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rakugaki_39「美術館へ行こう!【東京編】Bunkamuraザ・ミュージアム(後編)」

Bunkamuraザ・ミュージアム

私の現存する記録の中で、現在まで「Bunkamuraザ・ミュージアム」の企画展に出かけたのは15回です。
これは今まで鑑賞してきた「Bunkamuraザ・ミュージアム」の感想ブログ(後編)となります。


9)2013年4/27-6/16「現代スペイン・リアリズムの巨匠 アントニオ・ロペス展」

現代スペイン・リアリズムの巨匠 アントニオ・ロペス展

アントニオ・ロペス。
この方、まだご存命です。
1936年生まれなので、今は86歳でしょうか。
※2013年時点です。

映像で拝見しましたが、とても精力的でお元気な印象を受けました。
スペイン現代美術を代表する、アントニオ・ロペスの日本初となる個展が今回の美術展となります。
初の日本での個展ということもあって、初期の美術学校時代から近年までに手がけた油彩、素描、彫刻の各ジャンルの代表作が紹介されています。
日本での初個展ということは、皆さんあまりご存知ないのでは?
私は知りませんでした。
なので、美術鑑賞時にほとんど使用してこなかった音声ガイドを今回は活用。
音声ガイドの何が嫌かって、自分のペースで観られないところにあったのですが、今回のは六点の作品にのみのガイドになっていて、ポイントでの説明が嬉しかったです。
因みに声は永作博美さん。
今日のスペイン美術を代表する作家アントニオ・ロペスは、その卓越した技術と観察力によってリアリズムを追求しながら独自の世界を描き出しています。
また、マルメロを描く作家自身の姿を撮った映画『マルメロの陽光』(監督:ビクトル・エリセ)は、日本でも公開され話題を呼びました。
ロペスは10年を経てもなお絵筆を入れるほど、制作期間の長い作家であり、そのため寡作家として知られています。

リアルな素描、リアルな風景、リアルな人体木彫。
ただリアルな訳ではなく、そこに独特のエッセンスのフィルターがかかっているように思われます。
10代から画壇にデビューしている天才ですが、20代頃の作品を観ると、ただリアルなのではなく、独自色を出そうとする苦労が伺えます。
上手く描け過ぎる故の悩みみたいな?
しかし素描も凄いですよね~。
「鉛筆なんだよな~、これ」って思いながら見惚れてしまいました。

今回は図録だけではなく、A4ファイルのグッズまで購入して家に帰りました。


10)2013年6/22-8/4「レオ・レオニ 絵本のしごと」

レオ・レオニ 絵本のしごと

可愛いねずみの絵に惹かれて行ってきました。
作者のレオ・レオニは、オランダ生まれ。
9歳からデッサンの基礎を学び始め、やがてグラフィック・デザイナーとして開花します。
第二次世界大戦中にユダヤ人であることから亡命を余儀なくされたレオニは、移住先のアメリカで、グラフィック・デザイナーとして活躍しながら、画家、彫刻家としても活動の幅を広げ、49歳の時に絵本の世界へと足を踏み入れました。
子供のための本作りは、亡くなるまでに40冊近くの絵本を生み出したそうです。
レオニの描く絵本では、小さな主人公たちが、「自分らしく生きること」をテーマとした心温まる物語が展開します。

本展はレオニの遺族とアメリカのエリック・カール絵本美術館から、絵本原画約100点とともに、幻想の植物群を描いた「平行植物」シリーズ、メキシコへの旅の体験を基に描いた「仮面」のシリーズなど、油彩や版画、彫刻約30点を出品し、4つのテーマにわけて、生誕100年を迎えたレオニの「絵本のしごと」を紹介しています。

とても楽しい絵本の絵の数々です。
カラフルで物語性があって、物語そのものを知らなくても引き込まれます。とにかく可愛い!とにかく繊細!
観終わった後、真っ先に図録を買い求めました。
これってめっちゃ得じゃない?
1冊の図録に、たくさんの絵本のエッセンスが閉じ込められているんですから。
あぁ、でもクリアファイルも3つも買ってしまいました。

クリアファイル

だって、どれもとても可愛いらしいんですから。
今宵は、この図録とともに過ごしたいと思います。


11)2013年8/10-10/14「ポーラ美術館コレクションを中心に レオナール・フジタ展」

ポーラ美術館コレクションを中心に レオナール・フジタ展

藤田嗣治ことレオナール・フジタ。
「レオナール」という名は、ルネサンスの巨匠レオナルド・ダ・ヴィンチのフランス語名にあやかってフジタ自身が1959年に命名した洗礼名らしいです。
ふ~ん、そういうことなんだ!
レオナルド・ダ・ヴィンチに憧れていたんですねぇ。
全く知りませんでした。

