ヒロ・マスダ / Hiro Masuda

合同会社Ichigo Ichie Films LLC 代表社員ヒロ・マスダの公式アカウ…

ヒロ・マスダ / Hiro Masuda

合同会社Ichigo Ichie Films LLC 代表社員ヒロ・マスダの公式アカウントです。 著書『日本の映画産業を殺すクールジャパンマネー 経産官僚の暴走と歪められる公文書管理』(光文社新書) 2020年5月19日発売 デジタル版 2020年5月29日発売

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『日本の映画産業を殺すクールジャパンマネー 経産官僚の暴走と歪められる公文書管理』2020年5月19日発売

初めての著書『日本の映画産業を殺すクールジャパンマネー 経産官僚の暴走と歪められる公文書管理』が光文社新書より発売になります。 紙書籍版:2020年5月19日、デジタル書籍版:2020年5月29日 目次: 第1章 株式会社ANEWと消えた22億円 22億2000万円を溶かした官製映画会社/「支援基準に適合」/ただ同然の身売り/即日で出された大臣意見 /2年間表に出なかった決裁文書/「御理解いただきたい」こと/偽りの答弁/真の「第一号案件」/グリーンライ ト/いかなる契

    • 経産省が違法な公文書不開示で隠した疑惑の50億円クールジャパンコンテンツファンド設置手続き

      覆った違法黒塗り開示先日、経産省による公文書の黒塗り開示の違法性について審査請求を行なっている情報公開・個人情報保護審査会から、経産省が処分を取り消す意見を出したとの通知を受けました。不開示決定をした原処分が取り消されるということは、今回の黒塗り開示が違法であったということを意味します。 審査請求の原因となった公文書本件の請求の原因となったのが、2018年の3月にクールジャパン機構が51.5億円の支援を決定したNerflixなどで海外展開を行う日本の映画やドラマの制作運転資

      • 経産省がひた隠す878億円新型コロナ緊急対策支援クールジャパン補助金の事務費

        コンテンツグローバル需要創出促進事業:J-LODLive 現在、新型コロナウィルス緊急対策支援のクールジャパン事業「J-LODLive」が開始されています。 この事業は、新型コロナウィルスの影響でライブイベント開催ができなくなった音楽、演劇関係法人の海外展開のプロモーション動画制作に係る経費を最大で50%、最高5000万円まで助成することを目的とした間接補助金事業になります。 経産省からこの補助金分配のための事務局事業を1週間公募、1件の応募を経て請け負っているのが特定非

        • 「持続化給付金」管理事務費と「経産省ルール」の矛盾

          補助事業の事務管理費上限10% ルール6月8日に、新型コロナウイルス感染拡大の影響で売上が半減した中小企業などを支援する「持続化給付金」事業について、経産省から事業を受託した一般社団法人サービスデザイン推進協議会と電通が会見を行いました。 この会見で事業の利益率を問われた電通の副社長は以下のように回答しました。 経済産業省のルールで管理費は10%か電通の一般管理費率の低い方で計上するようにと指導されている。我々の一般管理費率は10%を超えているので、今回はルールに則り10

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        『日本の映画産業を殺すクールジャパンマネー 経産官僚の暴走と歪められる公文書管理』2020年5月19日発売

          間接補助金制度ドメイン取得のタイミングについて

          幽霊法人に流れていた経産省「持続化給付金」との酷似点経産省が所管する新型コロナの影響を受けた事業者救済のための「持続化給付金」の管理事務業務が幽霊法人に委託されていたとのニュースを見ました。 このニュースには、『日本の映画産業を殺すクールジャパンマネー』で扱った平成24年度補正予算のクールジャパン海外展開補助金と酷似するように感じました。 国と補助事業者の関係この二つの補助金は「間接補助金」です。 「間接補助金」とは、補助を受ける事業者が経産省に直接補助金を申請するので

          間接補助金制度ドメイン取得のタイミングについて

          クールジャパン映画会社と経産省の嘘

          作られるはずもなかった映画『日本の映画産業を殺すクールジャパンマネー』では、経産省が主導的立場で設立し、産業革新機構(現 産業革新投資機構)からの22億2000万円の実投資をほぼ全損させた株式会社All Nippon Entertainment Works(ANEW)を追及しています。 本書が注目し、検証した一つにANEWの業務実績における経産省の嘘説明があります。 経産省は、ANEWの経営があたかも順調であるかのような答弁を国会や政府会議で繰り返していました。しかし、巨

          クールジャパン映画会社と経産省の嘘

          映画製作のコストの話

          映画企画開発に伴うコストの一般論『日本の映画産業を殺すクールジャパンマネー 経産官僚の暴走と歪められる公文書管理』では、官民ファンド産業革新機構による60億円の出資決定を受け、何ら正当な成果を示さずただ同然で身売りされた映画会社All Nippon Entertainment Works(ANEW)を扱っています。 ANEWが身売りされるまでの間に発表した作品は全部で7作品。しかし、これらの映画企画は実際に作られることなく、実投資22億2000万円をほぼ全損しました。 ハ

          映画製作のコストの話

          法律を歪め、口頭やりとりが支配するクールジャパン行政

          クールジャパン版の口頭決裁今、東京高検検事長の定年延長に関する法解釈変更をめぐる「口頭決裁」の説明が物議を醸しています。 実は、『日本の映画産業を殺すクールジャパン』で扱う官民ファンドを使ったクールジャパンにおいても、政府が官民ファンド設置の根拠法の解釈を歪め、口頭手続きが支配する行政というものが存在しています。 事件の背景 舞台は、経産省所管の官民ファンド産業革新機構(現 産業革新投資機構)が60億円の投資決定を行った映画会社All Nippon Entertainme

          法律を歪め、口頭やりとりが支配するクールジャパン行政

          カンヌ映画祭ってどんなところ?

