と言えば乳白色の絵が一番だと思いました。
これはっ!という新鮮な発見は、残念ながら今回の美術展ではありませんでしたが、やはり目玉作品であるポンピドゥ・センター所蔵の「カフェ」は素敵でした。
絶対買うなと思っていた図録でしたが、今回は見送り「カフェ」の絵のクリアファイルを購入して帰路につきました。


以上、京都国立近代美術館は京都市京セラ美術館(旧 京都市美術館)と向かい合って建っていて立地としても便利な場所にあります。
お時間さえあれば、この二つの美術館をハシゴ美術鑑賞してもいいのではないでしょうか。

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