本展はフジタ作品の国内最大級のコレクションを有するポーラ美術館の収蔵作品約170点を中心に、国内の美術館や個人蔵によるフジタの「乳白色の肌」による油彩画や素描、フジタが最晩年に暮らしたフランス、エソンヌ県のメゾン=アトリエ・フジタに保管されているマケット(建築模型)や、アトリエで制作するフジタの姿を撮影した写真家、土門拳と阿部徹雄の写真など総数約200点を通して、フジタの人物像と多様な創作活動にあらためて焦点を当てるものです。

いや~、レオナール・フジタといえば乳白色の陶器のような裸婦や猫を描かれる画家としか知りませんでしたが、今回の美術展で認識がガラリと変わりました。
勿論その絵もあるのですが、可愛い子供たちの絵がたくさんあります。
その中でも一番気に入ったのは「つばめと子供」。
子供たち、総勢8人と犬1匹が土手にズラリと横に並んで座っています。
みんな独特の表情。
どの子も笑顔ではなく、何だか難し気でムスッとしています。
いや~、めちゃくちゃ可愛くて味わいがあります!
ポスターにもなっている「誕生日」も、11人の子供たちと大人1人でテーブルを囲んでいて、これまた笑顔がない(笑)
何だかみんな訳あり気で面白い!
誕生日にお呼ばれされなかったのか、窓から覗き込んでいる子供たちが6人います(笑)
かと思えば、擬人化した動物たちの絵もあります。
こんな絵本チックな絵を描かれる方だったんですね~。
最後の方には「小さな職人たち」のシリーズがあります。
これは本来大人の仕事を子供たちに置き換えて、いろんなパリの職人を描いているのですが、とってもユーモラス。
「ガラス職人」「左官」「仕立屋」「煙突掃除夫」など、実に95の仕事がユーモラスたっぷりに子供たちで描かれていて、とっても可愛いんです。
もう本当に絵本の世界みたい!

終戦直後に日本で理想のアトリエを夢見てドールハウスみたいなものも作られていて、とってもロマンチックな方だったのではないでしょうか。
もう、レオナール・フジタの印象が全く変わってしまいました。

大好きな画家が、また一人増えた美術鑑賞となりました。


12)2013年10/20-11/18「バルビゾンへの道 山寺 後藤 美術館コレクション展」

バルビゾンへの道 山寺 後藤 美術館コレクション展

山形県、山寺にある後藤美術館は、山形県出身の実業家 後藤季次郎氏が収集したバルビゾン派のコレクションを中核に、バロック期から19世紀後半に至る多岐にわたるヨーロッパ美術を収蔵する美術館らしいです。
山寺は日本でも有数の史跡名勝の地で、俳聖松尾芭蕉がその景観に感動して名句を詠んだことでも知られているそうです。
その豊かな自然と、文化を見事に融合させた同美術館は、ヨーロッパ絵画を中心に、ガレ、ドームのガラス工芸品、ロダンの彫刻など歴史に刻まれた貴重なコレクションを多数展示しているそうです。

う~ん、一度は訪れてみたい。
ま、山形にはそうそう行けそうもないので、取り敢えずBunkamuraザ・ミュージアムに、日曜日に行ってきました。

う~ん、ちょっと地味でしたね。
絵画自体はゴージャスで、貴族の絵みたいなんですが、何故か地味(笑)「物語画」「肖像画」「静物画」「風景画」と幅広くあるのですが、風景が苦手な私が、今回の美術展に関しては風景が一番良かったです。


13)2015年12/22-2016年3/6「リバプール国立美術館所蔵 英国の夢 ラファエル前派展」

リバプール国立美術館所蔵 英国の夢 ラファエル前派展

ラファエル前派って、過去にしょっちゅう観てきた憶えがあるのですが、意外や意外!
観に行った美術展の中で、タイトルに「ラファエル前派」が入っているのは、1987年に伊勢丹美術館で観た「バーン=ジョーンズと後期ラファエル前派展」と「ラファエル前派とオックスフォード」だけだと知って、ちょっとびっくらぽん!
ま、2011年に三菱一号館美術館で観た「物語の世界を描いた、英国絵画の巨匠。バーン=ジョーンズ展 ー装飾と象徴」みたいに、ラファエル前派というタイトルが入っていないだけで、実際は結構観ているのですが。
Bunkamuraザ・ミュージアムは2013年10月に観に行った「バルビゾンへの道 山寺 後藤 美術館コレクション展」以来、2年以上ご無沙汰していました。

リバプール国立美術館は、リバプール市内及び近郊の3美術館などの総称で、ラファエル前派の傑作を有する美術館として世界的に知られています。
本展では、リバプール国立美術館の所蔵品から、ラファエル前派及びその追随者の油彩・水彩など60数点を紹介し、近代における英国美術の「英国らしさ」を「英国の夢」をキーワードに浮き彫りにするものだそうです。

いや、この美術展、ラファエル前派って今までたくさん観てきたつもりですし、日頃の疲れもあって、もう観に行くのをやめてしまおうかとも思っていました。
天気も荒れると聞いていましたし。
で、今日になって天気は大丈夫。
う~ん、と悩んだ末に観に出掛けて来ました。