          カンヌ映画祭2020年イベント中止を発表2020年5月11日に報道されたScreen Dailyのインタビューの中で、カンヌ映画祭ディレクターのティエリー・フレモー氏は、新型コロナウィルスの影響で延期が発表されていた第73回カンヌ映画祭について、今年は多くの人を会場に集めることが難しいことから映画祭の物理的イベントの実施を断念すると語っています。 公式上映作品にフランスでの劇場公開が義務化を課しているほど映画の映画館上映文化を尊重している映画祭の一つであるカンヌ映画祭ですが

          カンヌ映画祭ってどんなところ?

          公金22億円を溶かしたAll Nippon Entertainment Worksとは?

          『日本の映画産業を殺すクールジャパンマネー』 第1章 株式会社ANEWと消えた22億円 一部公開 『日本の映画産業を殺すクールジャパンマネー 経産官僚の暴走と歪められる公文書管理』がメインで扱う映画産業行政におけるクールジャパン問題は、やはり官製映画会社All Nippon Entertainment Works(ANEW)についてです。 「日本のIPを原作にハリウッド映画を作る」と意気込んだこの映画会社は、何ら正当な成果を示さずただ同然で身売りされ、公的資金出資の22億円

          公金22億円を溶かしたAll Nippon Entertainment Worksとは?

          クールジャパンと吉本興業

          はじめに『日本の映画産業を殺すクールジャパンマネー 経産官僚の暴走と歪められる公文書管理』では、官民ファンドが出資したAll Nippon Entertainment Worksという映画会社と、経産省のクールジャパン補助金のJ-LOPをメインに扱っている関係で、これからお話しします公的フィルムファンドへの追求は限定的な内容になっています。 ですのでここでは、そこで語りきれなかった「ジャパンコンテンツファクトリー」の問題について少し解説したい思います。 完成保証とつなぎ融

          クールジャパンと吉本興業

          『日本の映画産業を殺すクールジャパンマネー』 はじめに全文公開

          はじめにここ数年、「日本再生のカギ」「成長戦略の柱」などと叫ばれ、国を挙げてクールジャパンが 推進されてきました。映画、テレビ、アニメ、ゲームなどのクリエイティブ産業もクールジャ パンの具体例とされ、これまで1000億円以上に上る莫大な額の税金や、国の借金を原資とした財政投融資の公的資金が投じられています。 しかし、これらの「クールジャパンマネー」は1円たりとも、日本のクリエイティブを支える「人」に向けられることはありませんでした。 これはクールジャパンを批判することあ

          『日本の映画産業を殺すクールジャパンマネー』 はじめに全文公開

          Twitterでクールジャパン問題を議論し、広めていただいた方々へ

          私が『日本の映画産業を殺すクールジャパンマネー 経産官僚の暴走と歪められる公文書管理』のおわりにで感謝を申し上げたのは読者の皆様に次いで、Twitterでクールジャパンと、映画産業施策の問題点を議論し、広めていただいた方々です。 そして、私がこの問題について語ったツイッターの投稿を議論し、広めてくださった皆様に も感謝申し上げます。編集者の方は、私のツイッターの投稿を見たことが本書を企画するきっかけだったと話していました。つまり、皆様のクールジャパン問題への関心が、今回

          Twitterでクールジャパン問題を議論し、広めていただいた方々へ

          新型コロナ緊急対策支援の878億円クールジャパン事業で懸念される無駄遣いのカラクリ

          878億円の使い道と流用区分経産省が新型コロナ緊急対策予算に計上した「コンテンツグローバル需要創出促進事業」の878億円ですが、税金の無駄遣いに陥りやすい極めて危険な構造的問題を含んでいると考えます。 この補助事業には事業費の使われ方を規定した交付要綱が定められています。 経済産業省 令和2年度「コンテンツグローバル需要創出促進事業費補助金」交付要綱(案) このように、878億円の使い道は、民間事業者に配られる「事業費」と、基金管理を受託した映像産業振興機構への「業務管

          新型コロナ緊急対策支援の878億円クールジャパン事業で懸念される無駄遣いのカラクリ

          もしも新型コロナ緊急対策支援のクールジャパン878億円が映画、TV産業現場に向いた支援だったら?

          経産省の新型コロナ緊急対策はクリエイティブ産業現場の担い手を徹底無視する姿勢の表れ 経産省 令和2年度補正予算の事業概要https://www.meti.go.jp/main/yosan/yosan_fy2020/hosei/pdf/hosei_yosan_pr.pdf 経産省が新型コロナ緊急対策支援のために作った令和2年度補正予算の「コンテンツグローバル需要創出促進事業」の878億円ですが、この制度は文字通り1円たりとも日本のクリエイティブの作り手が今を生きるための支援

          もしも新型コロナ緊急対策支援のクールジャパン878億円が映画、TV産業現場に向いた支援だったら?

          新型コロナウィルス緊急対策クールジャパンをめぐる経産省と補助事業者との由々しき関係の過去

          新型コロナウィルス緊急対策支援で復活した878億円のクールジャパン助成金先日の投稿でもお伝えしたとおり、経産省は、新型コロナ緊急対策支援の令和2年度補正予算「コンテンツグローバル需要創出促進事業」に878億円の予算を計上しています。 この間接補助金基金の基金管理業務は、1週間の短期公募、1件の応募の結果、NPO映像産業振興機構に委託されています。 実は、同様のクールジャパン事業は2012年度補正予算から続いていて、これまで5回に渡り403億円の税金が投じられてきました。そ

          新型コロナウィルス緊急対策クールジャパンをめぐる経産省と補助事業者との由々しき関係の過去