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【小説】P-man head #4
「それって、もしかして天然モノ?」
マナブは若干興奮気味に訊いた。なぜ興奮してるのかといえば、マナブはいまだかつて「天然モノ」の「ネット」を見たことがなかったからだ。
児童が「天然モノのネット」を見ることは実質不可能だった。学校や児童が出入りする公共施設はもちろん、子供がいる家庭においても、「ネット」につながる機器の使用は固く禁じられていた。児童らは代わりに、CSS内にあるサイトの閲覧を許
【小説】P-man head #3
下校の送迎バス。バスの中には子供たちと運転手以外にも、「UN」と書かれたヘルメットを被りアサルトライフルを下げた兵士が、前部と後部の出入り口にそれぞれ一人ずつ立っていた。護衛のためだ。
走るバスの窓の外は雪こそ降ってはいないものの例年にない寒波が到来していた。寒風が吹き荒ぶ通りを巡回しているUNの兵士の姿を、マナブはぼんやりと見送った。
バスの中で子供たちはおしゃべりすることもなく静かに
【小説】P-man head #2
CSS(Children Security System──児童安全保障システム)端末。生徒たちがかぶっている大きなピーマンの名称だ。児童が顔を隠しているのも、同じ制服を着ているのも(男女ともに同じ形式の制服を着ており性別をわかりにくくしている)、外部に個人情報を晒さないためだ。教師や同級生など、許可した者にだけ個人情報を提供する。合成された頭部の3D映像もその一部だ。
× × ×
【小説】P-man head #1
教室。10歳前後の同じ制服を着た児童たちが整然と並べられた座席にすわっている。生徒たちは前方にある黒板を見ているが、そこに教師の姿はない。
静寂。たまにノートの上を走る鉛筆の音が聞こえてくるだけで、教室のなかはしんと静まり返っていた。
そしてなにより異様だったのは、生徒たち全員が首から上を緑色の物体で覆っていることだった。それは巨大なピーマンのようだった。まるで17名のピーマン頭の子供の
ファイナルファンタジー2を遊んでみた
ファミコンRPGといえば『ドラゴンクエスト』シリーズと『ファイナルファンタジー』シリーズが双璧をなしていた。そしてこの両シリーズはその後の日本のRPGを決定づけたといっても過言ではない。
私は『ドラクエ』派だったので実は『FF』はプレイしたことがなかった。はじめて『FF』をプレイしたのはプレイステーションの『FF7』だった。
そんな『ドラクエ』派の私でも気になっていたのが「異端」として悪名高い
『チェルノブイリ』はホラー映画
これはやばい。マジで怖い。いままでこんなに怖いホラー映画観たことない。
チェルノブイリ原発事故を描いた今作はネット界隈ですごい話題になっていたので観たかったんだけど、スターチャンネルでしか配信されてなかったため自分は観ることができなかった。やっとパッケージ化されたのでさっそく鑑賞。
この作品は、実際の事故現場の「近く」でロケを行ったり、発電所のセットから小物類にいたるまで当時のソ連を忠実に再現
映画『ヒックとドラゴン 1 & 2』を観た
『1』が世界的にヒットしたにもかかわらず、日本では『2』の劇場公開はなかった。ファンたちが日本での劇場公開をしてほしいと署名活動をしたが実現には至らなかった。当時そんな騒動があったことを外野の一人として記憶している。
今回ひょんなことから『1』を観てみたのだが、おもしろかった。帰属している一族のみんなから馬鹿にされている落ちこぼれの少年が、実は一族に新しい価値観を吹き込む革命児だった、という王道
『ブリグジット EU離脱』感想
2019年イギリスのテレビ映画。ベネディクト・カンバーバッチ主演。BBC制作。
カンバーバッチとBBC制作といったら『SHERLOCK』である。「頭はキレるが性格悪いヤツ」をやらせたらカンバーバッチの右に出る者がいないな。今作もそんな役をやっている。
内容はタイトル通りで、イギリスでのEU離脱の是非と問う2016年の国民投票までの騒動を描いている。主人公は離脱派の選挙キャンペーンを指揮した選挙
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』感想
クエンティン・タランティーノ第9作目の監督作品である。私は一応タランティーノ作品はすべて観ているのだけど、個人的には今作が一番好きかも。
タランティーノは「10本映画を撮ったら辞める」と言っていたはずなので残り1本になってしまったわけだが、本当に映画つくるの辞めちゃうのかな? ハリウッドの方法論に縛られないで制作できる立ち位置というか、こういう映画はタランティーノしかつくれないからなあ。「俺は映
ヒトは「いじめ」をやめられない
『ヒトは「いじめ」をやめられない』──脳科学者・中野信子氏の著書のタイトルです。なかなか衝撃的で、人の反感を買いそうなタイトルだともおもいます。
中野氏は、脳科学の立場から学校や職場など社会で蔓延る、いじめ、ハラスメント、ヘイトスピーチを分析します。そして、その解答は『ヒトは「いじめ」をやめられない』という、にわかには受け容れ難いものなのです。
3つの脳内物質本書のなかで3つの脳内物質が紹介さ
『超時空要塞マクロス』の思い出
先日、ふと『超時空要塞マクロス』劇場版の『愛・おぼえていますか』を見てみた。
『超時空要塞マクロス』テレビシリーズが放映開始したのが1982年なので、小学生だったワタクシはリアルタイムで放映を見ていた。
当時はガンダムブームで、『マクロス』は次世代ロボットアニメとして大々的に宣伝されていた記憶がある。少年時代のワタクシもメチャクチャ心躍らせて放映開始を待っていた(ちなみに『機動戦士ガンダム』放
ブラピの『アド・アトラス』観た。ご都合主義と串団子形式のシナリオ。感想はとくにない。