や、これは観に行って正解!
私、ラファエル前派はあまり得意じゃないと思い込んでいたのですが、これは神話神話していなくて楽しめました。
また、今までバーン=ジョーンズを中心にしたラファエル前派の美術展を観に行ったことが多かったのですが、今回はバーン=ジョーンズ抜きっていうのも何だか新鮮。
入っていきなり、ジョン・エヴァレット・ミレイのファンタジー映画の一コマを切り抜いたような絵にやられ、その後も、え?これラファエル前派?って絵にも出会えたりで、作品数こそ少ないのですが楽しめました。
いや、ラファエル前派を舐めていました。
割と幅広い括りだったんですねえ。
ウィリアム・ホルマン・ハントの「イタリア人の子ども(藁を編むトスカーナの少女)」なんて、神話でも何でもなく、単なる田舎の少女の絵ですから(笑)
観に行って良かったです。

久し振りに図録を購入して帰りました。


14)2016年8/9-10/11「ビアトリクス・ポター生誕150周年 ピーターラビット展」

ビアトリクス・ポター生誕150周年 ピーターラビット展

9月になりましたね。
まだまだ日中はセミの鳴き声も聞きますが、夜にはセミではなく鈴虫の音などが耳に入ってくると、そろそろ夏の終わり秋が訪れてきているのだなと実感します。
さあ、混雑が予想される夏休みの時期も過ぎましたし、そろそろうさぎの美術展に出掛けても良いかなと思い、美術館に出かけました。

昨年の12月以来のBunkamuraザ・ミュージアムです。
本展は「ピーターラビット」の作者、ビアトリクス・ポターの生誕150周年を記念した、国内最大規模の展覧会ということです。
ビアトリクス・ポターは1866年7月、ロンドンで生まれました。
幼少期から動物や植物のスケッチが大好きだったビアトリクスは、避暑地として家族と訪れた湖水地方の豊かな自然に出会い、生涯魅了され続けました。
彼女の自然への深い愛情とまなざしはピーターラビットシリーズの世界観に色濃く反映されています。
ビアトリクスは絵本作家として得た収入をもとに念願だった湖水地方に移り住み、自然保護活動の先駆者、農場経営者としても活躍しました。
本展は、英国ナショナル・トラストが所蔵する貴重な絵本の自筆原画やスケッチ、彼女の愛用品など200件以上の作品・資料が出品され、そのほとんどが日本初公開だそうです。

いや、ピーターラビットをなめとりました。
想像以上に混んでいました。
その8割は女性の方でしょうか。
作品がほぼ小さな水彩画のため、壁に沿って蟻のような行列ができています。
作品が小さいため、前列でないとちゃんと観ることができません。
取り敢えず空いているスペースを発見したら、すかさずそこの作品を観に行く作戦をとりました。
やはり小さな動物たちの世界、可愛らしいですね。
空いているスペースにすかさず潜り込む作戦を2周して、ざっくりですが鑑賞を終えました。

「ディーン・フジオカが訪ねるピーターラビットの世界」のDVD付き図録とクリアファイル

グッズ売場、やはり盛況ですね。
かくゆう私も買い込んでしまいましたが(笑)
音声ガイドは今、女性から圧倒的な支持を受けているディーン・フジオカさん。
ですが私は音声ガイドを使わなかったので、代わりと言ってはなんですが「ディーン・フジオカが訪ねるピーターラビットの世界」のDVD付き図録とクリアファイルを買ってしまいました。


15)2017年7/15-9/24「ベルギー 奇想の系譜展」

ベルギー 奇想の系譜展

Bunkamuraザ・ミュージアムで観た「ベルギー王立図書館所蔵ブリューゲルの版画の世界」が2010年7月で、今からもう11日年以上前となります。
奇妙な生き物たちの出会いにワクワクした思い出があります。

本展は15、6世紀を代表するボスやブリューゲルの流れをくむ作品から、象徴主義、シュルレアリスムの作家を経て、現代のヤン・ファーブルにいたるまで、約130点の作品を通して、500年にわたる「奇想」の系譜の存在を探るものだそうです。
この美術展は、宇都宮美術館、兵庫県立美術館を経て巡回してきたものです。
本当は兵庫県立美術館で鑑賞予定だったのですがタイミングが合わず、Bunkamuraザ・ミュージアムでの鑑賞となりました。

帰る頃には突然の雷雨!
どうにも最近は天候がすっきりしませんね。
雨の中、渋谷から帰路につきました。


以上、Bunkamuraザ・ミュージアムでの鑑賞となりましたが、この美術館は私の嗜好に合ったのか一番通った美術館でした。
渋谷という土地柄か美術館の敷居もそんなに高く感じず、美術に日頃縁遠い方でも入りやすいのではないでしょうか?
是非、ぶらりと休日にこちらの企画展を楽しまれてはいかがでしょうか。

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