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砂漠の地図を書きました


壊れているのは世界か。わたしか。

そんな不安や焦りや無力感と共に生きてきました。


そして大人になればなるほど、その「壊れている」ほうは自分なのではないか。

もしかしたらこれは、自分だけなのではないか。

そんな想いは強くなる一方で。

頭では「いや、人間はみんなどこか壊れている」と認識しているし「いや、あの人の方が自分より壊れている」なんて比べることもあります。




幼い頃から感じていた違和感を、触り心地の悪い毛布を引きずって歩いているようでした。

みんな、毛布はとっくに手放しているように見えていました。

でもわたしはその毛布を捨てられないでいるのです。そろそろ捨てなさいと言われても、捨てられませんでした。

なぜならそれは、寒い夜を越えるためには必要なものだったのです。

あの眠れない夜に馳せた想いもいっしょに捨てることになりそうだったからです。


でも、もしかしたらみんな、そんなものも同じなのではないか。押し入れにこっそり隠し持っているのではないか。

そんなことを知りたくて。どうにかこうにか「自分は独りじゃない」と思いたくて。

それを確かめるために書いて、見せようとしています。




いろんな人の言葉を知りたくて。

思い出を見てみたくて。

いろんな人の目で見たものを教えてもらいたくて。

最終的にその声を聞きたくて。

人生の終わりには、そんな場所に辿り着きたくて。

その地図を書きました。

地図を書いたら、意外とみんなワクワクしてくれて。いっしょに宝の山を想望してくれて。それについて語り合ってくれて。

「想像するのは自由」なんてよくいうけれど。

人はみな、自由になりたいから、想像するのかもしれません。


「あなたはどうするの?」と、もうひとりの自分がわたしにいつも聞きます。

あなたは、どうするの。と。



見たい景色を探しています。

見えないものを見たくて、作ろうとしています。作らないと見えない景色を知ろうとしています。



たくさん、たいへんなことです。

もちろん、しんどいことです。

もしかしたら、つまらないものです。

おそらく、ずっとわからないことでもあります。

それでも「こうするべきだったのよ」という想いと「みんな同じよ」と思いながら。

こうして吐き出すしかないのです。




人生の終わりには遠い空を愛おしく感じたいなと。

朝日も、夕暮れも、星空もいつも、美しいものとして眺め続けていたいなと。

なんにもない砂漠と空は、どこにでも繋がっているように思える景色でした。

地平線はいつも、その先を想像させてくれます。

それはきっと。とても。美しい風景です。





『バラと飛行船』
6月9日(木)〜12日(日)

東日暮里・元映画館
スナックシネマのあとで

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