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(雑記)創作に取り入れてみたいテーマ―2022年ノーベル賞受賞者の著書「ネアンデルタール人は私たちと交配した」を読んで

 考えていることを整理するための文章です。凡そアイデアというものは、自分の中では纏まっているつもりでも、いざ人に伝えようとすると、理解していなかったりするものですよね。特に創作などは積極的に世に出す機会を設けるようにしなければ、自己満足に終わってしまって、結局何がしたかったのがよく分からない、なんて状況に終わってしまいそうですので。
 前文の時点で既に抽象度が高く、確固たるものが見られませんが、さほど時間をかけずに考えをまとめて文章化する、というのも目的の一つなので、あしからず

 
 
 タイトルの通り、ネアンデルタール人を創作に取り入れよう、というアイデアが思い浮かび、複数入手した関連書籍のうち一冊が読み終えたので、諸々をまとめてみようと思います。
 読んだのは「ネアンデルタール人は私たちと交配した」という書籍です。文藝春秋より2015年に翻訳・発行された第2版で、著者は生物学者のスヴァンテ・ペーボ氏。2022年に「絶滅したヒト科動物のゲノムと人類の進化に関する発見」というテーマでノーベル生理学・医学賞を受賞されています。古遺伝学の創始者とも言える方で、ネアンデルタール人の化石から核DNAを抽出し、その全ゲノム解析に世界で初めて成功した、すごい人です。
 さも知った風なことを書いていますが、恥ずかしながら上記の書籍を実際に読むまで名前も存じておりませんでした。

 
 
 半ば自伝のような内容になっている本で、ミイラのDNA解析からネアンデルタール人のゲノム解析、最終的にデニソワ人の発見と、著者の半生を時系列に沿って、各ポイントごとに章がまとめられています。翻訳によるところも大きいのでしょうが、文章はヒューマニティに富み、専門用語が多いながらも読みやすく、遺伝子学の知識を持たなくとも面白いと思います。


 
 共通の祖先から人間とネアンデルタール人が分化したのがおよそ50万年前、ネアンデルタール人の絶滅(活動の痕跡が全く見られなくなる?)がおよそ4万年前。せいぜい90年ほどしか生きられない人間では、測り知ることのできない時間スケールです。しかし彼らは決して古いだけの存在ではなく、また遠い存在でもありません。ほんの数パーセントではあるけれども、ヒトのDNAにはネアンデルタール人から受け継がれている情報が含まれており、免疫系などに影響を及ぼしているとされています。
 ネアンデルタール人の化石が中央アジア以東にて発見されていないこと、一方で非アフリカ系の人種には遍くネアンデルタール人のDNAが受け継がれていることから、恐らく中東あたりで2種は交流があり、その後ネアンデルタール人は、まるで追いやられるようにヨーロッパの方へと移動してゆき、そこで終焉を迎え、一方のヒトは世界中に拡散して大きな繁栄を享受することになった、というストーリーは容易に想起することができます。
 では、2種の運命を分かつ要因は一体何だったのか。一つは認知能力の違いが挙げられそうです。人間と類人猿を比較すると、生まれて10か月あたりから認知能力に違いが見られ、ヒトの乳幼児は物を指さして、親の注意を惹こうとするようになります。これは他者が自分とは異なる心を持っていることを理解し始めた兆候で、人の立場に立って考え、他者の注意や興味を操作できるという特性は、人間が他の動物よりもはるかに巨大な社会をつくり、絶滅した他の人類と異なる道をたどる根本的な要因であるとされています。


 
 ネアンデルタール人についての話はここで一端切り上げ、ここからは、得た情報をどのように生かせばよいのかという、タイトルの「創作」の方の話になります。要は妄想、空想の類ですので、不快に感じられるもいらっしゃるかもしれませんから注意喚起です。
 タイトルを聞いただけで実際に観たことはないのですが、「東宝史上最悪」という肩書がついて回っている「北京原人」という有名な映画があります。タイトル通り、現代に北京原人が蘇り、槍投げやら驚異的な身体能力を見せつける、という心惹かれるような内容らしいのですが、創作において同じようなテーマって結構ありますよね。より最近で言えば「バキ」のピクルもそうですね。上記の作品は、絶滅した人類の主に肉体面に着目する内容が多い印象です。一方で、絶滅した人類の考え方や文化、社会性などを取り扱う創作はあまり無いように思います。これは憶測ですが、彼らの文化は原始的で、博物館で展示されているような現生人類の過去の様子などと比較して、ハッキリ違いが分かるものが少ないので、創作のテーマとしては面白みに欠ける、という制作者の判断があるのではないかと思われます。

 

 「思う、思う」ばかりで、客観的な事実に基づく推察でないというのは承知しております。もし絶滅した人類が主演のドラマや、人間関係、その生活に触れた作品がありましたら是非コメントなどで教えていただけると、非常にありがたいです。

 

 中途半端な感じもありますが、文章が長くなってしまったので一端切り上げたいと思います。ネアンデルタール人についての書籍はもう一冊入手しているので、こちらを読んでもう少し考えを深めたいと思います。本のタイトルは「ネアンデルタール」で、2022年、筑摩書房より初版発行の本です。ペーボ氏の書籍より7年ほど新しく、また生物学者でなく考古学者の視点から書かれた本なので、ネアンデルタール人に対して全く違った知識と認識を得られるかと思います。これから読むのが非常に楽しみです。

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